記事一覧

映画の暗さ、アニメの明るさ、育休退園。

映画は暗い劇場で見ることを前提にしているので、画面が暗いものです。炎や熔岩、溶けた金属などを背景にした名シーンも、周囲が暗い中でオレンジ色の光がメラメラと燃えているから効果的なわけです。それを自宅のテレビで視聴すると違和感ありますね。逆に、アニメのカラフルさは(当然ながら)テレビ視聴向けです。だから世界のお茶の間・世界のよい子向けに、日本の高い技術を駆使した児童アニメを輸出していければいいんですが...

Read more

デ・シーカ『自転車泥棒』ふたたび。

ネオレアリズモの夜明けらしいんですが、基盤にあるのは人情喜劇だろうと思います。どの場面でも、もっと悲惨な展開は充分に考えられるのです。下町で喧嘩に巻き込まれたのに、刃物が出てこなかったのは、むしろ不思議なくらいです。終戦直後の時代に、まだそのへんに軍用拳銃が転がっていたっておかしくありません。揉み合ったはずみで相手に致命傷を与えてしまった、さらに逮捕に抵抗したはずみに警官が車にはねられたなど、不幸...

Read more

【ヴィットリオ・デ・シーカ『自転車泥棒』1948年】

エキストラが美男です。実際に敗戦直後に撮影しているわけで、わずかな給料をもらって喜んだ俳優の卵が大勢いたんじゃないかと思います。これで自分の自転車が買えるってね。イタリア中が薔薇色に染まる自転車レースは五月にやってましたが、あの底辺がこの自転車文化なんだな……と変なところに感心したり。あまりの名作ぶりに長いこと敬遠していましたが、290円になっていたので買ってきました。永岡書店より『懐かしの名作映画ベ...

Read more

【ミンガスさんちの直立猿人を聴きながら。】

「やかましい」と言ってみました。インプロヴィゼイションが分からないと言った人は、もしかしたら分かりたくもないという意味だったのかもしれません。なんでこんな騒音を聞かされなきゃならないんだ……と考えてみると、やはり先にクラシックのほうで不協和音を演奏するようになっており、それを白人の聴衆が黙って傾聴しているということが前提になっていたのだろうと思います。「ストラヴィンスキーは確かにすごい奴だったが、俺...

Read more

【創作の青田と消費者の乖離。】

じつは「頑張っても出世させてもらえない」というのは、働く女性に共通の不満です。だから貴族から差別されていた時代の武士の話というのは、性別を越えて現代女性の共感を得る可能性がある。ただし、厄介なのは、女性が脚本家として登用された場合、彼女自身は大出世したわけですから、世の女性たちの不満を確実に反映したものを書けるとは限らない。また、現代女性には「帰る家がない」という問題があります。老親が施設などへ移...

Read more

【時代劇の不調、創作の背景。】

キモノを着た人が大勢出てくる昔の話だから見ていられない、というわけではないです。『武士の家計簿』などのヒットがあるわけですし、テレビ番組で「現代と同じ便利グッズが江戸時代にも存在した!」なんてやってるのは、あるていど人気があるはずです。若い人だって、自分のルーツを確認したい心はあるはずで、ネットによる国際化の加速もあって、外国へ誇れる日本の伝統という話は、いま強く求められているはずです。だから時代...

Read more

【ジャズは見るよりやるほうが面白い。】

ミンガスのCDが書店で安くなっていたので買ってきました。1964年・西ドイツライブの2枚目。ドルフィーがポリフォニーとしても崩壊寸前というほど熱いです。LP未収録、23分に及ぶ新発見テイク『ソー・ロング・エリック』が異様です。序盤からアルトがかっ飛ばしてます。中盤はいったんテンポを落として、ネチっこく続くピアノとベースに息が詰まります。そしてどうかしちゃった感じのサックスの共演(というか決闘)、急激にテ...

