同人は出版社の恩人ではありません。(1983年頃からの勘違い)

  30, 2016 10:20
  •  -
  •  -
【1.インベーダー襲来】

総務省が発表している出生数の折れ線グラフを見ると分かるのですが、第二次ベビーブームの終了は1974年。翌1975年との間には、すごい落差があります。

映画『スターウォーズ』『未知との遭遇』の発表は1977年。日本公開は1978年です。同年「インベーダーゲーム」も発表され、社会問題視されるほど大流行しました。

あのタイプのゲームは、画面の動きに合わせてボタンを押すだけですから、未就学児にも可能です。1983年には「ファミコン」が発売されました。

いっぽうで、漫画というのは台詞を読むものなので、小学校3年生以上の学力が必要です。1975年生まれの子どもは、1983年には、まだ8歳です。

当時の男児は、漫画をスラスラ読めるようになる前に、テレビゲームに慣れてしまったのです。ついでのようですが「ミニ四駆」の発売もこの頃です。

数の減った男児たちは、よそのお兄さんが紙の上で喧嘩したり、よそのお姉さんとイチャイチャしたりするのを眺めるよりも、自分が闘うほうが面白いことに気づいてしまったのです。

まして当時の漫画は、『少年何々』と題する雑誌に連載されながら、『コブラ』『北斗の拳』『キャッツ・アイ』のような、事実上の成人男性向け劇画調だったのです。

少年漫画は、すでに1960年代に『あしたのジョー』によって最初の絶頂を究めてしまっており、その後は大学生以上、すなわち18歳以上の成人向けになっていたのでした。

10歳以下の男児が「むずかしい」と感じ、ゲームのほうが面白いと判断しても無理はなかったのです。

【2.女子の台頭】

いっぽう、ファミコン発売と同じ1983年、少年漫画雑誌に連載されていた少年サッカー漫画を原作とするテレビアニメ番組が放映を開始しました。

すると、それを元にした「二次創作」が、「同人」の世界で大流行しました。それだけなら、どうってことはありません。すでに同人やっていた人が「同人やってて良かった」と思うだけです。

重要なのは、二次創作をきっかけに、もとになったテレビアニメ番組を視聴する人が増えたこと。および、原作漫画が連載されている雑誌や単行本を買う人が増えたことです。

テレビアニメそのものは(地上派だったので)無料放映です。テレビ局がアニメ番組と引換えに視聴者から直接的に対価を受け取ることはありません。

テレビ局のご商売は、他の企業が「アニメのついでに我が社のコマーシャルを放映させてください」と云ってくることによって成り立っています。

そのCM放映料金は、番組の視聴率によって決定されます。だからアニメ番組の視聴率が上がると、テレビ局の収入も増えるのです。

二次創作同人誌が売れるだけでは、テレビ局にも出版社にも何のメリットも無いのです。

【3.出版社と同人の一線】

同人の中には、出版社に恩を売ってやったような気分になっている人もあります。でも出版社にとっての神様は同人ではないのです。同人作品をもとに、次の行動を起こしてくださった人々です。

同人自身は、さっさと辞めて頂いて構わないのです。逮捕されても構わないのです。出版社は身元引受人にはなりません。保釈金も支払いません。連座もしません。弁護側証人にもなりません。

同人は、あくまでアマチュア活動を手前の意志で勝手にやっているだけです。なんの特権もありません。誰も味方はいません。これが建前であり、真実です。これをわきまえていない人は「同人やっていた」うちに入りません。

【4.お客様に感謝しましょう】

自分の作品を購入してくださったお客様を、公共の場で笑いものにしてはいけません。

若い人が首都圏から離れた場所に住んでいることは、親御さんと同居しているだけであって、本人のせいではなく、悪いことでもなければ、恥ずかしいことでもありません。

彼(女)たちがあなたの自費出版物を購読した後で、原作漫画またはテレビ番組を確認し、ストーリーの違いに驚いたのであれば、彼(女)たちは原作ファンとして最も正しい行動を取ったのであって、あなたが「自分のほうが進んでる」と勘違いして、天狗になることではありません。

Related Entries