記事一覧

「壮大なコスプレ」の逆説。

映画というのは「原作のタイトルの権利だけ買う」ってことができるんだそうで、中味は別ものってことはよくあります。ミステリーの犯人が違うとか、結末が違うなど、決定的な要素が変更されていて、タイトルが物語を象徴する機能を喪失してしまっていることさえもありますね。いっぽう、コスプレというのは勝手にデザインを変更してしまうと、なんのコスプレだか分からなくなってしまうので、完全再現が基本です。著作者人格権とい...

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勝手に期待する人は、自分から逃げる人。

特定の少女漫画に登場する脇役男性キャラクターの名前を挙げて「彼らのBL展開を期待していたと言ってくれなければダメでしょ?」ってね。言って来た人があったですよ。本当にビックリしたのです。本人がそういう趣味でもいいけれども、なぜ他人が同じことを考えていると思い込んでいるのか?やっぱりと言うべきか、そういう人が「ゲイなら絶対に私の気持ちを分かってくれるから、ちょっと新宿二丁目へ行ってくるわ!」って、なっ...

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2001年1月、井坂聡『人間の証明 2001』テレビ東京・BSジャパン

いっそのこと忘れてしまえるなら、いちばん楽なんです。原作:森村誠一(角川文庫刊) 脚本:清水有生 音楽:和田薫 撮影:佐野哲郎 照明:渡部嘉 美術:太田喜久男 録音:鈴木肇ビデオ画質。(まずそこ)テレビ東京「愛と女とミステリー」第1回作品につき、高島礼子演じる女性刑事を投入したホームドラマ仕立て。子役たちがすこぶるいい演技します。物語を1970年代から2001年現在までに移したので、沖縄ロケを敢行いたしま...

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1956年4月、木下恵介『夕やけ雲』松竹

おとなには覚悟ってものが要るんだよ。製作:久保光三 脚本:楠田芳子 撮影:楠田浩之 美術:平高主計 録音:大野久男 照明:豊島良三 音楽:木下忠司 監督助手:上村力山のあなたの空遠く、胸に沁み入る77分。もはや戦後ではない1956年当時の大都会へ戻ってきて、片隅にカメラを据えてみました木下組。出会いと別れ。男と女。兄と妹。少年と少年。60年前の青春。戦争が終わって、復興も終わって、それからのぼく達は、軒先...

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同人の自虐は、開き直りではなく自粛するためです。

まず、先に言っておきますと、こういう話に対しては「私はべつに、そこまで考えて行動してるってわけじゃないのよ」と変な自慢する人が出てきます。「私は社会学者ではないから弱者特権とか気にしたことないわ」ってね。そういう人ほど「少女漫画からは二次創作が発生しないように編集が目を光らせてるけど、ほかは大丈夫って『みんな』が言ってるから、たぶん大丈夫よ」とか言っちゃうのです。だからその「みんな」が言ってるいい...

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ゲイからは可哀想と言われないという保障はないです。

「女友達から『未婚者は可哀想』と言われたから、ゲイバーに来た」一見、もっともらしいようです。グッドアイディアみたいです。でも、ゲイなら憐れまないでくれるという保障はありません。なぜ、あなたは女性のリア充が言うことを、ゲイのリア充は言わないと信じているのですか?ゲイは自分が可哀想と言われることが多いから、他人が可哀想と言われた時の気持ちも分かってくれると思っていますか?残念ながら、ゲイというのは、ゲ...

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なぜ「BLぅ」とは言わないのかが論点です。

一部の女性がSNS上で使う「ホモぉ」という言葉について、ゲイ側もその意味するところが二次創作BLであることを知っていながら、尚かつクレームするのは、まさにそれが二次創作BLを意味するからです。つまり、本来は「二次創作BLぅ」とつぶやきながら徘徊するべきところ、彼らがいやがることを知っていて、わざとホモという言葉を使うので、彼らに対するいやがらせとして機能しているのです。だから、クレーム返しは「ホモ...

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それは「ノンセク」ではなく、トランス・チェイサーといいます。

まず、今年20歳前後の若い人の親御さんというのは、45歳前後の可能性が高いです。現在では、LGBTの子どもを持つ親の会も結成されています。当事者を含む教員どうしの連絡会もあります。当然ながら、彼(女)らは「大事な息子・娘が中年に利用されないように守る」という意識を持っています。中年は、自分自身がまだ小娘のふりをして若い男に付きまとっていたら、自分と同い年以下の親が出てきて「うちの子になにかご用ですか」...

