2011/11/28

映画【マイ・ブラザー】を観たの。

2009年アメリカ。私にしては珍しく新しい映画だ!
なぜ借りようと思ったのかが分からない、と思いながらプロフィールを調べたら、主人公3人のうちの一人が『レオン』のお嬢さんが育った姿で(大きくなって( ;∀;))もう一人がブロークバック・マウンテンの一人だったので、その関係だったらしい(思いつきでレンタル予約を入れるので届いた頃には忘れている)

リメイク版らしいけどそっちは観てないので比較はしない。
アフガン出兵した海兵隊員が心傷ついて帰ってきたのを支える家族の物語。
にしては嫁さん(ナタリー・ポートマン)が美人過ぎる、というレビューが多かったけど、
彼女があれだけ魅力的で、そこへ妙に色っぽい&ちょっと悪っぽい義弟が加わるので、
(リメイク版の元ネタの情報がなくこの映画だけを楽しもうと観る客としては)
「すわ不倫ロマンス((o(´∀`)o))ワクワク!」と下世話な期待がふくらむってもんである。
観客はあの2人の惹かれ合う気持ちに同調できるからこそ、兄貴が帰ってきたときの罪悪感・戸惑う気持ちへの同情も増すってもんである。
そして元チアリーダーな女房と元フットボールの名選手、軍隊に入ればそこでもエリートの海兵隊な旦那、戸建て一軒家、娘は二人というアメリカン・ドリームにうっとりさせつつ、「でもそんなに良いことばかりじゃないよ」と見せることで「ああやっぱりね」という庶民の覗き趣味を満足させ、かつ、「同じ人間なのね、気持ち分かるわ」っていうヒューマン気分を味わえるっていう上手い仕掛けになってると思う。
また旦那の「浮気したんだろ」疑惑もそれなりの説得力をもつってもんである。
ここで嫁が不美人だったら、うっかりするとそこで「ないない」って笑いをとってしまうか、「そこまで疑い深くなって」とより悲惨な感じになってしまうorz

なにしろBGMの少ない映画で、前半はほとんど撮りっぱなしのホームビデオを見せられているような退屈さだった。
それが却って音楽の迫力で無理やり盛り上げよう感がなくて良かった。
説明的な回想シーンなど無く、日常的な短いセリフのやりとりの中に必要な情報がなにげに含まれているのは洋画脚本の上手いところだ。
観てるほうは「家政婦は見た」的な気分にさせられるが。

子役の演技が抜群であった。日本の子役は「可愛い」「健気」が全面に出されるが、アメリカの子役は「くそ生意気」「不機嫌なツラ」が上手い。
そしてアメリカの子は愛し合う二人は「一緒に寝る」(Sleep with him)ことを知っている。
パパとママが毎晩リアルに同じダブルベッドで寝てるもんな。

アフガン地元民が「子供にまで残酷なことをさせる」「理不尽な要求」という典型的な悪役として描かれていたのが弱いっちゃ弱いところだ。
(あのへんに疑問を持つとこの一遍は崩壊してしまうのであった)

そしてこれはエリート家庭さえも戦争で狂わされるっていうお話だけど、
一番印象的だったのは寂しく彷徨う兄ちゃんの歩く墓地にズラリと並んだ白い十字架。
物語的にはああして兄ちゃんが爆発することで山を越えて収束へ向かうわけだけど、それもできずに精神的に悶絶し続けた人も多くいたのであろうなどと思ったり。
PTSDなんて概念もなく、セラピーも確率していない時代、しかも負け戦だった国の復員兵を思ったり。
といって、次はそういう話ばかり読んだり観たりしたがるというのも覗き趣味の内かなと悩んだり。
しました。

映画としては色気のある役者たちの誠実な演技、というのがとても爽やかな良い余韻を残しました。
冒頭15分で眠くなったけど我慢して観て良かった。うん。
2011/11/15

それより奥は見てはならないことはない【映画 王の男 感想】

2005年、韓国。
やっと観たのよ!「観に行きたいな~~」と思ってから子供の世話してると、5、6年過ぎるのアッという間なのよ!
それはともかく。
結論から申しますと、非常に後味がよろしかったです。華麗にして卑屈な宮廷人と、野卑にして誇り高い旅芸人の対比が見事な、爽やかな感動作でした。
美麗なシーンのひとつひとつが心のアルバムに残っております。
もっと生々しいエログロ映画だと思ってましたm(__)m
正直そこをちょっと期待してましたm(__)m
HBO『ROME』を見過ぎたかもしれないですm(__)m

