記事一覧

1977年、森谷司郎『八甲田山』

二人とも、冬の八甲田山を歩いてみたいとは思わぬか。製作:橋本忍 野村芳太郎(松竹) 田中友幸企画:吉成孝昌 佐藤正之 馬場和夫監督:森谷司郎 原作:新田次郎「八甲田山死の彷徨」(新潮社版)より脚本:橋本忍 音楽:芥川也寸志 撮影:木村大作 照明:高島利雄 演奏:東京交響楽団(指揮 芥川也寸志) 後援:青森県きみの祖国は日本と呼ばれ、豊かな四季があります。水の惑星の水は、ときに水の形を取らず、雪とな...

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バブルごっこはコミケの中だけにしましょう。

【29万余票の行方】政府与党も29万余票を見過ごしにするほど間抜けではありませんから、取り込みにかかるでしょう。すなわち、しばらくの間は、二次創作やコミケそのものを規制するといった話は出なくなります。が、政府と社会は改憲とオリンピック開催に向けて走り出します。清く正しく美しい国ニッポンというイメージ戦略・同調圧力は、耐えがたいまでに強まるでしょう。だからといって、権力を敵視する必要はありません。政府と...

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カーマと薔薇族の優しい嘘。

東郷健が云った「オカマという言葉は、カーマ(愛)が語源」というのは、イメージを良くするための戦術の一つですから、本来は「釜を掘る」であることに変わりはありません。「陰間が語源」と云った場合にも同じことです。要するに「春をひさぐ」ことの一種として、女陰ではない部分を提供する男性ということです。そういう人々が女装していることが多いので、そういう商売ではないのに女装している人々(たんなる女装趣味者・トラ...

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これからの新宿二丁目と女性。

女性は「どうせ男も女も同じ人間じゃん」という理屈で社会進出して来ておりますので「どうせみんな同じじゃん病」に罹患しやすいのです。しかも、つねに男女を比較して「まだまだ女のほうが不利だわ。もっともっと弱者特権を主張して行かなければならないわ」という、被害者意識がひっくり返った優越感・自分優先意識という、ややこしいものを抱えてしまうことがあります。これを「私が一番可哀想病」と名付けることに致します。な...

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血と薔薇族。

コミケは1980年代初期に分裂を経験しています。すでにその時点で「アニパロ」作品の出展が増大しており、「同人活動は女のホモソーシャル」という性質も確立していたので、これ以降に参加した人にとっては「同人活動というのは、女性が男性からは何も教わらずに、自分なりのアイディアでどんどん書いていくものだ」と感じられるのは当然なのです。今年49歳になる人は、1967年の生まれ。13歳になった時、1980年でした。1983年の大ア...

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1961年5月、内田吐夢『宮本武蔵』東映京都

やり直しのできんのが人生だ。製作:大川博、原作:吉川英治、脚本:成沢昌義・鈴木尚之、撮影:坪井誠、美術:鈴木孝俊、音楽:伊福部昭伊福部音楽の鳴り響くオープニングの格調高さに、ややのけぞりながら鑑賞開始。まだ中村だった時代の錦之助が主演。たいへん熱血です。暑苦しいです。お通さん役・入江若葉は新人ですが、たいへん力量ある清純派ヒロインです。天下分かれた後の関が原。冒頭から泥まみれで這いずり回る敗残の錦...

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1957年、シドニー・ルメット『12 ANGRY MEN』MGM

This is one of the reasons why we are strong.原作・脚本:レジナルド・ローズ 音楽:ケニオン・ホプキンス 撮影:ボリス・カウフマン 製作:ヘンリー・フォンダ、レジナルド・ローズ アメリカが強い理由はここにある。『青い山脈』と『飢餓海峡』を観て、なんか似たような話で大事な作品をまだ観てないぞと思い出しまして、借りて来ました。作品選びも「ご縁」みたいなものが必要で、これでも手当たりしだいというわけでは...

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BLは、適度に楽しむフィクションです。

BLがトラブルとして認識されるのは、それで得た(偏った)知識が新宿二丁目へ持ち込まれた時です。たとえば探偵小説のファンは、実際の警察による犯罪捜査の撹乱を願うものではありません。仁侠映画のファンは、実際の暴力団事務所を見物する素人が増えることを望むものではありません。ただそれだけの常識・約束が、BLでは守られていないのです。とくに「同人やっていた」人は、サブカルパワーを過信してしまうことがあり、新...