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1970年10月、黒澤明『どですかでん』四騎の会・東宝

さァ、発車しようぜ!企画:四騎の会(黒澤明・木下恵介・市川崑・小林正樹) 製作:黒澤明・松江陽一 原作:山本周五郎「季節のない街」新潮社版 脚本:黒澤明・小国英雄・橋本忍 撮影:斉藤孝雄(三船プロ)・福澤康道 美術:村木与四郎・村木忍 録音:矢野口文雄 照明:森弘充 音楽:武満徹 監督助手:大森健次郎クレヨンの色、トタンの色、エバーグリーン。黒澤初のカラー作品は、目の離せない役者たちの名演ぶりと、...

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1962年4月、市川崑『破戒』大映

そして、死ぬまで皆さんと同じように人間なのだ。製作:永田雅一 企画:藤井浩明 監修:松本治一郎 原作:島崎藤村 脚本:和田夏十 撮影:宮川一夫 録音:大角正夫 照明:岡本健一 美術:西岡善信 音楽:芥川也寸志映画は大映。文芸大作感あふれるオープニング。重厚なキャスティング。そして牛。話が見えないうちからたたみ掛けるように、市川らしいアイディアと、安定の宮川カメラによる魅力的な画が横溢しております。...

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1955年11月、木下恵介『野菊の如き君なりき』松竹

だって私、竜胆がこんなに美しいとは知らなかったわ。原作:伊藤左千夫『野菊の墓』より 脚色:木下恵介 撮影:楠田浩之 美術:伊藤喜朔 録音:大野久男 照明:豊島良三 音楽:木下忠司国敗れて、山河あり。たおやかなモノクロ。手際鮮やかな92分。戦後社会の直接的な諷刺にはひと段落ついたということのようで、農地改革も済んだ頃、なお残る日本の風景を撮りに出ました木下組。長い木製の橋、リアル野菊。黒澤組とは真逆の...

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1954年1月、成瀬巳喜男『山の音』東宝

われ、遂に。富士に登らず老いにけり。製作:藤本真澄 原作:川端康成(筑摩書房・版) 脚色:水木洋子 撮影:玉井正夫 美術:中古智 録音:下永尚 照明:石井長四郎 音楽:斉藤一郎 監督助手:筧正典 山村聡の誠実な鈍感。原節子の陰湿な純情。晩春、麦秋と来て、葉を落とした銀杏並木。女の身分は自由になっても、言ってはならないことがある。(小津作品と印象が混ざる混ざる)プロット、脚本、キャスティング、構図、...

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1953年10月、本多猪四郎『太平洋の鷲』東宝

百年兵を養うは、ただただ、平和を守らんがためである。製作:本木荘二郎 脚本:橋本忍 撮影:山田一夫 録音:宮崎正信 照明:大沼正喜 音楽:古関裕而 美術監督:北猛夫 美術:阿久根巌 特殊技術:円谷英二・渡辺明・向山宏 応援監督:小田基義 監督助手:小松幹雄 協力:米極東空軍司令部昭和二十八年度芸術祭参加作品。東宝戦後初の戦記映画。ニュース映画ふうの硬質なナレーションと地図の色分けなど初歩的アニメー...

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1966年10月、山本薩夫『白い巨塔』大映

今夜しみじみ知らされた男心の裏表。製作:永田雅一 原作:山崎豊子「サンデー毎日」連載・新潮社版 脚本:橋本忍 撮影:宗川信夫 録音:奥村幸雄 照明:柴田恒吉 美術:間野重雄 音楽:池野成 助監督:岡崎明映画は大映。昭和四十一年度芸術祭参加作品。英雄か、偽善者か。(予告篇より)実弾飛び交う最前線にもいろいろあるもので、言わずと知れた大学病院内幕物語。敗戦の痛手もすっかり癒えて、民主日本も爛熟しちゃっ...