Read more

【親から独立したければ。】

看護の勉強をして、寮に入るといいです。そうではないなら、ひきつづきお母さんにご飯を作ってもらい、アイロンを掛けてもらいたいということです。でも、お母さんはあなたの奴隷ではありません。もし、お母さんの人生が悲惨なものに見えるなら、あなた自身がお母さんをこき使っているからです。もし「母親が愛する家族のためにがんばるのは当たり前」と思っているなら、愛の名のもとに女性を利用しているのは、あなた自身です。な...

Read more

【防衛力とは。】

萩尾望都『11人いる!』の続編に、宇宙大学が防衛力を有していて、他の惑星国家からの学生ひき渡し要求をつっぱねるという場面がありました。あれはカッコよかった、石頭。『ハリー・ポッター』も生徒みずから戦うですね。最も安全であるべき学校を襲うヴォルデモート卿は最低に悪い奴です。『もののけ姫』でもやっていたように、どこかの都市国家が皇帝の権力から自由であるということは、皇帝の代理が軍隊を率いて「税金払えゴルァ...

Read more

【夢を実現するために。】

必要なものは、本物の才能です。そして、実際の原稿です。「又吉さんみたいにフラッシュを浴びながらインタビューに答える自分という夢」ではありません。一回も少女漫画を投稿したことのない人は、少女漫画家になれません。一回も小説を完成させたことのない人は、小説家になれません。自費出版だけで食っていくには、年に数回のイベントで一年分の生活費と税金、すなわち数百万円を稼がなければなりません。それを五十年間続けな...

Read more

ロシアン・コンテンポラリーの雄、Meladze。

先日バドイェフ監督『オレンジラブ』の感想を挙げた時にご紹介した音楽ビデオで歌ってた人。他の楽曲も音楽性が気持ち良いので改めてご紹介してしまおうと思います。もし既に日本でもひじょうに有名だったらごめんなさい。Valeriy Meladze(Валерий Меладзе)。グルジア人男性歌手。1965年6月、バトゥミ生まれの50歳。おっさんな外見と若い声のギャップが魅力的です。本当に若い頃はメタル気味のハイトーンボイスだったようですが...

Read more

【地方自治体が無くなるということは。】

上京してくる若者がいなくなるということです。つまり、東京に住んでいる人が自分で次世代を生み出さないことには、モノを作っても買ってくれる人がいなくなります。うすい本を一生懸命描いても、読んでくれる人がいません。あとは同世代へ布教あるのみ。でも、その頃に一番人口の多い世代は今の四十代で、六十五歳以上の高齢者ということになっているわけですが、年金をいっぱいもらってウハウハという訳には行きそうもありません...

Read more

【会田と田亀。】

ハイアートがサブカルを要素として取り込んでおいて、批判されると漫画を言い訳にするのは不愉快きわまる。会田誠の展覧会が物議をかもした時に田亀源五郎が言ったことが、正鵠を射ていると思います。この場合のハイアートとは、特権的な富裕層が支える文化とか、一般に「高級」と見なされる美術品とか、そういう意味です。田亀は逆にサブカルへアカデミックな技術(ルネサンス的な正確な人体表現)を取り込んだ人ですが、それがか...

Read more

【村上等身大フィギュアの皮肉。】

あれって、同人のセンスがアカデミズムに認められたんじゃなくて……「同人って奴らは、こういうのが好きなんだよな?」と、からかわれてるんですよね?「こういう美少年や美少女が実在すればいいなと本気で思ってる奴らだよな?」ってことですよね?同人作品(なかんずくエロティックな二次創作)を含めた日本の「サブカル」全体が、そのステレオタイプを強調することで、特権的社会から「あるある~~」というふうに笑いものにされ...

Read more

【真顔で主張する時代。】

本当は少女漫画家になりたかったのに、絵の練習をしないで、エロ小説ばかり書いていた。出版社へ少女漫画を投稿したことは一回もないが、少年漫画の編集部に権利問題で便宜を図ってもらったことはある。それはお母さんがトラウマだからだ。いわゆる同人(の一部)の言い訳をつないで行くと、「自分が何を言っているのか分かっているのか?」という話になります。「山なし落ちなし」という言葉を真に受けて、行き当たりばったりに刺...

