記事一覧

【同人女性がホモという言葉を使うのは。】

ストレート男性と同じ言葉を用い、仲間であることをアピールすることによって、彼らから自分たちへのバッシングを軽減させようとしているか……ゲイからのバッシングを逸らすために、ストレート男性の陰に入ろうとしているか。大国が保身のために超大国へなびくとき、少数民族の抗議は無視されるみたいなものです。1970年代に始めたお姉さん達は、ゲイとの確執を経験したらしく、1980年代初頭には「絶対にホモという言葉を使うな。本...

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【創作物の登場人物になりきらなくてもいいのです。】

小説として書かれたゲイの心理が分かったので、私ってゲイかもって言い出す女性は、昔も今もいる可能性があるですけど。そんなこと言ったら『羊たちの沈黙』を読んだ人は全員が食人犯で、『永遠のゼロ』を読んだ人は全員が特攻隊員で、『ジョーカーゲーム』を読んだ人は全員がスパイで、『スケバン刑事』を読んだ人は全員が学生刑事で、マーヴェル映画を御覧になった人は全員アライグマです。BLにも様々な人物が登場する。主人公...

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【同人プロファイリング。】

1975年に「コミケ」を始めた主宰者は、ひじょうに意欲的な人々だっただろうけれども、彼らの発刊した漫画評論誌は、ガリ版刷り100部だった。他は推して知るべしだろう。それが、1980年代に入る頃には、オフセット印刷・プロによる製本が当たり前になっていた。インターネットもない時代に、短期間で何かすごいことが起きた。もし男性がセクト化しやすいのに比べて、女性同士のクチコミネットワークの強力さが、情報と技術の模倣を...

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【少年は愛に生き、男は愛に死す。】

戦前のロマン主義、耽美主義、三島由紀夫、丸山明宏、森茉莉、薔薇の葬列。目ぼしいところで。丸山明宏が性志向を明言した後は人気が陰ったとはいうんだけれども、その後も「でもそういう世界って興味がある。ちょっと見てみたい」という意識が残ったはずで、そうでないと『薔薇の葬列』の公開が起きない。あの時点で「同性愛に関する表現を禁止する」という法律ができていれば、その後の展開はなかったんだけれども、もちろん表現...

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【すたれかけた文芸を取り込んだ漫画。】

1965年の三島由紀夫の事件って、彼に憧れて小説家になりたいと思っていた若い男女に衝撃を与えるとともに、学級内・サークル内における彼らの立場をも微妙なものにしたんじゃなかったかしらん。「三島はすごいんだよ。天才なんだよ」って言っていた人へ対して「天才って、あんな風になっちゃうの?」とか「お前も気をつけろよ」なんて言葉が投げつけられたんじゃなかったかしらん……この後、若者は勉学どころじゃない時代に入り、そ...

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【ピンク映画が流行したから一般映画がすたれることはない。】

小津や黒澤の活躍した時代には、巷にはストリップ小屋などがあったはずだ。大作ロードショー映画館の裏手には、ピンク映画館があっただろう。下世話な娯楽が流行したからといって、名作映画が生まれてこなくなることはない。ハーレムアニメが流行っているからといって、一般向けアニメが生まれてこなくなる理由にはならない。政府が(まだ)ジブリみたいなアニメ映画を売り出したいなら、「ジブリみたいな映画を作る金を出すので、...

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【日本のサブカルは田舎くさい件。】

ホテル・モスクワのバラライカは、たしか通称を「フライ・フェイス」というんだけれども、文法的に正しいのは「フライド・フェイス」じゃないかなと思う。(本当はヤケドだからフライドでさえない。)この中途半端に学問(英語)のできる感じが、日本のサブカルの田舎くささのよって来たるところじゃないかと思う。この場合のサブカルとは、少数民族の固有文化でもなければ、性的少数派の国際文化のことでもない。(それを田舎くさ...

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【創作物への怒りは創作に籠められるといい。】

『薔薇の葬列』の男は、もともと和装のゲイボーイと親交があったので、若者に手を出さなければ良かったんだけど、手を出したばかりに恐ろしい現実を知る。アッシェンバハは「あれは他所様の息子さんで、ギリシャ神でも何でもない」と冷静に構えれば良かったんだけど、追いかけ回した挙句に頓死する。“一国一城の主たる男性が見境をなくし、命を落とすほどの美少年”すなわち女性にとっても非常に魅力的な異性というモチーフを、彼女...