っていうか日本の配給会社、宣伝の仕方を間違えてます。「それより奥は見てはいけない」ってあんた『サスペリア』じゃないんだから(古)
むしろ何不自由ない若き王の心の奥の寂しさ、垢まみれの芸人の心の奥の炎、王を惑わす美男の心の奥の素直さ、飛ぶ鳥おとす勢いの寵姫の焦り、そういう「奥」を見てしまう心理劇なわけですが、
予告編では「それより奥は」ってナレーションしながら美男の背筋に触れる絵が映されるから、よっぽどエロいのかと思っちゃうじゃん。
客引きでも間違った先入観を与えるアオリはやめましょう(-_-;)

というわけで物語は、実在の暴君に取材した歴史劇らしいですが、『西太后』『ラスト・エンペラー』みたいに外国との関わりが描かれているわけでもなく、歴史上の事件に言及しているわけでもないので、超美麗歴史ファンタジー、娯楽時代劇として観ることもできると思います。
「お装束も素晴らしい!」(『花よりも花の如く』)
綺麗でした、宮廷人の衣装。広がったチョゴリの艶と地紋が美しい。その下の白いアンダースカートが萌えだ。
刑吏などの赤い帽子に鳥の羽根と大粒のビーズのようなのが飾ってあるのもファンタジックでした。
豪華でした、セット。宮殿の軒先の金細工、花鳥風月が描かれた襖。朱色の柱と緑の窓の桟の対比が美しい。
そして文化の違う人に、これと春日大社・狩野派の襖絵などと中国の遺跡を見せて、「区別しろ」ってのはやっぱ無理だろうな、などと余計なことも思ったり。

それはともかく、ストーリーの根幹は、権力におもねらず腕一本でのし上がろうとする旅芸人と、コンプレックスだらけの若き王が出会うことによって、芸術の花ひらく、ではなく政治的な悲劇が起きるという、哀しい宮廷陰謀劇&人間心理劇でした。
美形を中心にした恋愛ものじゃなかったです。
陰謀についてはクドクド説明せず、重臣たちの(暴君を諌めるという)忠義心を協調し、曲芸師が役者として芸を高めていくことが王の感情を刺激して逆に不幸を呼び、重臣たちの決起を促す、というあたり、テンポよく、しかも残酷場面は(あまり)映さないので、いやらしい感じがしないのが良かったです。
それに何しろ、それを見せる「絵」が美しいんだな。青空・竹林など背景となる自然も、華やかな衣装も、それを着けた人の配置も。

配役は、髭の曲芸師チャンセンが苦みばしった男の色気をたたえて良かったです。
聖王と呼ばれた父への劣等感と非業の死を遂げた母への執着を抱えた王の、癇症でありつつも寂しさを秘めた不安定な目つき。
いかにもツンとした猫のような表情が嫌味にならないほど超絶かわいい寵姫ノクスちゃん、むっちりと風格を漂わせた重臣たちも素敵。
実は私的に、あの宮廷に一座を招き入れた重臣チョソンの、いかにも貴族らしい趣が「この映画ただごとじゃないぞ」と思わせた一因でもあるので、役者の持ち味って大事なのですね。
「三バカ」に相当する芸人たちの、野卑で滑稽な表情・大げさな演技も、昔のコメディ映画を思わせて微笑ましかったです。

前半は曲芸の実演の映像にかなりの「尺」が割かれ、それを見物するエキストラも大人数、その衣装などのウェザリング(わざと汚すこと)なども申し分なし、「お色気系統のストーリーじゃなさそうだな……」と予想外の思いを抱きつつ、見入ってしまいました。あの曲芸部分や小芝居部分は観客も素で喜ぶべきなのかな?

後半は王の寵愛を得て芸人たちの生活が安心したのも束の間、若き王と先代から仕える重臣たちの対立があらわに。
起死回生を狙った芸が王の気に入ったからこそ重臣たちの危機感を呼び、女形が心根素直で王の寂しさを理解してしまうからこそ相方との不和を呼び、相方同士が互いをかばうからこそ不可逆の無残な悲劇が起こる。
寸劇・綱渡り・影絵・人形劇などの芸が心理描写を豊かにし、台詞で説明することを省いて余情を漂わせ、しかも後で効いてくるのは気持ちよく、よく練られてるなぁとしみじみしたり、でもちょっとベタだよね、となんか懐かしいような感じもしたり。

皮肉で残酷なストーリーと救いのない結末なのに温かい余韻が残る、という不思議な好作でありました。

それにつけてもコンギルは目の保養。
赤いおリボン可愛いよ赤いおリボン。彼がつねにウブっぽい表情をたたえていたのが、全体に漂う清潔感の源。でも無理強いされて矢を射るときの目の厳しくも哀しい表情は美しかった。
最初の一座を出奔して小一日以上さまよい歩いたはずにもかかわらず、王の傍らで夜を明かしてしまったにもかかわらず、無精髭がのびていない辺りはご愛嬌。でも鼻の下にほんのり剃り跡が見えたのが「やっぱ男なんだ(・。・; という別の感動を加味したかも。
レンタルで観たけどディスク買っちゃおうかなー