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1980年代『花とゆめ』のBL化と、「禁断の愛」のハッピーエンド化。

1980年代前半、白泉社の少女向け漫画雑誌『花とゆめ』に連載されていた女流作品が途中からBL化したという現象は、確かにあったのです。もともと金髪美少年を主人公に、二十四年組の二番煎じ要素を持っていた作品が、3本くらい。多くはないです。『花とゆめ』そのものについては以前に詳述しましたが、たいへん多彩な連載陣・作品をそろえた意欲的な雑誌でした。(今もあります)そのうちの3本くらいが該当作品にすぎません。19...

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警察力の「リソース」というジョーカー。

では、警察を入れない話を致しましょう。公僕の人的資源を漫画の検閲に傾注すると、実在被害の捜査・保護に差し支えるというのは、説得力のある材料のようですが、「じゃあ警察を増員しろよ」という声を呼んでしまいます。また、「漫画のほうはボランティアで対応しよう」という声も出てくる可能性があります。対立者を黙らせる最高の切り札のように思われることが、じつは最悪のジョーカーということがあるのです。なぜなら、「そ...

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1966年2月、マキノ雅弘『日本侠客伝 血斗神田祭り』東映京都

待て待て待て! 警察を入れるんじゃねェぞォ!脚本:笠原和夫、撮影:わし尾元也、音楽:斉藤一郎、助監督:原田隆司シリーズ屈指の名作。と云いたいのが一杯あるわけですが、これはたぶん名作中の名作。神田のまとい持ち、火事は消しても燃える心が消さりょうか。逆デジャヴュを感じつつ。役者の吐く息が白いです。『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』・『昭和残侠伝 一匹狼』と同じ年。健&純子にはお忙しいことです。高倉と鶴田の二枚...

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1968年9月、山下耕作『緋牡丹博徒』東映京都

ご当家の親分さん、お姐ェさん。陰ながら、お許しこうむります。脚本:鈴木則文、撮影:古谷伸、音楽:渡辺岳夫、助監督:本田達男女だてらとお笑いくださいますならば、仁義、お受け致します。(『次郎長三国志』より)おんな一匹、緋牡丹渡世。こちらも控えてみました。仁義の口上をスラスラ述べるのは男でも難しいみたいで、風間重吉(池部良)の他には、このお龍さんがピカイチじゃないかと思います。純子の歌唱については云わ...

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1963年10月、マキノ雅弘『次郎長三国志』東映

てめェ生国と発しまするは駿河にござんす。企画:小倉浩一郎・俊藤浩滋、原作:村上元三、脚本:マキノ雅弘・山内鉄也、撮影:三木滋人、音楽:鈴木静一、助監督:山内鉄也時代劇王国東映が放つ新・次郎長シリーズ第一弾(予告篇より)だそうです。近所のレンタル屋に『総長賭博』以降がそろってないもんですから、シフトしてみました。のんびり明るい人情劇。安定のマキノ的俯瞰の構図から始まります。子分が一人ずつ増えていく様...

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1968年10月、内田吐夢『人生劇場 飛車角と吉良常』東映東京

惚れるってのァ、いいことだよ。その代わり、惚れぬかなくっちゃァ、惚れた甲斐がねェよ。製作:大川博、企画:俊藤浩滋・大久保忠幸・吉田達、脚本:棚田吾郎、撮影:仲沢半次郎、音楽:佐藤勝、編集:長澤嘉樹、助監督:三堀篤あらやだびっくり。製作年代からいっても、鶴田浩二・若山富三郎・藤純子・中村竹弥・大木実・天津敏・山本麟一・山城新伍・松方弘樹・高倉健という、いつもの東映メンバーからいっても、てっきり二次創...

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1963年5月、沢島忠『人生劇場 続 飛車角』東映東京

俺は日本の侠客だ、嘘は云わん。企画:岡田茂・亀田耕司・吉田達、原作:尾崎士郎、脚本:相井一杭、撮影:藤井静、音楽:佐藤勝前回以上の名作でした。撮影にも音楽の使い方にも、京都流の美学が横溢しております。(※監督が京都撮影所で修行した人)前作は、明らかに続篇を意識した微妙なラストでしたが、無事に奈良坂を取ったようで、その後の角さんの一代記。脇役たちがいつものメンバーなので、だいぶ東映ワールド。(こっち...

