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1981年11月、降旗康男『駅 STATION』

デジタル社会の未来と、市場分析は専門家におまかせ致しまして、アナログ時代を懐かしむ映画鑑賞会企画。沖のカモメに深酒させて、主と朝寝がしてみたい。お酒はぬるめの燗がようございます。さて。



流れ流れて吹雪の下で、義理に駆られて38口径の出入り。

製作:田中壽一、脚本:倉本聡、撮影:木村大作、音楽:宇崎竜童、編曲:朝川朋之

雪国に馴染みすぎたスタッフが描く、その後の健さん。

物語の骨格は、仁侠映画とそんなに違わないのです。それもシリーズが進んで高倉自身が歳くってからの。寄せ場帰りの中年が、周囲からは慕われているのに心の居場所がない。大事なものを失くしてしまった後の人生。

だいたいの線で、そういうのと同じプロットが、倉本の手で現代の社会へ織り込まれているのです。台詞ではなく、目の芝居が多く、やっぱり脚本と演出(監督)が肝胆相照らす如くです。

雪に包まれる駅で深刻そうな男女の姿から入りますので、本当に最初から最後までメロドラマだったらどうしようと変な不安を覚えつつ。でも、意外に早く話が動きます。極道ではございません。キャスティングのトリは池部さんですが、同行は致しません。

長門裕之とぶん殴りあってた兄ちゃんが、こんなにいい芝居をするようになりましたというところをひたすら拝見するのです。背景は本物の北海道の大自然。連絡船は滅多に出ません。天気暗澹として波高し。

丁寧にロケハンして、ものすごく遠くから望遠で撮っております。それと極端なアップが切り替わるので、撮影の段取りも大変だったなと、妙な心配をすることです。

任侠シリーズはスタジオ撮影していたわけですけれども、網走シリーズはロケやってたわけで、その集大成と云えるのかもしれません。音のモンタージュが『網走番外地』1本目とよく似ておりました。

事件としては解決するんだけれども、それでハッピーエンドではなく、それによって主人公の心に起こる変化を追う、物語ともいえない物語なので、あらすじは云ってしまわないほうがいいと思われます。

宇崎竜童の楽曲は、ビックリするほどクラシカルでした。根津甚八と烏丸せつ子の兄妹が1980年代の若者らしくて良かったです。女は怖いです。

池部さんは、ほんと云うと芝居があんまり上手くないのですが、一度見たら忘れられない魅力的なお顔で、スター性というものなのでしょう。相変わらずヘヴィスモーカーで、肌荒れもたぶん煙草のせいですが、長生きなさったのだから分からないものです。

「下町の太陽」の演技力はズバ抜けて、高倉健がすっかり乗せられて寛いでおりました。

宇崎が音楽担当のせいかどうか、NHKなどの協力も仰いで当時流行した歌謡曲が劇中歌として多数使用されており、自分自身の人生まで振り返らされることです。

沖のカモメに深酒させて、秘密を打ち明けないまま深まっていく、樺太まで聞こえるほどの大人の恋は、自分も大人になってから見るのがいいです。昔の男を更生させてやりたい気もするし、ほかに当てができたから厄介払いしたい気もするし、それじゃ不憫だから逃がしてやりたい気もするし。

揺れる女心が生む身勝手な理屈は、いつもあまり良い結果を生みません。

なお、武田 鉄矢がうらやましいです。

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験・就活を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

映画評は、アップロードする以上は「下げる」ようなことは言わないことにしております。あらすじもあまり申し上げませんので、楽しみに御覧になってください。記事冒頭の色つき文字は映画中の台詞・挿入歌の歌詞からの引用です。

なお、取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・分割・削除しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。