1963年6月、マンキウィッツ『クレオパトラ』20世紀FOX

だいぶ前に人にすすめられてツタヤ・ディスカスで予約入れといたのが届いたというだけで他意はないんですが、ちょうど『平清盛』で「歴史ものの映像表現って?」というテーマを自分なりに抱えてしまったところだったので、いいタイミングでした。えー……

光ってました。

リアルに照明が多く、巨大かつ豪華なセットが余すところなく照らし出され、役者の顔にも影がなく、全てが映し出されておりました。
テイラーの肌はまさに真珠色に輝いていました。彼女の偉大さは、まずはこの肌の色であるのかな、などと思いました。

清盛を暗いの汚いのいう人は、こういうハリウッド黄金時代を想定してるのかもしれない、などとも思いました。
日本の映画やドラマって昔から割と暗かったし。

以下は個人的な感想ですが、ネタバレ全開です。
内容は、
官能メロドラマ&なんちゃって歴史舞台劇
でした。

テイラーのピンクがかった白い肌の滑らかさ、筋ばったところのないムッチリした肉体は(個人的には)理想の女性美で、それが全裸に近い姿でベッドに寝そべったり風呂に入ったりしてる画を見て嬉しくなった観客は大勢いたのではないかと思いました。

彼女がカエサルに会いにローマへ乗り込み、一大パレードを打つ場面では、大勢の半裸の女性ダンサーを従えてくるのですが、その一人が乳房を派手に揺すってました。
歴史に名を借りたエロス大作だーー(・∀・)と思いました♪

「なんちゃって」なのは、女性陣の衣装・髪型・部屋の調度などに60年代当時のセンスを発揮してしまっているからで、それはそれでまた現代の目で見てノスタルジーな、ロマンな感じで非常にいいんですが、それこそNHKの大河でやったらケチョンケチョンに言われそうです(笑
思い出したのは『フラッシュ・ゴードン』。ファンタジックなスペース・オペラでした。

歴史を語るにも、このくらいの遊び心はあってもいいのかもしれません。

セットは何せ巨大で豪華。わざと汚す効果は皆無で、足元に砂もまいていないスタジオ撮影。舞台なら間口一杯に一部屋ぶんのセットを組むところを、スタジオが広いに任せて幾部屋もつなげたのを、単純に水平に動くカメラで追っていく。

観客はちょうど劇場の客席の真ん中に座って、首を左右に振って拝見している感じです。
俳優は立ちっぱなしの長回しの芝居をよく演じていますが、やや大仰です。時代の好みなのかもしれませんが、……特にオクタヴィアヌスはやり過ぎ(微笑

日本のドラマはよく怒鳴る、と思ってましたが、この映画では外人さんもよく怒鳴ってました。
もしかしたら、力一杯の演技というのは、劇場を意識した古いタイプの芝居で、まだ日本ではそれが流行ってる(または残ってる)のかもしれません。

セットが見事なので、それを見ること自体がもうエンターテインメントであって、造ったものは影に入れずに全部見せるぜ、という臆面のなさはアメリカらしいのかもしれません。
動員人数がただごとでないのも一目で分かり、なにしろCGで人を増やすことのできない時代ですから、遠景はマット画でいいんだけど、水平線まで続くオクタヴィアヌス軍のように動いてる人物はとにかく本当に動いてる人間なわけで、それだけ集めて衣装も作って着せ、仕出し弁当も用意すれば休憩所やトイレも用意するのは大変だったろうなと、そんなことばかり考えました。

衣装については、男性陣のそれがHBO『ROME』のほうが量感があって豪華だったように思います。男優さんも役柄のイメージに合ってるんだけど、残念ながらグラマラスとかセクシーとかいうほどではなく、映し方も(それを強調した『ROME』と違って)あっさりしたもので、要するに全員がテイラーの引き立て役なのです。

なお、前後編の2部構成、その各々の冒頭と末尾にのみ、誰が語ってるのか分からない、ナレーションというものが入っていました。
「いまカエサルとポンペイウスの戦が終わったところです」「アクティウムで海戦やることになりました」と、そのへんから始めますのでよろしくご了承下さい、っていうような。
50、60年代の映画ではナレーションが入るのがよくあったので、当時のお約束だったのでしょう。
セリフは言わなくてもいいような説明的なものが多くて「歴史ものって基本こんなものなのかな」と思ったり、つまりこれが基本にあるので、後発の『ROME』は端折ることができたんだな、と理解したり。

お話の内容は、「自分では打つ手がないので男を怒鳴りつけてけしかける女と、女を追いかけて友軍を見捨てる将軍」って全然カッコよくないんだけどどうしましょう(´・ω・`)
よっぽど西太后みたいに自分で権力握ってしまう女のほうが面白い。(支配されたくはない)

これはもう、リズに萌えることができるかどうかにかかっている作品だと思いました。

とか愚痴っぽいことを言いつつ、堂々4時間。退屈せずに見通すことができたので、やっぱり豪華って大事です。
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