24, 2015
【弘文堂アテネ文庫38、石田英一郎『一寸法師』】

学術書というのは大冊で、値段も高く、なかなか一般人が「仕事帰りにちょっと買っていこう」とか、「ちょっと読んでみよう」とは思わないものです。が、中身の半分以上は引用元の注記や注釈で、肝心の著者の主張は、じっさいこのくらいの頁数に収まってしまったりするものです。学術書として首尾ととのえれば大変に重い内容を、一般教養として安価に広めたアテネ文庫の意義は、真に尊いものだったと存じます。本朝一寸法師とは何も...

【弘文堂アテネ文庫38、石田英一郎『一寸法師』】

 24, 2015   -

 23, 2015
【弘文堂アテネ文庫1、久松眞一『茶の精神』】

京都大学宗教学専攻教授(当時)による、国際茶道文化協会講演、および昭和二十三年における座談の記録。声に出して読みたい日本語です。戦前に教育を受けた人の文章は美しいです。水琴窟の響きに耳を澄ます思いです。アテネ文庫は、いまだ物資不足に喘ぐ昭和二十三年、A判全紙一枚を文庫サイズに裁断すると64頁になることをもって、64頁の薄い本としてスタートしたのだそうで、その平成二十二年における復刻版の第一号です。当時...

【弘文堂アテネ文庫1、久松眞一『茶の精神』】

 23, 2015   -

 22, 2015
【2001年筑摩書房、吉村 昭『東京の戦争』】

たしか小津映画『晩春』が昭和24年の作品で、開戦前と変わらぬ落ち着いた暮らしぶりや、美術展や音楽界が催されたりしている様子が描写されていました。電車の中は、すでに整然としており、銀座には輪タクの姿はなかったと思います。ヒロインの父親は、闇食料の買出しを過去のこととして語っていました。復員局は戦後2年間ほどで閉鎖され、もう復員してくる人もないと思われた頃に、やっと佐清が帰ってきた……というところから始ま...

【2001年筑摩書房、吉村 昭『東京の戦争』】

 22, 2015   -

 22, 2015
【表現の自由とは。】

弱者の権利です。なんでも多数決で決める民主主義における弱者とは、少数派です。自分たちだけでは絶対に多数決に勝てない人たちです。すでに権力のある人と、彼(女)を支持する多数派は、わざわざ「自由」などと言わなくても、自分たちだけで何でも多数決してしまうことができます。「今日から一億総玉砕」でも、「今日から少数民族は国外退去」でも、「性的少数派は全員逮捕」でも随意です。それじゃ困ると思う人が、街頭で「戦...

【表現の自由とは。】

 22, 2015   -

 21, 2015
【目が細くなる『ハイキュー!』】

年末年始はテレビ三昧だったのです。描画と演出がひじょうに良く、感動をもって拝見しました。CGが使えるようになって良かったですね。過剰な解説・演出で無理に盛り上げず、試合進行と若者たちの心の動きを丁寧に追う語り口が好ましいです。女子部を含めた選手たちの、現実味あふれる清々しい活躍ぶりに、思わず目が細くなります。時おり耳に残るBGMは、どうやら懐かしいハードロックの味わいを狙っているようです。本職のバ...

【目が細くなる『ハイキュー!』】

 21, 2015   -

 20, 2015
【パゾリーニ、1964年『奇跡の丘』】

あるいは、マタイによる福音書。原題がそのまんまである通り、大ロケーション敢行・大量エキストラ投入によって、イエス誕生から受難・復活までを真正面から描いた大叙事劇。モノクロ。エピソードの数々は、キリスト教徒にとっては一般教養以前の基礎の基礎なので、「ここは○○の街」なんてナレーションも字幕も入りません。その今さら映画化するようなものでもないことを、あえて撮ってみたのは、ルネサンス絵画や絵本などを通じて...

【パゾリーニ、1964年『奇跡の丘』】

 20, 2015   -

 19, 2015
【1958年大映、市川崑『炎上』】

観ると良い映画。格調高い文芸作品。笑えるとか泣けるとか萌えるとかそういう娯楽要素はバッサリ切って捨ててあります。三島由紀夫『金閣寺』が原案で、取調室における回想として始まる、犯罪者の内面描写です。冒頭に「これは架空の物語である」旨、ていねいな注意書きが示されます。お寺の名前は「しゅーかく寺」に変更してあります。被差別が重要なモティーフになっており、いわゆる差別用語に傷つく若者たちの姿が直截に表現さ...

【1958年大映、市川崑『炎上』】

 19, 2015   -

 18, 2015
【1951年、松竹『鞍馬天狗 角兵衛獅子』】

花咲かば。告げんといひし山里の。使いは来たり、馬に鞍。最初から最後までカッコいいです。アクションシーンの連続です。「日本の古い映画なんて」と思うなら、外国映画だと思えばいいです。風俗があまりにも違うので、いまの日本人と同じとは思えません。異国情緒のつもりで楽しめばいいです。セットが豪華で、クレーン撮影もマット画も見事なもので、ミュージカル映画としての聞かせどころもあり、編集も惜しみなく、日本映画の...

【1951年、松竹『鞍馬天狗 角兵衛獅子』】

 18, 2015   -

 17, 2015
【1946年、大映『七つの顔』】

冬休み企画、その3。オーソン・ウェルズがいて、多羅尾伴内がいて、フィルム・ノワールがあって、ルパン三世がいて、そのアニメ化があって、江戸川コナンがいて、猫の恩返しもある。アニメは最初からコピーのコピーのコピーです。コピーであることが悪いのではありません。コピーして出来たものの質が低いときが問題なのです。人材をゲーム業界に取られている、パチンコの仕事を受けることで精一杯なんて事情があるのかもしれませ...

【1946年、大映『七つの顔』】

 17, 2015   -

 16, 2015
【1944年、東宝『加藤隼戦闘隊』】

冬休み企画その2。「どうやって撮ったんだ!?」と開いた口が塞がらなくなる場面の連続です。空中戦は実戦の記録映像なのか……?敵機には出演交渉したのか……?爆撃による地上物の連続爆発は、いくらなんでもミニチュアだよな……?思わずまばたきが減っていたようで、気づいたら目が痛くなってました。ドライアイにはお気をつけください。冷静に考えると、対空砲や機銃を浴びながら実戦を撮影しても、回収できる保障がないので、再現な...

【1944年、東宝『加藤隼戦闘隊』】

 16, 2015   -

 15, 2015
【1940年、東宝『支那の夜』】

古い映画を年代順に見る冬休み企画。愁いは清し、君ゆえに。美しい映画だと思います。カメラの性能は決して良くありません。視野というか、撮影範囲が狭く、画面が丸いのです。でも構図には工夫が見られます。BGMは殆ど使わず、登場人物の心理を丁寧に「絵」で語っています。後半におけるミュージカル映画としての聞かせどころも、鳴らし過ぎ感がなく、締まりが良いです。編集にも間延びしたようなところがありません。ひじょう...

【1940年、東宝『支那の夜』】

 15, 2015   -