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1959年7月、松林宗恵『潜水艦イ-57 降伏せず』東宝

激してはいかん。激した気持ちで日本の将来は考えられない。製作:堀江史朗 原作:川村六良 脚本:須崎勝弥・木村武 撮影:完倉泰一 美術:清水喜代志 照明:森弘充 音楽:団伊玖磨 監督助手:清水勝也 特殊技術:円谷英二昭和二十年六月二十日。魚雷に人を乗せる必要があるんですかと思いつつ、特撮見事です。モノクロ画面に第二種軍装がまぶしい。美男俳優大量投入の娯楽活劇にはちがいないですが、実直な描写によって戦...

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1940年9月、阿部豊『燃ゆる大空』東宝・映画科学研究所

不覚じゃないぞ。よく帰ってきてくれた。後援:陸軍省 監修:陸軍航空本部 製作:阿部豊 原作:北村小松 脚色:八木保太郎 撮影:宮島義勇 特殊技術撮影:円谷英一・奥野文四郎 音楽:早坂文雄 主題歌:佐藤惣之助・山田耕作謹んで陸の荒鷲の英霊に捧げる皇紀二千六百年記念映画。陸軍省検閲済。正座して拝見。昭和十三年二月、北支戦線。当然ながらモノクロ撮影ですが、鮮やかな実機の離陸を拝見できます。鬼気迫る急旋回...

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1人いたら、1000人いると思えばいいです。

ウェブ拍手、応援コメント、批判コメント、SNSにおける暴露的発言などは、いずれもサンプルであって、その裏には複数の同意者がいると思えばいいです。少し前まで、わざわざパソコンを立ち上げて書き込むということをする人が少なかったので、2ちゃんねるなら2ちゃんねる、「はてな」なら「はてな」の中で済んでいたのですが、スマホの時代になってから、明らかに炎上しやすくなりました。申すまでもありませんね。逆に考えれ...

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新宿二丁目を困らせる家出娘ごっこ。

当方の同人・BL論は、当初から「女性があまりにも能天気にゲイと連帯できると信じて新宿二丁目へ乗り込んでしまうことを防ぐ」という目的を持っています。そういうことをする人がいると知ってビックリしたというのが本音です。とくに「同人やっていた」という人は、同人会の先輩から「絶対に行くな」という注意を受けているはずなのです。なんで今ごろ先輩の言いつけに背くのか。「女性の同人は上下関係に厳しかった」というのは...

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業界としての自由と、個人の自白は別なのです。

まず、有名キャラクターの似顔絵を描くと、自分がプロより下手であることが分かります。そこで「俺にゃ漫画家は無理だな」と諦める人は諦めるし、がんばって上手くなろうと思う人はがんばる。また『笑点』などを観ると分かるように、おなじお題で競作すると、各人の個性が分かります。そこで「俺はこういうのは向いてないな」と思えば他の仕事を探すわけですし、手ごたえをつかんだ人どうしでは、さらにセンスを磨こうという切磋琢...

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男同士をネタにはできても、連帯はできない。

女性が男性から性的に失礼なことを言われたと感じたとき、「あなたと寝たいっていう男もいるかもよ」とか、「あんたが自分でほかの男の嫁に行けばいいじゃん」とか言ってやることによって、一本取ってやった気分になることができるわけです。とくに、1970年代前半までの女性はそこまで言うことが(ほとんど)なかったので、1970年代後半以降は男性のほうで「女がすごいことを言うようになった。アプレゲールもここまで来たか」とい...

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1951年11月、成瀬巳喜男『めし』東宝

結婚って、こんなことなの?製作:藤本真澄 原作:林芙美子(朝日新聞連載・出版) 監修:川端康成 脚色:井手俊郎・田中澄江 撮影:玉井正夫 美術:中古智 録音:藤好昌生 照明:西川鶴三 音楽:早坂文雄 監督助手:川西正義ここは、かろうじて植民地化も分割統治もされずに済んだ敗戦国です。「ごはん」という言葉が、白飯単品の謂であると同時に、食事という行動全体をも示す国です。1951年11月には、まだコメだけは自...

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B級グルメとサブカル。

ラーメン食いながらジャンプ読むですよ。店主がそろえたコミックスを読破したくて焼きそば屋に通うですよ。インターネットがなかった時代、若者たちはそうやって時間を過ごし、自分を癒したのです。仕事がつまらねェと思ってる人もいたでしょう。勉強が分からねェと思ってる人もいたでしょう。サラリーマンも、ガテンもいたでしょう。東京都の隅っこから来た人もいたでしょう。地方でいちばんの都会から上京したら「ただの人」にな...

