1967年、小沢茂弘『博奕打ち』

  13, 2016 10:20
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脚本:小沢茂弘・村尾昭・高田宏治、撮影:鈴木重平、照明:増田悦章、美術:鈴木孝俊、音楽:津島利章、編集:堀池幸三

これがヤクザの、生きる道。

名作でした。男が気障でいられた時代の大博奕。男性映画決定版(予告篇より) 1967年!?

脚本に村尾昭が入ってるので皮肉な味わいを期待して鑑賞することしばし。

鶴田はまごうかたなく美しいけれども出番が少なくて、山城新吾が大活躍。カメラも彼の芝居っけを生かした「ワンシーンワンカット」的で、藤山寛美がいてはりますし、大阪流の喜劇が基盤なんだな……と、のんびり構えていたら、すごいことになりました。

賭場の再現自体は『乾いた花』でもやってたわけですが、流れ者が立ち寄った町のトラブルに巻き込まれるという世直しものの一種のプロットを、手加減なしの殺伐さで賭場に持ちこむ話の作りが素晴らしい。

映像の組み立ても中盤から手が込んできて、クライマックスは影を効かせた名優たちのクローズアップの連続をフェードイン・アウトでつなぎ、美しくも鬼気迫る味わい。

闇に沈んだ終盤のアクションシーンも美しく、爽快なチャンバラではない、地を這う極道リアル。惚れた男同士の皮肉な契りに男女の悲恋が重なって、流す涙はなぜ熱い。津島メロディーが効きます。

すでに『残侠伝』がパロディの域に入っていた時代に(元々そういう企画とか云わない)、すごいことやってたですね。

生きる道などと云いつつ、決して自己陶酔していない。制作陣には「仁義」という世界観への反感とは云わないまでも、理知的な、冷静な目線があって、暴力映画を憧れのファッションとして済ませていない。ことの発端には庶民が共感しやすいダメ男がいて、巻き込むほうもバカなら巻き込まれるほうもバカなのです。バカに命をかけちゃうのが男なのです。それを映画にして食ってる俺らもどうなんだっていう。

娯楽映画だから、もっと派手にチャンチャンバラバラやって、「カックイーー」で済ませてもいいはずなんですけれども、それをやりたくない。

……根が真面目なのです、やっぱり。

女性がイジメられるのと、賭け事のルールなどの解説が一切ないので、若い人と外人さんには受け入れられにくいかもしれません。もはや伝統芸能レベル。

が、映画作品の総合評価として、最高ランクじゃないかな、と。

ランクといえば、鶴田の得物は今回も匕首で、ナイフクリア・Sランク状態。やっぱり最強でした。

河津清三郎・若山富三郎の悪党の色気もじつに良かったです。予告篇の編集もいいので、機会があったら是非御覧ください。

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