Read more

【自称フェミニズムの限界。】

誰かが家事を担当しなければならないことは分かっている。誰かが学校の制服にアイロンを掛けてくれなければ、自分が恥をかくことは分かっている。母親が仕事と家事の両立に苦労していることに気づいたなら、まずは自分が手伝えば良い。「アイロンは私が掛けるけど、料理はお母さんのほうが上手だからお任せするわ」と自分から役割分担を申し出れば良い。「お父さん・お兄ちゃんも自分のことは自分でやりなさいよ」と言えば良い。で...

Read more

【非専門家による混乱。】

やおい論というものは、最初から話がおかしい。原因の一つは「なぜ若い娘さん達が『風と木の詩』のような漫画に夢中になるのですか?」と訊かれて……「ああいう“やおい”という漫画は、男性中心社会を代理する母親がトラウマになった娘のものだからですよ」と答えたことでしょう。プロ漫画家と、アマチュア二次創作者が、互いに混同を避けて呼び分けたものが、分析者によって混同されたのです。歴史のどこかで、同人界の(権利問題を...

Read more

【あと弔ひ給へ、御僧よ。】

「学校の怪談」などの怖い話を読むと、「誰か坊さん呼んでやれよ」と思います。とくに「昔ここで事故があって」とか「戦争で大勢の人がなくなって」なんて話の時はですね。また、トイレや体育館の物置に子どもの霊が出るというのは、もう明らかにイジメが関わっているでしょう。宗派にもよるのかもしれませんが、お線香をあげるのは、お経をあげてもらって、なくなった人が“ほとけ様”になってからなのだそうです。まずはプロを呼び...

Read more

【家事は女の仕事だと女性自身が認めていることもある。】

「仕事で忙しいので、娘に家事を手伝うように言ったら『お兄ちゃんには言わないから差別だ』と口答えしたので喧嘩になった。ほとほと疲れている」という新聞投書があったのです。なぜ、お母様は「じゃお兄ちゃんも手伝いなさい」と言わないのか。なぜ娘さんは「お父さんが手伝ってやればいいじゃない」と言わないのか。「娘が口答えしたこと自体が許せない」というのとは、また別の問題を抱えたご家庭ということになります。...

Read more

詐称少女による混乱。

「やおい」と呼ばれた創作物のかかえる問題点は、ふたつ。それによって未成年者が性的創作物にアクセスしやすくなったこと。権利問題をはらんでいること。これらをフェミニズムの名において弁護するのであれば、「未成年女性には性的創作物が必要です」および「未成年女性は法律を守らなくても良いのです」と言ったことになります。その理由は、男性中心社会が横暴だからだそうです。でも、今ごろになって「自分がこんなことになっ...

Read more

言い訳が対応を生むと、かえって困ることもあります。

「やおい」と呼ばれた創作物に関する議論が混乱した原因は、それを「BLであることを意味する言葉だ」と勘違いしたことにあります。本当は「やおい」と呼ばれた創作物の本質は、二次創作であることです。同じBLと呼ばれる分類でも、プロが書いたオリジナル作品はそんなふうに呼ばないことから分かります。だから「なぜこんな気持ち悪いものを書くんだ!?」という疑問の本質は「なぜ俺の好きなキャラクターを勝手に利用するんだ!?...

Read more

【寄らば大樹の陰の女の時代。】

憲法とは恣意的・暴力的になりやすい国家(政府)に対して国民の権利を保障するものであり、法律とは国家(政府)が強権をもって国民の権利を制限するものです。最後の最後でどっちを優先するかというと、憲法であるべきです。もし二次創作について自分で責任とるつもりなら……相手が裁判長だろうが、一般市民だろうが、国会だろうが、国際社会だろうが、「二次創作も憲法が保障している表現の自由の内じゃないですか。法律のほうが...

Read more

【トランスが簡単に手術できない訳。】

漫画を読んだだけでその気になった人が、後になって「やっぱり自分の子どもが欲しかった」とか言い出すのを避けるためです。医者にしてみりゃ「あの時もっと丁寧に診察してくれれば、早まらなくて済んだのに」などと逆恨みで告訴される恐れもあります。トランス男性にしてみりゃ「そういう勘違い女のせいで俺の人生が足止めされるのは不愉快きわまる。代わりに診察代払え」ぐらいのことは言いたいはずです。さらに背景にあるのは、...

