2016年1月1日『相棒』スペシャル。

  27, 2016 10:20
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「その怒りには、一分の義がある」

昔堅気な男が二人。対するに、法律に詳しいことを武器に「国際化する新生日本」という理想を強引に押し進める若手インテリ二人。

まさに右も左もない混沌の世にあって、男たちの指針となり、若者たちの人生航路を明るく照らす導きの灯となろうとしたのは、処女にして聖母。本多の早世した娘さんでした。

対するに、雛子ちゃんはすっかり悪役で、相変わらず芝居がくさかったですが、まァいいか今回で終わりだし。シーズン3から足かけ12年。見事に「自己責任」で完結しましたね。とはいえ、いなきゃいないで困るのが悪役なので……復活するかな?

野趣あふれる地方の風景と、近未来SF的な東京(対策本部)の対比。キャスティングの妙、冴えた照明、フェチっぽい撮影、男の色気というスパイス。

映像化の手際の良さは、もはや云うまでもないことですが、今回は伏線と小道具の使い方、一見した暴力性の陰にある知性対決、国際情勢認識、国内社会問題への細やかな目配りなど、脚本術のお手本と云いたいほどで、シリーズ中で一本挙げろといわれたら、まず推さなければならない名作かもしれません。

結局爆発が起きてしまい、それをCGで描いて迫力を出したつもりで外す、ということを避けたのも賢明だったと思います。

レギュラーメンバーの要所への配し方も絶妙で、なき小野田官房長官まで台詞上にきちんと顔を出すという気配りぶりにも感服つかまつりました。

映画版もスペシャルも、時によってはあの右京さんにして犯人に翻弄されて走り回ってるだけということもありますが、今回はマイペースぶりが(ギリギリまで)維持されたことと、ベテラン俳優同士の密室劇的演技対決が見られて眼福耳福。

最も意外な人物が犯人という点と、「少年」という単語によるミスリードは、ミステリの定石といえば確かにそうなんですが、「女の子とは思われていなかった」という悲惨な現実の裏づけがあったと後から聞かされれば、二重のミスリードと云えるでしょう。

あるいは、ここには口先だけで「男になりたい」という女性への小さな皮肉が効いているのかもしれません。

さらには、本物の革命軍だった人が堅気には迷惑をかけないという点は、迂闊なミリタリーごっこに憧れる男性への小さな皮肉なのかもしれません。

一本の作品として完成度が高いうえに、シリーズの総決算という意味と、雛子ちゃんなき後の新生シリーズの第一歩となるという。まさに破壊と再生のシヴァ神そのものでした。

親分の背中の顔がもう少しアニメっぽくないと良かったですが、今どきの東南アジアでは実際に日本製アニメっぽい絵が流行ってるのかもしれません。それにしてもいい体でしたね。

ティーカップが携帯される件とか、海に向かって叫ぶ冠城くんとか、コーヒー吹いたというべきファンサービスも有難く承っておきましょう。おまもりなくしちゃだめですよ。

それにつけても後浦村役場職員あかりちゃんが素晴らしい女優さんでした。右京さんとのテンポ良い漫才が微笑ましい。満願成就の際の哄笑を、くさみ無く演じられる女優さんは少ないのですが、彼女はひじょうに自然でした。ラストの絶叫も良かったですね。役柄に深く思い入れ、なりきるタイプの女優さんなのかもしれません。最後に、もう一つだけ。

古谷一行かっこいいい。

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