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1963年、沢島忠『人生劇場 飛車角』東映東京

もう、男の意地や義理はいや。企画:岡田茂・亀田耕司・吉田達、原作:尾崎士郎、脚本:直居欽哉、撮影:藤井静、照明:川崎保之丞、音楽:佐藤勝、編集:田中修製作の吉田は(岡田の命令で)『さらば宇宙戦艦ヤマト』にも深く関わっちゃった人。こっちは岡田が原作に大鉈をふるったんだそうで、飛車角が寄せ場にいる間の「おとよ」さんを中心にしたメロドラマ仕立て。台詞のやり取りを大切にした文芸調。歌舞伎の世話物というか新...

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1965年8月、マキノ雅弘『日本侠客伝 関東篇』東映京都

ヤクザってやつァ、いつも堅気さんに迷惑かけちまう。脚本:村尾昭・笠原和夫・野上龍雄、撮影:吉田貞次、音楽:斉藤一郎大正十三年、築地魚河岸。新旧組合対決。鶴田浩二最強伝説。お久しぶりの侠客伝。このシリーズは二枚看板なので、それぞれにどういう役柄を与えるかが重要で、今回は映画二本分の太いプロットが最高に良い具合に重なっていたかと思います。若い風来坊が、気っぷと腕っぷしの良さで土地の人々に歓迎され、リー...

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1967年7月、小沢茂弘『博奕打ち 不死身の勝負』

生まれ変わるためには、人よりも、自分を抑えることが大切だと、つくづく分かったです。脚本:小沢茂弘・高田宏治、撮影:山岸長樹、音楽:渡辺宙明シリーズ第三弾。前作から2カ月しか経ってませんが(!)、だいぶ路線変更しました。前作は話がちがう世界へ行っちゃいましたが、今回は博打がちゃんと(ってのも変ですが)物語の中核に据えられており、その息詰まる緊張感と、豪快なアクションが両輪となって、まさに石炭をくべた...

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1967年5月、小沢茂弘『博奕打ち 一匹竜』東映京都

脚本:小沢茂弘・高田宏治、撮影:わし尾元也、音楽:津島利章、協賛:江戸彫勇会有志湯殿に菖蒲も香る、男の節句の代紋祭り。猟奇とエロスと品格と人情が無邪気に同居しちゃう世界観は日本でしか撮れません。オープニングタイトルバックで墨(というか朱)を降ろしている真っ最中で、針が男肌を刻む音が延々と響いて参りまして、いてててててててててててて。一瞬も「ガマン」できない自信ならありますorz今回の鶴田浩二は、宇之...

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1965年、内田吐夢『飢餓海峡』東映東京

それは、日本のどこにでも見られる海峡である。製作:大川博 原作:水上勉 脚本:鈴木尚之 撮影:仲沢半次郎 照明:川崎保之丞 音楽:富田勲 特撮:上村貞夫 助監督:山内柏水上勉原作なんて聞くと「うっ純文学。むずかしそう」という怯えが走るわけですが、云ってよければたいへん面白く、見ごたえのあるサスペンスです。青函連絡船層雲丸転覆事件裏面史。事件と捜査の経過を時系列順にじっくりと。北海道から下北、東京、...

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1949年、今井正『青い山脈』

古い上着よ、さようなら。寂しい夢よ、さようなら。原作:石坂洋次郎 脚色:今井正・井手俊郎 製作:藤本真澄 撮影:中井朝一 美術:松山崇 録音:下永尚 編集:長澤嘉樹 合成美術:渡辺義夫 音楽:服部良一 主題歌作詞:西條八十 主題歌作曲:服部良一 まァ、戦争が済んでも?原節子ばんざい。作中に登場する『美貌』という女性向け雑誌の表紙絵(虹児か淳一か)とそっくりなのでビックリしちゃいます。絵に描いたよう...

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差別する心は、自他を比較し、価値判断する心から生まれて来ます。

だから、他人を「かわいそう」と云って笑っていた心は、急に他人がうらやましくなって、自分が可哀想になってしまうこともあります。いっぽう、男女を比較して「男のほうが得してる」と思う心は、男性が被害者として描かれている物語なら楽しく読むことができる、ということがあります。したがって、アンハッピーエンド型の過激BLしか読めないという人が、他の女性を「遅れてる」などといって笑いものにしていたのに、身の上話を...