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【禁断の悪役愛にめざめて。】

耽美趣味における男性同士の行為は、「受け入れる」がポイントだ。酸鼻な拷問場面ばかりを好んで描写する女性作者もいることはいるが、その結末は、男性作家によるアクション作品のように……“主人公(性暴力の犠牲者)が自由と援軍を得て、悪役(執行者)を誅殺し、愛する女性をも解放して、めでたしめでたし”……とは、なりにくいものだ。これが慣れない鑑賞者を戸惑わせる。なぜ「悪を受け入れる」という要素があるのか。受身の快楽...

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【女のロマンの多様性。】

男のロマンは、親友と妻を同時に得ること。与謝野鉄幹『人を恋ふる歌』を参照のこと。女のロマンも、本来は、親友と夫を同時に得ることだ。池田理代子『ベルサイユのばら』を参照のこと。あの作品が不動の人気を誇るのも当然だ。マリーとオスカルは、互いを「悪い女ね」と罵り合うことはない。それぞれの道を誇り高く生きることを、心の内で応援し合う。アンドレとオスカルは正式の結婚式を挙げていないが、決め台詞は「私の夫」だ...

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【かならず攻めと受けを設定したのは男性なのです。】

ゼウスとガニュメーデース。アポローンとヒュアキントス。醍醐寺に伝わる『稚児草紙』(箱書きから言うと鎌倉末期)における、立烏帽子の男と、水干姿の稚児。室町将軍と、少年役者。歌舞伎『毛抜』の主人公と、案内役の小姓。お大尽と、芳町の若衆。ペルシャの太守と、近衛隊長。元華族と、太陽神のごとき美青年。老作家(映画では指揮者)と、ギリシャ神話のごとき美少年。より年齢が若く、体格の小さいほうが“女性”とされるのは...

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【美化された耽美趣味女性と少年の組み合わせは少ない。】

「じっとしていることが一番苦手」と運動部へ入る女性。「バイクで飛ばすのが最高」とツーリングの計画を立て、自分で整備もしちゃう女性。「踊るのが一番」とディスコやクラブへ通い、そこで目立つためなら寸暇を惜しんでエステにも通うという女性。「漢字を覚えるのが面倒くさい」と学校へも来ない・進学しない女性。そこからは、常用外漢字や、もってまわった比喩を駆使した耽美主義の文芸を鑑賞したり、自作したりする趣味は生...

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【SFも漫画も若者のルサンチマンから生まれた。】

SF御三家も、書き始めた頃は若かった。手塚治虫はいじめられっ子だった。彼のSF漫画は、くだらないと言われた。「未来には希望がある」または「このまま行くと大変なことになる」とは、どういう意味か。「いまの世の中は間違っている! 老人は引退してくれ! 俺たち若者に政治をやらせてくれ!」だ。女性なら「あたし達にやらせて頂戴!」だ。ただし、真に政治家としての実力を備えた人は少ない。必ず何割かが、現状を茶化す...

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【歌は下手でもセクシーなドレス着てと言われたら。】

成田美名子の漫画作品『花よりも花の如く』に、女性ジャズシンガー(の卵)がライブ店から「歌は下手でもいいからセクシーなドレスを着て出演して」と言われて傷ついた……と苦衷を打ち明ける場面がある。主人公の能楽男子は、読者のほとんどである一般女性の心理を背負っているから「あ、女性は社会に出るとセクハラされてしまうから大変なんだな」というふうに反応する。でも、彼も似たようなことを言われる可能性はある。「紋服を...

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【上妻宏光“Standard Songs”Tour 2014】

with 伊賀拓郎。まだチケットが入手できたら是非おでかけ下さい。興味深いものが聞けます。「三味線って弦三本だよな? 十六弦じゃないよな?」と確認したくなるような音を出す上妻さんの絢爛たる経歴は、たぶんご本人の公式サイトにも書いてあるとして……ピアノとのデュオっぷりが実にいい!!「津軽三味線とピアノだけ」という編成はなかなか無いとはご本人も言っていますが、じつはピアノも「叩く弦楽器」なので、同じ楽器の二重...

