2016年1月8日、金曜ロードショー『ルパン三世 イタリアン・ゲーム』

  29, 2016 10:20
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2年ぶりの新作だそうです。その代わりに映画版があったとも云えますね。後味のよい良作でしたが、ややチープだったかと思います。

Gペンの描線を再現したキャラクターデザインと、背景の「ロケハン」はお見事。全体をこってりとした油彩画のタッチでまとめたのが西欧らしくて良かったと思います。

体格の違う人物による変装という、アニメの荒唐無稽さが十二分に活かされていたところが最大の評価ポイントかと思います。

男性の顔が中途半端に少女漫画っぽいのが難点で、いまどき珍しい作画の乱れが見られたのも残念でした。

それにつけてもルパンシリーズは「カリオストロの遺産」で何年飯を食うつもりなのか。その意味では洒落のきいた主題ではあって、粋ではあったのですが、ギャグセンスは明らかに幼稚でした。

フレッド・クィンビーの『トムとジェリー』がチャック・ジョーンズの手に渡って残念無念なことになったのが思い出されたことです。

もっとも意外な人物が真犯人というミステリーの定石を踏んだ脚本は、アイディアはいいのですが、ややテンポが悪かったかと思います。

ルパンととっつぁんのツーショットはオールドファン泣かせですが(三波春夫の唄声が聞こえる)、そのほかのレギュラーメンバーはいないも同然。

宮崎監督でさえ次元・五ェ門はあつかいかねたわけですが、次元大介を動かすことができたのは、テレビスペシャル『バイバイ・リバティ』の出崎監督だけだったかもしれません。(昔のテレビシリーズで過去の女性関係を描いた回があったのは別格として。)

レベッカは可愛いキャラクターで、クラリス姫の二番煎じでは勝ち目がないのは明らかですから、真逆の人間性を持たせたのは賢明な選択だったかと思います。オタクを犯罪者キャラにしてやるなと軽く抗議しておきましょう。

栗田寛一は、もはや物真似の域を脱して役柄を自家薬籠中のものにしており、感動的でした。

音楽は大野サウンドを堪能できて耳福でした。使いどころも選曲も良かったと思います。ご本人出演を拝見できて嬉しかったですw

総じて1970年代後半のテレビシリーズに依拠しつつ、ゲストキャラをよく動かした翻案ものとして、コピーのコピーのコピーにしちゃよくやったと。赤いドレスが眼に残るラストシーンは印象的。

奴は、とんでもないものを盗んでいきました。

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