1967年5月、小沢茂弘『博奕打ち 一匹竜』東映京都

  11, 2016 10:20
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脚本:小沢茂弘・高田宏治、撮影:わし尾元也、音楽:津島利章、協賛:江戸彫勇会有志

湯殿に菖蒲も香る、男の節句の代紋祭り。猟奇とエロスと品格と人情が無邪気に同居しちゃう世界観は日本でしか撮れません。

オープニングタイトルバックで墨(というか)を降ろしている真っ最中で、針が男肌を刻む音が延々と響いて参りまして、いてててててててててててて。

一瞬も「ガマン」できない自信ならありますorz

今回の鶴田浩二は、宇之吉っつぁんの名前で、売り出し中の彫師。博奕はあんまり上手くありませんが、巻き込まれ型ではなく、みずから業界の中枢へ踏み込んで行くので、物語の緊迫度は高いです。美男俳優数あれど、これほど体当たり演技で男を張った人も珍しいかもしれません。

踏み込んでいく途中で恋に出会うわけですが、監督自らによる脚本は、好きとも惚れたとも云わない内から男女双方で恋の情緒が芽生えたことを自覚しているところが良いのでした。カメラが時々異常な動きを見せて、感情の高まるままにブレながら急速にクローズアップするのが興味深いです。

木村俊恵の熱演を中心とする親子人情劇と、裏表に張りついた松尾嘉代の女の意気地が光る恋愛劇、藤山寛美・山城新吾のおとぼけ喜劇、中村竹弥・丹波哲郎による男惚れ任侠劇と、贅沢に配した上で、このシリーズのいいところは、基本的に鶴田の一枚看板なので、物語の主筋がシンプルなところ。

とくに今回は、「鬼若」との個人的な確執が最後まで全体を貫く太い軸となったのが印象的。

たいていの作品で、悪玉の親分さんは老境に入ったベテラン俳優が担当するので、あまり大立ち回りというふうにならず、逃げ回って終わることが多いのですが、今回は男盛りで体格も良い天津敏との「サシ」の勝負が、男の節句に相応しい見どころとなりました。「尺」もかなり長いです。小沢天皇は庶民の喜ぶ壷をご存知でした。

難を云えば、選曲に甘い(変に明るい)ところがあって、もしかしたら前作で「話が暗い」という意見があったのかもしれません。

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