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1967年7月、小沢茂弘『博奕打ち 不死身の勝負』

生まれ変わるためには、人よりも、自分を抑えることが大切だと、つくづく分かったです。

脚本:小沢茂弘・高田宏治、撮影:山岸長樹、音楽:渡辺宙明

シリーズ第三弾。前作から2カ月しか経ってませんが(!)、だいぶ路線変更しました。

前作は話がちがう世界へ行っちゃいましたが、今回は博打がちゃんと(ってのも変ですが)物語の中核に据えられており、その息詰まる緊張感と、豪快なアクションが両輪となって、まさに石炭をくべた機関車のように、「太か勝負」が前へ前へと驀進します。

第四弾『総長賭博』は三島好みの皮肉な悲劇だったわけですが、じつは博打を打ってないので、ちゃんとタイトルロールに仕事をさせている点で、こっちがシリーズの代表作に相応しいだろうと思います。

で、昭和初期の筑豊。雄大な空撮から入ります。音楽担当も変わって、曲調がハードなビッグバンドジャズになりました。物語もいきなりの殴りこみ。

北九州市若松区は『花と龍』にも出てきた地名だったかと思いますが、炭鉱という素材は映画監督たちの心をも荒ぶらせるのかもしれません。

石山健二郎は悪役かと思ったほど濃い顔ですが、筑豊の男の人情は輪をかけて濃かったです。新国劇の実演を拝見したかったですね。

鶴田は熱血な渡世人。石山の親分さん(というか社長さん)の人柄に感じ入って、自分を見つめなおす堅気修行。第一弾が博打打ちの道を貫いたことに比べて、ひねりが入っております。本当はもう少し若い俳優を使うべき役柄じゃないかという気もしますが、鶴田浩二というのは面白い人で、何を着ても、何を演じても、さまになるのでした。

体の大きな人じゃないので、そんなに喧嘩が強くもなさそうですけれども、「バクダン常じゃ!」と啖呵を切られれば、「参りました!」って云いたくなることです。

悪役は若山富三郎で、悪党ぶりが絶好調。藤山寛美は単なるコメディリリーフではなく、話を動かすキーパーソン。待田京介は例によって損な役ですが、死にっぷりの美しさで最高の回だったかと思います。

木暮実千代の女社長は女性の理想像の一つで、前半の花となります。橘ますみは清楚すぎて野暮ったいんですが、炭鉱町の生娘らしさが、いじらしいです。もうひとつ男心が分かってないというズレっぷりも。

最後の勝負はもちろん博打で、でもそれだけじゃ済まなくて、やっぱり白刃の出入り。ストーリーの落ちて行く先は見え透いているわけですが、そこがいいのです。「待ってました!」の連続。

任侠映画は歌舞伎の白波もの・仇討ちものの延長だから、大向こうから声をかけながら見るのがよいのです。

それにつけても、札ならまだしも、賽の目の出方なんて、錘でも仕込んでイカサマしないかぎり操りようがないんだから、本当に出たとこ勝負の「遊び」であって、勝っても負けても恨みっこなし。あまり熱くなっちゃいけない。身代まるごと賭けるようじゃ素人さんだよっていうのが本来じゃないかと思います。

(そこを無理にやるからお話になるので、真似しちゃいけませんよ。)

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。