1974年10月6日『宇宙戦艦ヤマト』

  05, 2016 10:20
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誰のためでもいいじゃないか。みんなその気でいればいい。

企画・原案:西崎義展 脚本:藤川桂介 音楽:宮川泰 演出:石黒昇 監修:山本暎一・舛田利雄・豊田有恒 プロデューサー:西崎義展(※オープニング登場順)

初心忘るべからず。テレビ第1シリーズを最初から見直す企画。全26話なので、そんなに大変じゃありません。これがないと『ガンダム』も『エヴァ』も、たぶん『ワンピース』も『セーラームーン』さえもありませんでした。

宇宙への憧れは、ヤマトが教えてくれたと思います。

松本零士は監督という肩書きで表示されますが、現場には出てこなかったらしいです。アニメとしての功績は山本暎一、演出の石黒昇、芦田豊雄・白土武以下の作画家たち、撮影の原屋楯男に多くを帰していいのではないかと思われます。藤川桂介の脚本も短い台詞がよく締まっています。

人物画は愛らしさ溢れる「昔の少年漫画」というものですが、内部での整合性がよく、たいへん上手いです。絵の内部の整合性とは、他人の漫画を真似しようとして失敗した絵ではなく、芦田なり白土なりの絵として完成されているのです。

キャスティングの頭は沖田さん(納谷さん)で、彼が徳川機関長と二人三脚でイスカンダルへ行くので若い奴らを連れてったという構図になっており、要するに沖田さんが主人公なのです。

大人をメインキャラクターとする戦争アニメはタツノコプロ『アニメンタリー決断』(1971年)という傑作があったので、アニメは子ども向けだから戦争ものをやっちゃいかんよということはないのです。

火星、木星、土星と少しずつ駒(というか艦)を進めながら、沖田さんが名将ぶりをいかんなく発揮する物語となっており、ふつうに戦争映画として見ても見応えがあります。

が、いかんせん、裏番組『アルプスの少女ハイジ』に比べりゃ可愛くないのは一目瞭然で、ファミリー向けとはなり得ず、緒戦の視聴率的苦戦はこれによるのだそうです。

【第1話】

ときに、西暦2199年。地球はいま、最期のときを迎えようとしていた。

作画監督:芦田豊雄 背景監督:槻間八郎 撮影監督:原屋楯男 

冒頭の冥王星宙域戦は何度見ても飽きません。構図、カメラワーク、色彩、音声のアイディアが詰まっています。全話をダイジェストにした劇場版でもノーカットで採用されていたと思います。

空間が立体的に捉えられているわけで、水面ではなく宇宙を自由自在に動き回る機体同士の空中戦を表現するために、当時のスタッフが傾注した集中力の高さが伝わります。

人物も立体的です。被弾した沖田艦内部が赤色灯に照らされる表現が異常です。

沖田さんの服の皺がちゃんと描けているなんてのも意外にすごいことで、これは服の下の人体の構造をちゃんと知っていないと出来ないのです。誰がアニメでここまでやれって云ったよ。(西崎だよ)

無茶ぶりプロデューサーに全力で応えたスタッフたちの技術力と意識は本当に高かったです。

なお、古代くんと島くんは特殊訓練中の学生だそうで、古代は冥王星方面でお兄さんが戦ってるのが心配で、やや先走り気味。対する島は「でも遠すぎる」と冷静。短い会話から2人の個性の違いが知れます。

【第2話】

わしは必ず行くぞ。行って帰ってくるのだ!

作画監督:白土武

白土さんが描いたと思われる沖田さんの顔の気合い充実ぶりがすごいです。1945年の様子も拝見できます。米軍艦載機の描画の精度も異常です。なお、4月のことなので本当は第一種軍装(紺色)です。

そしてヤマトを描いたセル画がほしいです。手描きです。くり返しますが手描きです。

森雪は、お姉さんっぽいキャラクター造形になってるようです。デスラーさんは、この回で初登場。ガミラスにも美女がいるようです。皮膚は青くないです。

「地球防衛軍・日本艦隊」ではあるのですが、地球代表が日本人だらけで、敵は金髪とくれば、国粋主義まる出しなのは明らかですから、外国人が見れば「なんでやねん」と思うでしょうし、明確に拒否反応を起こす人もあるでしょう。

日本のアニメがゲームほどには海外でウケないというのは、ちゃんと理由があるのです。

【第3話】

あの人は、万に一つでも可能性を発見したら、それを信じて、沈着冷静に行動する人だ。それが男というもんじゃよ。(by徳川彦左衛門)

作画監督:芦田豊雄 作画補佐:小川隆雄

真田さんが若いです。艦内を案内する時のベースの効いたBGMが良いです。万能工作機械の便利さが半端ないです。

【第4話】

かわいい奴だ。(byデスラー総統)

作画監督:白土武

かわいいのはヤマトですが、森雪がヒップの大きいセクシー体型で魅力的です。ワープテスト中にはいろいろと不思議な現象が起きて、ファンサービスも見られるようです。二次創作の際は原作者の著作者人格権に配慮しましょう。

ヤマトの著作権裁判では、助監督・音響などチームプレーで動画の制作にたずさわった人々が西崎について、紙に個人的なアイディアを書きつけるのが仕事の脚本家・SF作家・音楽家が松本零士側についたという興味深い現象も見られたようです。

おカネの問題もあったのでしょうが、戦友意識と一本独鈷の違いなのかもしれません。

【第5話】

作画監督:芦田豊雄 作画:スタディオ・メイツ 飯山豊 坂本弘 野口大蔵

古代くんを始め、キャラクターがすっっごくいい顔をしてます。

作戦室における色彩設計は、モニターの緑色を反映してるわけですが「アニメでそこまで再現する必要があるのか」というべきで、発想そのものがアニメの域を超えてます。

浮遊大陸の手前で「カメラ」の前を横切るヤマトとか、もうなに考えてんでしょう。

【第6話】

総統は、勝利の報告しか聞きたくないとのことだ。(by副総統ヒス)

作画監督:白土武

やや古風な、こってりした少年漫画調が白土流のようです。企画・原案には、山本暎一の名前が加わりました。アナライザーはたいへん優秀です。

コスモナイト採掘の重機とか、画面奥から進んで来る宇宙戦車の描写とか、モニターに表示される光点と現地が重なる場面転換とか、いろいろと実写ライクです。いや、実写でも珍しいくらいのセンスの良さかもしれません。

番組ラストには毎回「地球滅亡まであと何日」と表示されます。テレビ放映時には本当に怖かったものです。以下続刊。待て次号。

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