1969年2月、加藤泰『緋牡丹博徒 花札勝負』東映京都

  04, 2016 10:24
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渡世修行中の、しがなき女にござんす。

企画:俊藤浩慈・日下部五朗、原案:石本久吉、脚本:鈴木則文・鳥居元宏、撮影:古谷伸、照明:金子凱美、音楽:渡辺岳夫、助監督:本田達男

お久しぶりの仁侠映画は加藤泰つながり。絶賛緋牡丹博徒シリーズ第3弾。女を眺めてもなァ……と思って敬遠してたんですが、ものすごく密度の濃い1時間40分でした。

明治の中頃、名古屋。

お龍さんはジタバタしたいほどカッコ良かったです。きれいだし優しいし強いし、ああ理想のヒロイン。赤い蹴出しが眼にしみる。歌唱はあんまり上手くないですが、ファンクラブに入ってキャッキャしたいです。

藤純子は上背と肩幅があるので、あまり可愛い娘さんの役は無理があって、女侠客は企画の勝利だと思います。お父さんGJ。

「たとえみんな『うん』と云おうと俺は俺だ」

男優はものすごいオールスター状態になっております。アラカンは「いいね」って云うんですよね。

折り目正しい旅人さんは、今日も男の花となって舞い込みました。たぶん「加藤泰が高倉健を撮った」という意味でも貴重な作品。特別出演の枠を超えてるです。

藤純子のために全体の気品を保つというのがテーマの一つと思われ、男たちの装いが、善玉も悪玉もドレッシーです。

小池朝雄と天津敏のツーショットがいい感じ。山本麟一が良い役で、子どもを抱えた姿が優しそう。悪役俳優ってのは、根はいい人ですよね。若山富三郎が硬軟とりまぜた挙句に見事な体術を見せてくれます。

物語は、渡世人が行った先の町で人間関係に巻き込まれるという定型ですが、序盤は深刻な事情を抱えた女性たちのドラマに、同じ女の主人公が真心と侠気で手を貸して、胸に沁みる味わい。後半は力量ある男優たちの個性を活かして、どんどんハードに深まります。

清川虹子の女親分がまた素晴らしく、男顔負けで気風を見せながら、若い素人のお嬢さんには情のこもった声をかけてあげるわけです。その意を受けて、お龍さんがそっと動く。

男の世界に女が入って一歩も引かず、なおかつ女性としての心配りができる。キャラクター使いの上手い脚本には、名台詞も一杯です。確か『残侠伝』やってた人たちだよなとぼんやり思い出しつつ。

「一人前というのはね、自分の責任で、場合によっては命も張って見せられるということだ」

絵作りのほうは、冒頭の構図がいきなりただごとではなく、「加藤泰ここにあり」って聞こえて来るかのようです。だからどうやって撮るのか走ってる機関車の下。

濃厚クローズアップ祭りは、一歩まちがうとテレビドラマみたいに陳腐になってしまうので、照明設計と構図の余白が重要なんだろうと思います。余白というか闇に沈んでるわけで、レンブラントの絵のようだと云ったら、かえって加藤監督に失礼でしょうか。

賭場リアル描写も手が込んでおりましたし、殴りこみの実録調は最高です。

1960年代仁侠映画の総決算として、いろいろ見た後で、ここへたどり着くといいのかもしれません。

本日はこれにて。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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