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【そしてボーイズラブの本質。】

少なくとも1980年代嗜虐調BL(当時は耽美ロマン)の動機は、松岡正剛が書いた通りで「男性が一番いやがる恥ずかしい悪戯を仕掛けてみたい」「たまには悪さをしてみたい」という女心(=女のロマン)に基づいているから……「男にやられるかと思うとゾッとする(ので書かないでほしい)」と男性が申し立てても逆効果。いやがって泣く子がいればいるほど面白い。スカートめくりと同じ。逆に男性は「女性をけしかけて女性をいじめさせ...

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【二次創作の営利目的性を公認すると良いことがある。】

「職業として二次的官能作品を生産・販売する人々が、ツイッター上においてわざと露悪的な表現を用い、周囲に不快感を与えること」の道義的責任について、一般社会が議論することが可能になる。ツイッターは、アカウントに鍵をかけない限り、国際的な公共の場である。日本語で書けば外国人には読まれないという保障もない。現状では、二次創作そのものが「存在しないはずのもの」とされているので、国会・警察・人権団体・PTAな...

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【同人誌即売会の規模を縮小したくなければ。】

いわゆる同人が廻す金というのは、もともと日本国内にあった金だ。多くの人が、他で勤労して得た金を持って、即売会へ来るから。その金をファッション業界やクルマ業界、観光・飲食業界へ落とさず、即売会で使うというだけのことだ。さびれた温泉街を舞台にした原作が流行しても、漫画同人が団体を組んで、かつての温泉街の賑わいを取り戻してくれるわけではない。アニメが盛んになる一方で、他の業界がさびれていくだけだ。若い世...

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【同人は寄らば大樹の陰。】

竹宮や萩尾は、当時の世間の常識にさからって結婚しないまま漫画を描き続ける自分自身の矜持と共感をもって、「周囲の無理解に悩み、人生を搾取され、つぶされていく子供たち」を設定し、表現することができた。これに対して、「そんなにまじめにテーマを設定しても仕方ないでしょ」という態度を取ったのが、いわゆる同人たちだ。誰が言ったというんじゃなく、生まれてきた創作物が帯びている質がそういうものであるという話だ。違...

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【三原順とやおい少女と竹宮恵子。】

1970年代の若い女性にとって、一番悔しかったのは「いつまで下らない漫画なんか描いてるの? 親はなんて言ってるの? いつかは結婚する気あるんでしょ?」などと言われることだったろう。世間は、女性と子供の才能を認め、まっすぐに育ててやることをしない。先日、白泉社雑誌『花とゆめ』の1980年代初頭の様子を述べたときに、三原順の作品を落としていたんだけれども、『はみだしっ子』は、心の傷ついた幼い少年たちの葛藤する...

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【70年代SFアニメはテレビオリジナル。】

誤解されがちだが、『宇宙戦艦ヤマト』は松本零士の原作漫画が当たったので数年後にアニメ化されたものではない。テレビまんがという言い方もあるし、手塚・石ノ森という両雄がいるので、アニメは“数年前に雑誌上で発表されたコマ漫画を動画化したもの”と思いがちだけれども……1960年代以来、1980年代に入っても、SFアニメ(ロボットアニメ)の多くは、とにかくテレビ放映を見てみないことには次の展開が分からない、テレビオリジ...

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【2013年、ベン・スティラー『LIFE』】

珍しく新作。面白そうだったので(比較的)高い金払ってレンタルしましたとも。たぶん買って良い映画。タイトルバックに文字を仕込んだオープニングからしてセンスが光る、デジタル技術を駆使してお送りするアナログ讃歌。サイトでデート相手を見つける時代の、男の友情と家族愛。ママはいつも最高。ヤングエグゼクティブには鬚が流行ってるんですな(笑)たぶん分類上はロードムービー。シニカルでアップテンポでコミカルだけれど...

