1977年、ジョージ・ルーカス『スターウォーズ』

  15, 2016 10:20
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ピーター・カッシングとアレック・ギネスを直接対決させたかった……。

ライトセイバーは一振り欲しいですが、撮影現場には日本から殺陣師を送り込みたいです。

『さらば宇宙戦艦ヤマト』が公開された年(1978年)の配給収入第一位(四十四億円)がこの作品なのだそうで、劇場公開を観た記憶もあるので思い入れはあるんですが、あらためて観てみると荒っぽいですなァ!

セットと特撮とCGがすごいから観ていられるんですが、もし見慣れた西部劇や第二次大戦ものだとしたら、そうとうアレです。お話だから主人公の成長ぶりが御都合主義なのはいいんですが、その見せ方が。

脚本は行き当たりばったりだし、編集は雑と云いたいまでにブツ切りだし。ものすごく金持ちの学生が勢いだけで作っちゃったという感じです。

ルークやハン・ソロの初登場シーンはもう少し間をもたせて印象的にやっちゃどうだとか、R2に機密が仕込んであることが分かるまでにミステリーの面白さを持たせるってわけでもないし、ケノービはどんどん自己紹介しちゃうし、ルークにまともに稽古つける前にいなくなっちゃうし、ルークに特別に高い能力があるようにも描けてないし。

要するに、脚本術とか殆んど知らない素人が「宇宙戦争」というアイディアと、それまでに観てきた西部劇や大戦ものや(日本の)時代劇の記憶だけを頼りに書き飛ばしちゃったのです。

でも、その「めんどくさいからどんどん行くよ!」という若々しさが最大の魅力。テンポが良いことだけは間違いなく、このドライブ感は若い鼓動そのものなのだろうと思われます。

これは、公開当時には昔気質な批評家からは渋い顔をされたけど若い人には大人気! というものだったのでしょう。

アシモフの『ファウンデーション』を読んだ時も、すごい勢いで話が進むので呆気に取られた覚えがありますが、これがSFの語り口なのかもしれません。「細かいことはいいよ」っていう男の子らしさ全開。だとしたらSFという分野自体が日本の文壇で評価されなかったのも納得です。深みが足りないとか、情緒が足りないとか云われたに違いないのです。

冒頭「宇宙船内で銃撃戦とかアホか!」と思ったんですが、これは確かに男の子が真似したくなるわなァと、なかば呆れ、なかば微笑ましく。当時の女性も「男ってほんっっとこういうの好きよね!」って云ったかもしれません。

ルークは士官学校に入ると云っていたから16歳の少年ということなのでしょうが、幼い観客の眼には、とうが立っているように感じられたものです。今回は(自分が歳くったので)だいぶ可愛らしいと思いながら観ることができました。

もうちょっと肌がきれいだと良かったですが、砂漠で暮らしていた話ですから、あれで合ってるのでしょう。砂漠で何やって生計を立てていたのかも、あまり細かくは描写されていないところで、もうとにかく飛ばして参るのです。

ハン・ソロが大学を出た後ヤクザな道に入ってしまった兄ちゃんなら、監督そのものなわけで、それが弟を連れて冒険の旅に出たのでしょう。男の子冥利です。ハン・ソロを大好きな女流漫画家がいたような気がしましたが誰でしたっけね。

なお、初見当時から、リーア姫(俳優はこう発音してますね)が可愛くないのが不満で不満で……。

じつは同じ1978年には宮崎駿が『未来少年コナン』を手がけており、美少女の神秘的な能力(と少年の超人的な能力)を活かした物語作りの点で、一枚以上上手だと思います。

このあと日本では安彦良和が『クラッシャー・ジョウ』を監督したり、山本優が『J9』シリーズを手がけたりするです。懐かしいですね。もうね、日本人は物量作戦でかなわないから手先を動かしたわけで、それでも俺だってSFやりたいと思った人々のことは、まっすぐに評価してあげなくちゃなりません。

ルーカス作品に戻ると、音楽が抜群に良いことは云うまでもなく、使いどころも良くて、だいぶ救われてるだろうと思います。メインテーマについては1998年のフランス・ワールドカップの際のエンディングに使用されて唖然とした思い出がありますが、あの時はもう「ラ・マルセイエーズ」をここぞとばかりに流してくれて良かったんですが。それはともかく。

航空機の出撃シーンにたっぷりと尺が取られてるのはアメリカ魂でしょうか。航空機にやられたこちらとしては複雑ですが、レベリオンの四発単座戦闘機はカッコいいです。

『インディペンデンス・デイ』の特攻シーンには号泣させてもらったんですが、こちらは少年冒険ものの楽しさを満喫できる仕上がりでした。ドラえもんの長編映画も連想されたことです。やっぱ男の子心。

Then man your ships, and may the Force be with you!

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