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1974年、『宇宙戦艦ヤマト』(DVD第2巻)

【第7話】見苦しいぞ。最後の最後まで、冷静にやれ。作画監督:芦田豊雄冥王星雪辱戦。惑星の重力にブン回されるヤマト。反射衛星砲は連発できてすごいなァ。なんだかんだ云って、最もSFらしい番組だったよなと思ったことです。「巨大なエネルギーの束」とか、それを反射させるアイディアとか、ロケットアンカーという宇宙戦艦ならではのアイディアとか。スペースオペラと云いつつ、惑星に着陸してからの地上戦が主眼といった作...

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多様性とは、ぼっちになることです。

日本のアニメ番組では、かなり古い時代から、女性キャラクターの活躍が目立っていたのです。なにも「お茶くみ」嬢というのではなく、みずからヘリコプターを操縦して主人公を助けに来てくれたり、正義の味方の一人として戦闘に参加したり。沖田十三の指揮のほとんどは森雪の解析を頼りにしていますね。彼女達は、中年の指揮官に対しては賢い娘。若者たちに対してはロマンスのお相手。幼いキャラクターに対しては母親代わりと、八面...

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1974年10月6日『宇宙戦艦ヤマト』

誰のためでもいいじゃないか。みんなその気でいればいい。企画・原案:西崎義展 脚本:藤川桂介 音楽:宮川泰 演出:石黒昇 監修:山本暎一・舛田利雄・豊田有恒 プロデューサー:西崎義展(※オープニング登場順)初心忘るべからず。テレビ第1シリーズを最初から見直す企画。全26話なので、そんなに大変じゃありません。これがないと『ガンダム』も『エヴァ』も、たぶん『ワンピース』も『セーラームーン』さえもありません...

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1969年2月、加藤泰『緋牡丹博徒 花札勝負』東映京都

渡世修行中の、しがなき女にござんす。企画:俊藤浩慈・日下部五朗、原案:石本久吉、脚本:鈴木則文・鳥居元宏、撮影:古谷伸、照明:金子凱美、音楽:渡辺岳夫、助監督:本田達男お久しぶりの仁侠映画は加藤泰つながり。絶賛緋牡丹博徒シリーズ第3弾。女を眺めてもなァ……と思って敬遠してたんですが、ものすごく密度の濃い1時間40分でした。明治の中頃、名古屋。お龍さんはジタバタしたいほどカッコ良かったです。きれいだし優...

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デイモスは裏切りの神であり続ける必要がある。

池田悦子原作・あしべゆうほ作画『悪魔の花嫁』。1975年から連載されている作品で、不定期掲載となりつつ最終回を迎えていない。少女漫画には時々あるパターンです。デイモスは、裏切りの神であり続ける必要があるので、ヴィーナスとの約束を果たしてしまうわけに行かないのです。現実なら、美奈子がどんどん歳を取るので、永遠の美と若さの女神(の神霊の引越し先)には相応しくなくなってしまい、デイモスは結局「約束を果たさな...

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消去法的BL理解。

【1.無理に買う必要はありません】「男女の話がつまらないからBL」とか、「男女の話が恥ずかしいからBL」など、いろいろな説明があります。けれども、「確かに最近の少女漫画はつまらないけど、男同士の話なんてもっとつまらないわよ!」と思う人は、BLを買わないはずです。例えばの話、バニラ味に飽きたからといって、好きでもないチョコ味に無理してカネを出す必要はありません。チョコも食わなきゃいいだけです。なにが...

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40代の人は、よく知らないのです。

今年49歳になる人は、1967年生まれです。さすがに小学生の内から、保護者が娘だけで上京することを許すとは思えないので、女子だけでイベントに参加できるようになったとすれば、中学校へ入学してから。すなわち(遅生まれなら)満13歳になる年です。1967+13=1980すごく単純な足し算です。今年で40代最後の歳を迎える人は、コミケ(に準じる同人誌即売会)に参加できるようになった時、すでに1980年代に入っていたので、1979年以...

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バブル同人の甘えの象徴。

意外なようですが、パロディ同人が自虐したのは、男性同士を描いたからではないのです。男性の原作者がBL化をいやがるので禁止されやすいからでさえないのです。これは証明問題の一種と思ってもらえばいいです。プロによる少年趣味作品と混同され、社会学者・メディアから注目され、テレビ局の取材が入ったり、一般読者の見物(ひやかし)が増えれば、困るのはパロディ同人のほうです。親告されなければ問題ないはずのものが、著...

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。