Read more

【手描き原稿が暗示する、やおい論の矛盾。】

手描き時代の漫画原稿というものは、インク(墨汁)を乾かす必要があるので、部屋いっぱいに広げておいたものでした。パソコンがなかった時代のフルカラー同人誌というものも、どう考えても手彩色です。まさに職人技。それが一室を占領していたり、手伝いの同級生が泊り込んだり、製本されたものが大量に郵送されてきたりするのを、専業主婦である母親がいっさい気づかないということは考えにくい。つまり、自宅を拠点にしていた未...

Read more

【女流メンズ漫画、ネオテニープライド。】

高口里純の漫画作品『伯爵とよばれた男』に印象的なエピソードがあって……老いを感じ始めた大女優が「世間から忘れられる前に死にたい」というので、それまでいじめていた若手女優へ自分自身のサツガイを命令するのです。自殺幇助としての嘱託殺人。彼女の謎の急死は、大女優らしいドラマチックなものとして華々しく報じられ、記録と記憶に残りました。若手のほうは彼女の生前の推薦によって、次の主役の座を得て、新しい銀幕の女王...

Read more

【引き裂かれる男心、充足する女心。】

映画監督というのは軍人ではありません。徴兵義務を果たしてきた人はいるかもしれませんが、実際の戦闘に参加した人は少ないと思います。また、もちろん現役マフィアやヤクザではありません。機動隊員でもありません。マル暴でもありません。自分自身が体力派・武闘派ではないことを知っているから、創作家の道を選んだわけです。彼らの作品には、戦いに行く男たちに対して、置いていかれる女の悲しみが、妙に生々しく描かれている...

Read more

【妖怪ウォッチの人気は続いていますか。】

郵便局でキャラクター商品を拝見しました。ディズニーの攻勢には敵うべくもありませんが、頑張ってほしいです。成人が未成年者を詐称する国ですから、アニメも本当の子ども向けのものが少ないのです。『電脳コイル』は、昭和以前を内包し、一歩出るといきなり鄙びるという平成の都会をよく描いていましたが、実質的に大きなおともだち向けでしたし……高校生のくせに「頭脳は大人」を詐称する名探偵は問題外です。あれは自称アダルト...

Read more

【パトレイバーかと思ったら、ルパンでした。】

CSのアニメ専門チャンネルで瞥見しただけで、タイトルも確認していないのですが、後藤さんではなく、ルパン三世が登場していました(笑)押井さんが愚痴りたくなる気持ちも分かります。でも警察車両などの描きぶりは硬派な感じで、立派なものでした。パトレイバーを見て育ったスタッフにしてみりゃ「俺たちもああいうの作りたい!」と思うに違いないのです。古典芸能なら「いつか自分も弁慶をやりたい」と思って入ってくる人がい...

Read more

【1936年『THE PLAINSMAN』】

監督:Cecil B. DeMilleゲイリー・クーパー美しい。あまりの美しさに、やや殺伐としたセントルイス港の日常風景から浮いております。海外の白黒時代の映画は、保存状態の良いところが、まさに有難いです。時おりカメラが切り替わって、不世出の美男のバストショットを堪能できます。ちょっと輝いて見えるようなフィルターかかってるですね。上背に優れた凛々しい美男が女に鞭を振るわれてみたり、異民族に緊縛されてみたり、だまし...

Read more

【成田美名子『エイリアン通り』より。】

主人公の青年が「俺は親父のような大人になりたくないから、大人になりたくない」と言うと……別の成人男性が「きみ自身がお父さんとは違うタイプの大人になればいいだけでしょ」ってなことを言うのです。「違う人間なのに、どうして同じ大人にならなければいけないの? 意味が分からないよ」青年は“目からウロコ”です。彼自身は、カエルの子はカエルだから、親父と同じ存在になる他ないと思い込んでいたのです。背景には、なまじ同...

Read more

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。