Thank you boys! Vive la France! 『THE LONGEST DAY』

  28, 2012 01:31
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邦題:史上最大の作戦。日本では12月8日に公開されてますね^^;

なんせ音楽がない映画。モーリス・ジャール作曲による主題歌『The longest day march』が要所要所にさりげなく配されて泣かせる他は、響くのは銃声・砲声・爆音・轟音。「戦争とは音だ」と書いたのは牧島貞一だっけ。

1962年公開。俳優は戦前の生まれが多く、従軍経験もある。まだ記憶に生々しく、撮るほうも観るほうも胸を痛めながらだったろうと思われる。いたずらにロマンチックな音楽で盛り上げることなんて出来なかったのだろう。
流血描写は無い。包帯をした怪我人くらいは出てくるが、苦悶の声は聞かれない。

戦争の描き方というと、残酷さ・肉体的な不快感を強調する、平和な母国の光景と対比する、楽しかった思い出がフラッシュバックする、等いろいろあるが、そういうどっちに転んでも戦闘の進行をルポルタージュするテンポを乱してまで感性に訴えるような、過剰な演出は一切ない。

戦闘シーン・被弾シーンとなるとスローモーションをかけ、フルオーケストラによる抒情的な音楽を鳴らして無理やりお涙頂戴的情感を盛り上げるというふうでない

撃った!倒れた!というアクションシーンと、各陣営の動きをそれぞれ短く編集して畳み掛ける。セリフも短い言葉のやりとりでテンポ良く進む。シビアな場面になればなるほどセリフは減る。男とは何か、戦争とは何か。仕事だ。

勝ち戦のせいもあるが、雰囲気は全体に明るく、しかも犠牲の大きさを語る映像の「口調」は淡々としてドライである。
日欧合作のオールスターキャストだが、誰の使い方もさりげなく自然。平気で使い捨てていると言えるぐらいだ。

そのくせ、というか、困難な時だからこそというべきか、クスっと笑えるコメディリリーフも差しはさまれている。
その笑いの取り方が、フランス人はフランス人らしく、ドイツ人はドイツ人らしく、イギリス人はイギリス人らしくて、実によい。

米軍はウェインとミッチャム、どっちも眠そうな目をして投げやりな喋り方をする俳優の持ち味が「タフな状況だからこそリラックスしていくぞ」という底力を感じさせ、それとの対比で、ノーブルな顔立ちを持ち、テンションの高い話し方をするドイツ高級将校達が、また緊張感を高めて良い。

どこも負けるほうは油断と慢心・頭の固さと内部分裂が原因のようだが、そんなドイツ軍の描き方は、悪役として嘲笑とともに追い落とすというようでない。宮殿を占拠して優雅に暮らす西部軍高級将校達の、中央とのズレに苛立ち、負けを予感して憤然としつつも取り乱さない貴族性が好意的に描かれており、読後感ならぬ視聴後の後味が良い。

『パリは燃えているか』も好きだったけど、これは同じ味わい&空撮を取り入れた大らかなカメラ使いによるアクションが何枚か上手で、繰り返し観た。
祖国を取り戻す戦いではなく占領地を維持するための戦いに倒れたドイツ兵を思うと、似た歴史のある日本人としては「かっこいい」とか「連合軍万歳」とも言っちゃいられないのだが……
映画の感想は、その描かれた内容について、元になった現実とリンクさせて「当時の軍部は」などと一席ぶってしまうべきか、単に映画そのものとしてカメラ使いや編集などの点で出来が良いということに絞るか、いつも迷うところではある。

多数すぎる出演者は名前をズラリと並べられると「どの場面の人?」と思いがちなので、プチ注釈と1962年公開当時の年齢を付してみた。登場順、ただしセリフは自分基準でもっとも印象的なものを選んだので、順不同。ご参考になれば幸甚です。

***

・コーヒー軍曹は後にパリ占領軍司令官(『パリは燃えているか』):ゲルト・フレーベ(48才)
・ボヘミアの伍長はお嫌い、独西部軍最高司令官Gerd_Von_Runtstedk元帥:パウル・ハルトマン
・「夜の闇が最も深いときに」Louis Roulland神父:ジャン・ルイ・バロー(52才)
・「Auf mich zu, direct!」(「まっすぐこっちだ」)5000隻を目視、電話で怒鳴った独Werner_Pluskat少佐:ハンス・クリスチャン・ブレヒ(47才)
・「Der längste Tag」独陸軍B軍団長Erwin_Rommel元帥:ヴェルナー・ヒンツ
・「Der Führer darf nicht geweckt werden!」(総統をお起こしできん)独西部軍参謀長Gunther_Blumentritt少将:クルト・ユルゲンス(47才)
・「ひたぶるにうらかなし」を最初に知ってた独陸軍情報部マイヤー大佐:Heinz Spitzner

