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2014年、吉岡友治『その言葉だと何も言っていないのと同じです!』

副題:「自分の考え」を論理的に伝える技術。

啓発書・実用書も数あれど、ちょっと珍しいくらい密度の濃い本です。

「断固たる決意で臨む」「組織一丸となって」「一人ひとりができることをする」……他人を説得するつもりで、ついつい使ってしまいがちな定型句が、いかに内容空虚かつ危険な思い込みに満ちているか、こてんぱんにやっつけて参ります。

ビジネス書という位置づけで、サラリーマン上司と部下の会話をイメージさせてるんですが、創作者を含めて文章を書く人は必読だと思われます。

細かく章立てされ、冒頭に生々しい会話分の形でダメ定型句の具体例を示し、本文の序盤において太字で基調を述べ、続けてその根拠を論理展開し、章の終わりに箇条書きで「まとめ」として結論を記す。

>「論理展開」は難しくない。最初に述べた理由を詳しくわかりやすく言い換えていき、自分の言いたい結論につなげるだけだからだ。(p.182)

歯切れの良い文章、および本書の構成自体が正しい言葉の使い方の例示になっております。

著者は東大文学部出で、予備校の国語講師。小論文メソッドを確立し、学生・ビジネスマンの文章を何千何万と添削してきた、のだそうです。

白眉は第四章(「自分の考え」を論理的に伝える技術)で、じゃあ実際にダメ定型句を使わずに説得力のある文章を書くには何をすればよいか、惜しげもなくさらけ出してくれています。

基本的によけいなことを一切いわない硬派な文章なのですが、全編に言葉遊びとアイロニーの痛快さが満ちており、著者の経歴をあらためて(奥付で)確かめてみると、専攻は演劇と文学理論。なるほど。きっと風刺のきいた現代劇がお得意なのでしょう。離見の見もここに極まれりといったところです。

筒井康隆がラジオ出演したとき、ラジオ業界の「特殊な自意識」に驚倒した話や、室生犀星の微妙に貧乏くさい自慢話を皮肉るかのようなエピソードを伊丹十三が紹介していたなんていう、こぼれ話の選定ぶりも魅力的です。

全頁を引用したいくらいですが、そうもいかないので日本実業出版社から税別1400円です。A5ソフトカバー、230頁。軽くて手に持ちやすく、文字も大きく読みやすいです。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。