1977年、スティーヴン・スピルバーグ『未知との遭遇』

  17, 2016 10:20
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『さらば宇宙戦艦ヤマト』が洋画・邦画を問わず配給収入を比較して第5位だった1978年の、第2位。

真っ暗な画面に不安な音楽が流れる冒頭からして大作の雰囲気。砂嵐を突いて次々と現れる自動車、いわくありげな男たち。

「スピルバーグって奴ァセンスいいなァ!」と思ったことです。

基本にあるのは、カントリーな暮らしを長い息遣いで丁寧に撮るヒューマンドラマと、ひたひたと緊迫感を増していくサイコ・ホラーの手法で、こちらは(『スターウォーズ』の監督・脚本とちがって)映画術をよく勉強した人の作品なんだなと感じられました。

あっちがチャンバラごっこの好きなヤンチャ坊主なら、こっちは文学好きの優等生でしょう。そうか、そうか、二人とも黒澤のおじちゃんも好きか。いいとこに眼をつけたな、えらいぞ~~。

なお、トリュフォーの髭がいい味すぎて漫画のキャラクターみたいです。

あらすじは本当に「クロス・エンカウンター」の一語に尽きるわけですが、それまでに何が起きたのかを重視したわけで、どちらの家庭でも子役がいい演技をすることです。

『スターウォーズ』がそこら中でキャラクター展開されていることに比べて、「あの形」がパロディになっているのはあんまり見かけたことがないですから、愛され方が違うのでしょう。こちらはやっぱり文芸派・心理描写重視型に深く共感されるタイプかと思います。

『激突!』も怖かったですけども、『ジョーズ』も同じことで、人間が他の存在から「見られている」という不安が主題なわけで、それがここへ来て昇華されたかと。音楽が宇宙の共通語であったことには涙を禁じ得ませんでした。新生人類を胎児の形で表した『2001年宇宙の旅』(1968年)への応答になっているようにも思われます。

研究チームの第一人者がフランス語を使うことで、アメリカ社会の常識にとらわれず、公平に見ることのできる人という役回りを象徴していたかと思います。序盤の航空管制局で中心的な役割を果たす人物が黒人であることも、1977年という時点を考えると印象的です。

When you wish upon a star, Makes no difference who you are, Anything your heart desires will come to you.*

この複眼的な視点の温かみを知った後では、日本人しか参加していない地球防衛チームというアニメ作品(の数々)が陳腐化したのは致し方ありません。

逆にいえば、アメリカこそ地球の代表であり得た時代の華かとも思われます。ボイジャーがゴールドディスクを載せて飛び立った直後の公開。「科学的空想」とは、よくぞ云ったものです。Spielberg。おおいなる遊びをせんとて、生まれてきたのでしょう。

なお、映画の作風にふさわしい、やや前提的な音楽も印象的でした。ウィリアムズも引き出し多いなァと思ったことです。

(* Lyric by Ned Washington, from Pinocchio)

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