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【やおい・腐女子という言葉を二丁目が使うと揉めるのは】

片や「ボーイズラブ読者全体」を意図し、片や「二次創作に関わる私達は二丁目へはお邪魔していません」という、齟齬があるからだ。同じ単語が指示する集団の範囲の広さが違う。テレビに登場する女装毒舌タレントや、ニューハーフなどと呼ばれる華やかなダンサーを見て、実物に会いたいと思う人もいるだろうし、『きのう何食べた?』などのゲイ男性を主人公とする市販漫画を読んで「ゲイバーへ行ってみよう」と思う人もいるだろう。...

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【やおい少女というイメージ消費。】

二十四年組は、たいした性描写などしていない。中高生がそれを雑誌上で読んでいるだけなら、彼女たちの性の知識は増えず、描写は深化しない。中高生が成人雑誌を買い漁り、それを参考に学内でポルノ製造に励んでいたとあっては由々しき事態だが、事実はその通りだったろうか。1976年に『風と木の詩』連載開始に高校三年生で立ち会った人は、翌年には高校を卒業し、18歳以上の成人となる。一部の人は進学・上京し、親の眼を気にせず...

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【著作権に関する、いくつか。】

※ 素人による個人的見解であって、法律家による助言ではありません。念のため。アメリカも「全米各地の映画上映会で『スターウォーズ』ファン数十万人が一斉検挙。容疑はコスプレ。最年少逮捕者はチューバッカ(3歳)」ってことでは困るだろうと思う。ディズニーはファンアートの効用を知っており、腕の良い職人なら自分で雇うこともある。ただし「かせがせてもらった」とか「最初から金目です」などとは言わせておかないと思う。...

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【“哲学がない”とは。】

合理的でない、という意味だ。整合性がない。言ってることと、やってることが違うって意味だ。サンデル教授が教えてくれたはずだが、哲学って論理なんである。別の方向から検討しても矛盾が生じないってことだ。「空洞化した市街中心部に活気を取り戻しましょう。人の集まる仕掛けを考えましょう」と行政みずから言ってるそばから、繁華街の真ん中に地味な役所を建てるという。「子育てのしやすい都市づくり」と言ってるそばから、...

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【柳広司『ジョーカーゲーム』と『ロマンス』】

柳(以下敬称略)は、キャラクター造形のうまい人で、ちょっと漫画家みたいな素質を持った人だと思う。たぶん漫画を読むことも好きなのだろうと思う。ミステリーとしては、あまり凝った仕掛けではない。犯罪動機はメロドラマだ。彼の筆の冴えるところは、自らを恃むところ大な独身男性の心理描写である。ホームズの偏屈ぶりを活写するワトソン自身も面白い男だったが、彼は人生の岐路に立たされることがなかった。D機関の伝記作者...

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【神に逆らう思いで創作したっていい。】

二十四年組はたいした性描写などしていない。1970年代に発表された「耽美」漫画では、性は暗示にとどめられている。それを読んでいる限り、読者少女の性の知識は増えない。創作上の挑戦意欲か、もっと現世的な目的か、何らかの理由によって描写を過激化させたのは、いわゆる同人だ。それをプロの編集者が見て「売り物になる」と思ったから、そのような色合いの作品ばかりが表面化している。それを見て「そういうもの」と思い込む人...

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【やおいはトランスゲイではないことは再三確認したい。】

情報の少なかった時代に榊原さんが勘違いしたのは仕方がないんだけれども、松岡正剛氏のサイトで「やおいとはトランスゲイである」旨、上書きされてしまっている。(『千夜千冊』やおい幻論の項。)彼も書評として、元の本に書いてあった内容をまとめただけなんだけれども、彼のネームバリューから言って、熱心にサイトを訪れる読者の中に「ほう、そうだったのか」と勘違いが再生産されてしまう恐れはあると思う。黒バス犯のせいで...

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【SFと耽美主義の融合とせめぎ合い。】

SF御三家のすぐ横には三島由紀夫がいたけれども、三島の文体でSFを書いた男性は少なかった。逆に戦後耽美派がSFを書いた例もあんまり聞かない。たぶん萩尾望都が最初に「19世紀前半のロマン主義(怪奇と幻想)と、未来を見通すSF作家の眼」を融合させた。レースと薔薇に包まれた美少年が、不死の存在として世相の移り変わりを見届ける物語だ。文体に相当する絵柄は耽美的・象徴的だが、物語の語り口はスピーディで、意外に...

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。