記事一覧

1.愛国の同人。

コミケと日本の未来のために、最も重要なこと。帝国主義の拡大のために徴兵した若者たちを鉄拳制裁で鍛え上げる。そういう資本主義的全体主義から、共産主義的全体主義へ移行しても、じつはあんまり違いがない。ほんとうは、全体主義の対岸に「消費生活優先的個人主義」というのがあるはずなのです。資本主義と共産主義がほんとうは同じ枠組の中にいる兄弟のようなものだというのは、ベルリンの壁が落ちた頃にやっと(大きな声で)...

Read more

1979年、小泉喜美子『月下の蘭』双葉社

推理というより、エドガー・アラン・ポー流の怪奇と幻想、耽美的ホラー小説というのが近いのではないかと思われます。春夏秋冬になぞらえた4作を並べた中篇集。リアル世界が交通安全週間か何からしくて、コートの襟もとに白いマフラーを巻いた警察官の姿(カッコいいですね)を見かけたので、3作めの『宵闇の彼方より ~秋は蟲』を思い出したのです。「写真の一枚は白衣をつけた温顔の老人のものでしたが、もう一枚は軍帽をまぶ...

Read more

1961年、森茉莉『戀人たちの森』新潮社

三島由紀夫で思い出したので、あらためまして。初出は月刊『新潮』昭和36年8月号。9月には単行本の初版が発行されています。帯には「禁色の戀を描く傑作」とあります。推薦文が三島。「少年パウロが戀人の死を忘れるあたり。女性は決してこのやうな残酷で明澄なナルシスムに到達することがない。それは男性のもつ最も奥深い祕密である筈だが、それを女性の作家が發掘したといふのは、驚くに堪へた出來事である。文句なしに傑作とし...

Read more

2016年1月24日グランシップ静岡能、宝生流『八島』ほか

家康が1616年に亡くなって、今年で400年なのだそうで、年忌能の一つとして、野外劇場で上演されていた往時を再現したい。若き宗家の意欲によって、まさかの背景美術つき(驚愕)グランシップ中ホール(約870人収容)の多用途ステージに、能が出るときだけ屋根のない仮設舞台を組み立てるわけで、その上方の天井部分は、通常は暗くなっている。今日は木製の壁のすぐ上に、鏡板の老松とタッチを合わせた松の枝という大道具があしらわ...

Read more

SNSパワークレイマーになる前に。

かねて新批評的なエリオット解釈に違和感を抱いていた佐伯彰一が、意欲的な女流の最新研究に接し、「じつはあのエリオットにして、聖セバスチァンに関心を抱いていた」と知るに及んで、ハッと胸を打たれる。おい、聞いたか、三島よ……。エリオットを語りながら、じつは佐伯先生、ご自分を主人公にしたドキュメンタリーを書いてるですな。その臨場感、瑞々しさが彼の評論の魅力です。彼において重要なのは「自分は富山の神道の家の子...

Read more

1993年、佐伯彰一『大世俗化の時代と文学』講談社

日本では「ヒューマニズム」という言葉が戦中の軍部の非人間性に対して戦後民主主義的という意味で使われていると思うんですけれども、本来「人間中心主義」とは、神に逆らうという意味なのです。神を否定するから、神が人間を罰するためにお創りになった地獄をも否定する。地獄が怖くないから現世礼賛・欲するところをなす快楽追及主義になるという理屈です。浪漫とは、もともと羅馬(Rome)なわけで、キリスト教以前の異教文化を...

Read more

2014年、吉岡友治『その言葉だと何も言っていないのと同じです!』

副題:「自分の考え」を論理的に伝える技術。啓発書・実用書も数あれど、ちょっと珍しいくらい密度の濃い本です。「断固たる決意で臨む」「組織一丸となって」「一人ひとりができることをする」……他人を説得するつもりで、ついつい使ってしまいがちな定型句が、いかに内容空虚かつ危険な思い込みに満ちているか、こてんぱんにやっつけて参ります。ビジネス書という位置づけで、サラリーマン上司と部下の会話をイメージさせてるんで...

Read more

同性婚は伝統的な家族のありかたを変えません。

だって、一夫一夫制(または一婦一婦制)で、一生のあいだ離婚せず、二児を育て上げれば、「伝統的な家族」と比べて、なんの変わりもありません。変わるのは、ストレート男女が「ホモが結婚するくらいなら、私が浮気したっていいよね」と思った時です。社会がこれを防ぎたければ「異性愛者も引き続き一夫一婦制を維持しなさい」と教えればいいです。また「GLBTを自分の逸脱行動の口実に利用してはいけません。彼らのご迷惑です...

Read more

女性に共感しない美輪明宏の辛口人生相談。

「成人した娘の我がままがひどくて困る」という人生相談を受ければ「甘やかして育てたあなたが悪い」とバッサリ斬り捨てるのが美輪明宏。某待合室で某雑誌を見ていたら、珍しいほど辛口の人生相談があったので、回答者をよく見たら美輪さんでした。女同士は互いに「分かる~~」とか「あるある~~」という共感を求めて身の上話をするものですが、次の瞬間に口から飛び出すのは「うちの子もね~~」とか「うちのお母さんもね~~」...