・「Wind and rain,wind and rain」米第82空挺師団ハーディング大尉:スティーブ・フォレスト(38才)
・「早く出撃したいぜ」(←早口)同ウィルソン中尉:トム・トライオン(←色男)(36才)
・「All of us」同シーン中尉:スチュアート・ホイットマン(34才)
・5マイルばかりずれて足首折ったBenjamin Vandervoort中佐:ジョン・ウェイン(55才)

・オマハ・ビーチを抜く米陸軍第29歩兵師団・副司令官 Norman Cota准将:ロバート・ミッチャム(45才)
・副官の色男(ラジオ消した人)、フランス大尉:レイ・ダントン(31才)

・「ペアは海峡の底」英空軍将校 David Campbell:リチャード・バートン(37才)
・落下傘部隊の指揮所で「コーヒーは?」米第82空挺師団・副師団長 James_M._Gavin准将:ロバート・ライアン(53才)
・英空軍気象部、時々ドイツ語が出るJ._N._Stagg大佐:パトリック・バール(←英国はお紅茶)

・「戦闘機2機ってか!」Josef_'Pips'_Priller大佐:ハインツ・ラインケ(37才)
・「Jetzt,bei schlechten wetter」(「今日みたいな悪天候だ」)ノルマンディー上陸を予言した杖の独第84軍団長Elich_Marcks砲兵大将:リヒャルト・ミュンヒ

・「What's do you think, Monty?」米ドワイト・アイゼンハワー大将(「アイク」):ヘンリー・グレイス(55才)
・「I say go, go」英Bernard_L._Montgomery大将(「モンティ」):Trever Reid(←ご本人と似てる)
・バグパイプを鳴らせ。英コマンド部隊・隊長Lovat卿:ピーター・ローフォード(39才)
・命令がきたとき髭そってました米陸軍第4歩兵師団・師団長レイモンド・O・バートン少将:エドモンド・オブライエン(47才)
・「ジョンの髭は長い」コルビル・シュル・オルヌ(現コルビル・モンゴメリ)市長アルフォンス・レノー:ブールヴィル(←本物コメディアン、45才)

※ヴェルレーヌ「ひたぶるにうらかなし」のドイツ訳:Verwunden mein Herz mit eintöniger Mattigkeit
~ついに抜錨、ここまでで45分。長かったような短かったような。

・「史上最大の艦隊だ」米駆逐艦艦長ビーア中佐:ロッド・スタイガー(37才)
・「確保せよ」オルヌ橋に奇襲降下、英第6空挺師団指揮官John_Howard:リチャード・トッド(43才)
・「大勢の司令官が隊を離れて心配だ」独第7軍参謀長Max_Pemsel少将:ヴォルフガング・プライス(52才)
・「聖餐具を落としたんだ」英神父さま(Padre):ジョン・グレグソン
・教会にひっかかって10時間。スチール一等兵:喜劇俳優レッド・バトンズ(43才)
~井戸に落ちた子が最後まで気になったんだけど(TдT)

・関節炎はもう何ヶ月も出てないこともないです、杖とともにユタ・ビーチへ上陸。米陸軍第4歩兵師団・副師団長Theodore_Roosevelt准将:ヘンリー・フォンダ(57才)
・「俺が戦車をつれてくる」仏コマンド部隊・隊長Philippe_Kieffer中佐:クリスチャン・マルカン(35才)
※犬、逃げる。
※「Sie kommen!」艦影確認=映画開始後1:42:12 
・あと2分で始まる艦砲射撃を見に出てきた米陸軍第1軍司令官Omar_N._Bradley中将:ニコラス・スチュアート
・「Vive la France!」自由フランス軍提督Jaujard海軍少将:ジャン・セルヴェ(52才)
~艦砲射撃開始の瞬間についフランスのおじちゃんと一緒に涙ぐんでしまうのよ。

・スウォードビーチにて、まるでコメディアンだよFlanagan様(笑):ショーン・コネリー(32才)
・ブルドッグは友達、英海軍上陸主任Colin_Maud中佐:ケネス・モア(48才)
~イギリスですなぁ。

・オック岬にて、ちっちゃくて見えない~~と引きずり上げてもらって「あれを登るっての?」:ポール・アンカ、映画公開の62年に21才なので撮影当時は20才以下のはず。

・オマハビーチにて、「We tried three times!」米陸軍第29歩兵師団トム・ニュートン大佐:エディ・アルバート(43才)
・「なんとかします」目が闘志でキラキラ。フラー軍曹:ジェフリー・ハンター(36才)

参考は20世紀FOXのレンタル専用DVD字幕・goo映画・ウィキペ、あと部分的に聞き取れた原語セリフは海外サイトで確認して引っぱった。

若きポール・アンカ作詞主題歌「The longest day」歌詞:http://www.lyricstime.com/paul-anka-the-longest-day-lyrics.html
原語で名セリフ:http://en.wikiquote.org/wiki/The_Longest_Day
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