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山も落ちもないのは、二次創作BLです。

「手塚治虫や石ノ森章太郎の愛弟子であり、きちんと彼らの言うことを聞いて、立派に山も落ちもある作品を制作した萩尾望都や竹宮恵子とちがって、我々の手がけたものは程度が低いので、お捨ておきください。ぶっちゃけた話、テレビ局に対する著作権問題をかかえているので、見つかるとやばいんです」これが同人側から自虐した真意です。それ自体が注目されて、当の萩尾・竹宮と混同して論じられては、自虐した意味がないのです。こ...

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1980年代の二次創作BL小説同人の勘違い(2)

1969年初頭に連載開始した、わたなべまさこ『ガラスの城』が小学館漫画賞を受賞しておりますが、これは従来型の少女物語の行き着いた先のホラーまたはサスペンスですね。当時の少女は「怖いけど面白い」と思ったことでしょう。女子高生どうしのイジメは『青い山脈』にも描かれているとおりで、古いテーマです。吉屋信子の作品の要素の一つでもありますね。それが、ここまで来てしまった。少女が男性顔負けの権力を持てば、こういう...

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1980年代の二次創作BL小説同人の勘違い(1)

「同人誌とはアニパロです!」と言っちゃうレベルの同人および同人誌即売会一般参加者における無根拠な優越感という話。まず「コミック」マーケットとは、その名の通り、漫画同人会の集合です。大学生・高校生による部活動の一種だった同人会が卒業とともに自然解散して、もともと熱心に描いていた者だけが、そのまま同人会を名乗って、同人雑誌の執筆・出展(=即売)を続けているということもあります。「看板作家=編集長」とい...

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女にもゲイにも自分の世界がある。

まず、女性の未婚者が「未婚者・未婚者といって侮辱」されない権利というのは確かにあります。それが損なわれる場合も多いです。また「産めないの?」などと揶揄されることもあります。さらに男性が「俺は独身女性の生活に興味がある。一人でいるとき何してるの? やっぱりBLやレディコミを読んで興奮してるの?」などと、質問を装った性的いやがらせすることもあるでしょう。それに対して女性が「余計なこと言わないでください...

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それは弱者同士の連帯ではなく、お客さんの甘えです。

ゲイというのは、ゲイとは自称したくない人も含めて、たんに異性に興味がないというよりは、同性に興味が「ある」人々なわけで、最終的には惚れた男と結婚したいのです。配偶者控除、手術の同意書への署名、保険金・遺産の受取人など、互いの人生の重大局面において責任者として行動することを法的に(=全国的に)保障されたいのです。いっぽう、女性というのは、男性よりも長生きなので、全国的な多数決としては強者です。だから...

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差別用語を連発するアカウントは自分が目立ちたいだけです。

漫画家などが「江戸時代の障碍者が差別に負けずに立派な芸術家になった話を描こうとしているのでご理解ください。作中の台詞を削除しないでください」というのは、本人なりに良くよく考えた上で発言しているのです。それに便乗して、さっそく差別用語を連呼しはじめるというのでは、子どもがふざけているだけです。中年が子どものふりをして若く見せようとしているなら、二重三重の意味で不適切です。実際の身体障碍者が「何々と呼...

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女性は国民の過半数なので、じつは多数決上の強者なのです。

女性のほうが長生きなので、国民全体で見ると女性人口のほうが多いのです。けれども、国会・企業の重役会議など、意思決定機関内部においては男性のほうが多いので、国民の過半数を占める女性の意見が国政・営業戦略に反映されないという「ねじれ」現象が起きているのです。だから、女性が自分を第三身分とか、プロレタリア人民になぞらえて、新左翼っぽい気分になっちゃうこともあるのです。理系が苦手な人が多いので、なかなか爆...

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大人になれないから仕方がないということは、ないです。

「男女の性交ができないからといって、男同士の性交について質問しない」と自分で決めればいいだけです。「職場で『未婚者、未婚者』といって侮辱されたからといって、自分より若い人を差別したり、人前で下半身の話をしたりしない」と自分で決めればいいだけです。「虐待の連鎖を自分のところで止める!」と自分で決めればいいだけです。すこし前まで、こういう考え方ができない人は、けっこういたのです。支配的だったと言っても...

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。