Read more

『300』のメイキング風景。

クロマキマキマキ。ブルーシートの上に裸のお兄さんがいっぱい。変な現場だなァ……でも、あの肉体美が本物であることがよく分かります。あと、機材でいっぱいのすごく狭い空間で殺陣を演じている。細かく撮って、ていねいにつなぎ合わせるですね。先立って、原作コミックに基づくストーリーボード(絵コンテ)が入念に描かれているのでしょう。テレビのトーク番組(ダウンタウンがホスト役)で、志村けんと坂上忍が現代のテレビ撮影...

Read more

「チョコはないが、俺はいるぞ!」

アニメ『妖怪ウォッチ』第1シリーズにおける妖怪執事ウィスパーの名台詞。あの回は「いつから術中に落ちていたのか?」と考えると怖くなってしまう話で、そう思って最初から見直すと、男児たちの会話がひと段落したところで奇妙な間があるのですね。よく出来てるなァと思いました。第1シリーズは、ロボニャン初登場回でロボットらしい「ウィーン、ガチャン」というアクションが逐一再現されていたり、ジバニャンの元の飼い主との...

Read more

理帆子、こひな、地味なクラスメイトくん。

辻村深月『凍りのくじら』のヒロイン芦沢理帆子は、自分自身が法科へ進んで弁護士となり、松永から独立しようと思っていない。父親の思い出の残る家を離れたくないのが本当だから、簿記(エクセル)を勉強して「一般事務のエキスパートとして地元就職する!」ってことでもいいのに、手をつけない。進学校を中退して美容師の学校へ行ったっていいのに、行かない。どうせ松永のお金で東京の大学へ行かされることになるんだからと、彼...

Read more

2015年、住野よる『きみの膵臓を食べたい』双葉社

やまうち、さくら。山中で春を待つ花は、ひっそりと佇む孤峰のようだった若者の心に根をおろしたのでしょう。彼とともに長い時を咲くのでしょう。『羊たちの沈黙』みたいな話ではないことを最初に申し上げておきます。帯に「涙、涙」と連呼されているので誤解する人も少ないかと思われますが、カバーイラストにある通りの高校生男女の恋愛物語です。エドウィン・ミュアーの分類に従えば、劇的小説。せまい空間とせまい人間関係にお...

Read more

日本男性の近代化とフェミニズムのジレンマ。

鴎外の舞姫は、座長から何を強要されて泣いているのか。夜の奉仕です。康成の踊り子の夜が汚されるとは、どういうことか。わずか十四歳の少女が好きでもない酔漢によって破瓜されるということです。主人公の青年は、それが当然起こるべきこととして、なかば期待しているからこそ煩悶している。漱石の「先生」に子どもができず、痙攣的に笑うのはなぜか。親友への罪悪感によって、EDに陥っているからです。夫人にしてみれば望まれ...

Read more

風呂場の鏡でボディチェックしそうな男性を批判する女性。

芸能人などを話題に、さも気持ち悪そうに「やってそう~~」と言う女性。実際にそのようにしている映像が放映されてしまったのを受けて、「あんなもの見せることないじゃない」と批判しているのではないのです。勝手に想像をふくらませて、勝手に批判している。男性ナルシシズムを嘲笑してやったつもりで、自分の脳内をさらしてしまうことになるので気をつけましょう。これ、立場を反対にしてみると簡単に分かるので、「ああいう女...

Read more

2002年、森昭雄『ゲーム脳の恐怖』NHK出版

根本的には「子どもには外遊びと言葉かけ、スキンシップが必要だよ」と云ってるんで、悪い話じゃないのです。運動のきっかけになるゲームならいいんじゃないかというのも常識的な判断です。これを叩くこと自体を面白がっちゃうと、ゲーム叩きの裏返しの同じ穴のむじなで「ゲーム脳脳脳」みたいなことになっちゃうでしょう。読んだのは初版発行後わずか三ヶ月後に出た第七刷。最終的には三十五万部ほどになったそうで、今ではなかな...

Read more

2014年、 平池芳正ほか『繰繰れ! コックリさん』

にょーたいかーー。にょーたいかーー。ビバ、添加物。遠藤ミドリ原作。拝見したのはテレ東のアニメ版。真顔で講評するような作品じゃないってこともなくて、描いている人たちはやっぱり頑張っているわけですから、真顔で取り上げてみましょう。アニメとしては、漫画のコマとコマの間の空白を上手に動画でつないでいるなと思ったことです。背景画も美しく、音楽も気が利いており、たいへん良い仕上がりだと思います。みずからに人形...

Read more

1928年、エドウィン・ミュアー『小説の構造』ダヴィッド選書

佐伯彰一の翻訳で、ダヴィッド社から1954年初版第一刷。まさかの「です・ます」調。ミュアー自身の小説論の明快さと、佐伯節全開のこなれた訳があいまって、気持ちよく読める名著です。ミュアー自身はイギリス人の詩人で、ドイツ文学の翻訳者でもあり、とくにカフカをイギリスへ紹介した功績で知られるのだそうです。「時間、空間という実人生をおしつつむ枠のいずれか一方を断ちきることによって普遍性を獲得するという<小説の美...

Read more

2014年、北村龍平『ルパン三世』

レンタルDVDで拝見しました。小栗旬の役作りがお見事でした。浅野さんは楽しそうでしたね。二人の誇張した演技は云うまでもなくアニメ声優の遺業に負っているわけですが、対するに黒木不二子が女性声優に寄りかかったものでないのが印象的でした。とくに冒頭の彼女の天井から逆さづりになった美しさは刺激的で、「フィルム・ノワール監督の皆さん見てますか?」と呼びかけたいようです。あなた方に憧れた日本映画界がここまで来...

Read more

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。