15, 2012
ふと思い出す『悪魔の花嫁』

あれも初期設定に凝りすぎて回収できないパターンだった……(いやまだ続いてるらしいんだけど)チャンスを得た作家があらゆるアイディアを詰め込んでしまうということがあるのかもしれない。本当いうと三角関係は元の鞘に収まるしかない。最初にカップルとして紹介されたキャラクターを、読者・観客は受け入れて、親近感をもつ。(受け入れないと始まらない)二人が手をたずさえて困難を乗り越えた、という話でないと意味がない。何...

ふと思い出す『悪魔の花嫁』

 15, 2012   -

 16, 2012
美奈子を探し続ける話なら収まりが良かった・・・のか?

心の美しさは眼の輝きや表情の柔らかさに現れる。「微笑の女神」であるヴィーナスの魂を移し、美しく生まれ変わらせるための娘は、だから心まで美しくなければならない。仮にデイモスがブサイクな男だったら、人間界の女たちは「俺に魂をよこすか?」と持ちかけられても「おととい来い!」と追い返しただろう。彼が若く美しい半裸の男性だから、女たちも「あら、いいわね」って気分になる。富と名声と美貌を手に入れ、若い悪魔に抱...

美奈子を探し続ける話なら収まりが良かった・・・のか?

 16, 2012   -

 16, 2012
「恐怖の神」の職能を考えてみる。

キャスパーみたいな幽霊なら怖くない。怖いのは「何をするつもりか分からないがジッとこちらを見ている」とか「とりころされる」とか「霊の世界へ引きずって行かれる」とか、そういう時。「天国よいとこ一度はおいで」という歌があるが、霊の世界がいいところだったら……すぐにご一緒するのは遠慮するかもしれないが、怖くはなくなるだろう。とすると、恐怖を感じる原因のひとつは「不安」「先行きの見えないこと」だ。恐怖を感じて...

「恐怖の神」の職能を考えてみる。

 16, 2012   -

 29, 2014
【悪魔の花嫁と妖子は第一話で終わっている。】

旧来型ディズニープリンセス式の「男を信じて待つ女は、必ず救われる」という物語に対して、「信じても無駄。あいつら美人に弱いから、必ず裏切る」と言ってのけたまでは良かったんだけれども、それなら女同士でなんとかしようというふうに前向きに展開して行かないから、話の続けようがない。ヴィーナスは海の泡から生まれたのが本来の伝説だから、例えば海の精霊が同情して手助けしてくれた、なんて話でもいい。キルケー、ハーピ...

【悪魔の花嫁と妖子は第一話で終わっている。】

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 04, 2014
【手塚治虫『MW』の誤算。】

西村寿行は炯眼で、早くも1970年代後半に、「女王様が男たちに同性愛行為を命じる」という場面を描いている。手塚治虫『MW』は、さらに早く、竹宮恵子『風と木の詩』連載開始の数ヵ月後に発表されている。たぶん対抗意識を燃やしたのだ。でも、西村と違って、「女性がそれを描いた」ことの本質をつかみそこねた。独立・対等志向の女性ではなく、同性愛男性自身を国家転覆をもくろむ悪役にしてしまい、途中で「しまった」と思った...

【手塚治虫『MW』の誤算。】

 04, 2014   -

 16, 2014
【歌は下手でもセクシーなドレス着てと言われたら。】

成田美名子の漫画作品『花よりも花の如く』に、女性ジャズシンガー(の卵)がライブ店から「歌は下手でもいいからセクシーなドレスを着て出演して」と言われて傷ついた……と苦衷を打ち明ける場面がある。主人公の能楽男子は、読者のほとんどである一般女性の心理を背負っているから「あ、女性は社会に出るとセクハラされてしまうから大変なんだな」というふうに反応する。でも、彼も似たようなことを言われる可能性はある。「紋服を...

【歌は下手でもセクシーなドレス着てと言われたら。】

 16, 2014   -

 30, 2014
【手塚『MW』の結城は女性のほうが論理的。】

手塚治虫『MW』は、竹宮恵子『風と木の詩』の連載開始後、数ヶ月のうちに連載を開始しています。ディズニーを茶化した手塚先生は、女性による新しい表現分野の隆盛にも対抗意識を燃やしたのです。たぶん。真のテーマは「近ごろ流行りの女性的な男性と、それをもてはやす女性への忌避感」と考えると、分かりやすいです。物語は、異性愛であろうが同性愛であろうが、もともと恋人関係にあった二人が国家犯罪に巻き込まれたのですか...

【手塚『MW』の結城は女性のほうが論理的。】

 30, 2014   -

 01, 2014
【1980年代『花とゆめ』はBL誌だったか。】

雑誌の顔は、少女漫画の王道というべき『ガラスの仮面』(美内すずえ)、不世出の天才・三原順による『はみだしっ子』、それから『スケバン刑事』(和田慎二)だったと思います。三原作品は、可愛らしい少年たちを主人公にしたホームドラマには違いないのですが、1970年代若者文化の熱さを伝え、プログレッシブロックの影響があるなどとは言うまでもなく、今なお読みこなすには知力胆力の要る傑作です。和田作品は、1980年代の間に...

【1980年代『花とゆめ』はBL誌だったか。】

 01, 2014   -

 13, 2015
【昭和53年、里中満智子『晶子恋歌』講談社】

末に生まれし君なれば、親の情けはまさりしも。子供の頃になぜか掲載誌を一回だけ買って読んだことがあったらしく、見開きいっぱいに『君死にたまふことなかれ』が掲げられ、その下で兵隊さんが倒れているという頁が鮮烈に記憶に残っていたのを思い出したので、取り寄せてみました。行かずして古本が買えるネット時代は有難い限りです。再読して間然するところのない美しい傑作でした。思えば子供心にも、晶子の皮肉の痛烈さと心痛...

【昭和53年、里中満智子『晶子恋歌』講談社】

 13, 2015   -

 13, 2015
【女流メンズ漫画、ネオテニープライド。】

高口里純の漫画作品『伯爵とよばれた男』に印象的なエピソードがあって……老いを感じ始めた大女優が「世間から忘れられる前に死にたい」というので、それまでいじめていた若手女優へ自分自身のサツガイを命令するのです。自殺幇助としての嘱託殺人。彼女の謎の急死は、大女優らしいドラマチックなものとして華々しく報じられ、記録と記憶に残りました。若手のほうは彼女の生前の推薦によって、次の主役の座を得て、新しい銀幕の女王...

【女流メンズ漫画、ネオテニープライド。】

 13, 2015   -