1974年、『宇宙戦艦ヤマト』(DVD第2巻)

  06, 2016 10:21
  •  -
  •  -
【第7話】

見苦しいぞ。最後の最後まで、冷静にやれ。

作画監督:芦田豊雄

冥王星雪辱戦。惑星の重力にブン回されるヤマト。反射衛星砲は連発できてすごいなァ。

なんだかんだ云って、最もSFらしい番組だったよなと思ったことです。「巨大なエネルギーの束」とか、それを反射させるアイディアとか、ロケットアンカーという宇宙戦艦ならではのアイディアとか。

スペースオペラと云いつつ、惑星に着陸してからの地上戦が主眼といった作品が(洋の東西を問わず)多いわけですけれども、これは本当に宇宙空間そのものを重要な構成要素としているのでした。

反射衛星砲を被弾する度に艦体の表現に工夫が見られ、キャラクターの髪が乱れる様子も魅力的です。ロケットアンカーがすっぽ抜けた後の挙動の描画も異常です(大喜び)

テレビアニメにありがちな間延び感がないことは特筆すべきかと思われます。絵コンテがいいのでしょうが、編集もいいのでしょう。

あと356日しかないので頑張れヤマト。芦田作画が好きです。

【第8話】

ヤマトが廻る~~。

作画監督:小川隆雄

沖田さんの指揮下、ヤマトが主導権を握って攻勢に転ずるお話。演出がやや平凡ですが、展開が早く、スパイアクションのような要素もあって、たいへん面白い回です。アナライザーは、すこぶる優秀です。

キャラクターの顔が違うなァと思ったら初登場の作監さんでした。雪がやや少女漫画調で可愛いです。

スパイドラマというのは輸入ものがあったわけですが、テレビサイズの実写でこれほどの戦艦と巨大砲を用意して撮影するということは、洋の東西を問わず殆んど出来なかったでしょうから(今でも難しいでしょう)、この大胆なアイディア横溢する物語が連続番組として毎週見られるというのは、本当に面白いことだったのだと思います。

地球の人々は、きみの還りを待っている。

【第9話】

自主プランを出す時が来たようだ。

作画:スタジオ・メイツ 小泉謙三 朝倉隆(ほか)

アステロイド・リングが美しい回。今までメインテーマ曲の使いどころが荒っぽかったんですけれども、今回は目にも耳にも美しく決まりました。

真田さんはどえらいアナログな方法で設計図描いてます。(かつて個人用コンピュータなど実現不可能と思われていた時代もあったのです)

幼な心にも「航行しながら修理するヤマトってすごいなァ」とは思ったんですけれども、改めて考えるに、この修理風景という地味な絵をきちんと表現したことは、当時のアニメとしても、テレビ番組全体から見ても、いや映画まで視野に入れて考えても、特筆すべきリアリズム志向だったかと思われます。

作画監督不在の人物画が安定しないんですが、描線そのものは洗練されて来たようです。不思議といえば不思議。島くんは理知的な気配りタイプ。女好きのする人物ですが……そういう男は損な役回りなのです。

諸君、長いようで短いつきあいだった。

全26話なので、3分の1を消化したことになります。シュルツとガンツは地味で地味でどーしよーーもなかったですけれども、前半を彩ってくれたのでした。ガミラス軍人魂、見せて頂きました。

地球滅亡まで、あと338日。

【第10話】

だからね、だから子どもが必要なの。

作画監督:白土武

戦闘の合間に地球の家族へ声を届ける乗組員たち。ひじょうに地味ながら、良いエピソード回です。こういうのちゃんとやっておくことが必要なのです。

沖田と古代。古代と島。沖田と徳川。似た者たち、対照的な者たち。森家は上流家庭のようで(昔のリカちゃんのママみたいですね)、ミーくんはお留守番でした。古代くんは二十歳には達しているようです。

引き続き人物画が安定しなくて困るんですが、カメラワークがたいへん良いです。ときどき異常に気合いの入った絵があるのは白土なのでしょう。

音楽の使い方も安定して、後につながる音楽劇の要素が加わりました。

いまははるばる、宇宙の果て。あと315日。

【第11話】

デスラー紀元、103年。ガミラスに下品な男は不要だ。

お顔が青くなった総統の威風とともに、メカメカしい面白さが充満している回。

やはり音楽の使い方が良くなっており、編集も良くなっているわけで、手慣れてきた様子が伺えます。芦田が戻って参りまして、人物画が安定しました。ひと安心。やたら出来の良い「バルーンダミー」が可愛いです。一個ほしいです。

艦体に制動かけたら乗員が慣性で動揺するとか、探査艇の発進とか、傾斜角10度のヤマトとか、機雷除去に乗り出すブラックタイガー隊員の構図とか、いちいち芸が細かいです。絵コンテは安彦良和でした。

島は日頃からほとんど洒落っけを発揮しない男ですが、今日の古代はコミックリリーフ気味。ギアチェンジのアナログっぷりが泣けます。徳川さんは機関室においでになります。

艦長の指揮は森の解析・ナビゲート次第なので、彼女こそ沖田の頭脳。飲んべェの艦医は実写映画『戦艦大和』(1953年)に登場しましたね。

「つまらんところが精巧にできているんだからなァ」 デスラーの真の敵、アナライザー。真田さんが造ったんじゃないんですか。

発想の素朴な野蛮人(=スタッフ・主な視聴者である日本人男性)から見て、違和感のある人物が敵役なわけで、この時は敗戦の記憶も生々しく、金髪の青年。後のアニメ番組・特撮番組では、女性や、女性的な男性が流行しましたね。

でも言葉は通じるようです。(云わない約束)

あと311日。

【第12話】

結果を云っているのではない。私は秩序を云っているのだ。

若い男女の噛み合わない会話にニヨニヨしつつ。やや濃い目の人物画は白土。話題が盛りだくさんで展開の早い回。バリアー同様伏線を張り巡らした脚本が良いです。絵コンテの量もすごかったように思われます。安彦の仕事でした。

ここへ来て徳川さんが機関室常駐になったり、ガミラス人の皮膚が青くなったりしたのは、基本設定の見直しが行われたのでしょう。(思いつきともいう)

フェードアウトを効かせた場面転換も今までなかった手法ですが、どうしたんでしょう。

西崎はアニメ作りの素人だったというので冨野・安彦はたいへん敵愾心を燃やしたようですが、むしろ素人だったので、結局は現場スタッフが思う存分できたんじゃなかったかなって気もします。

今では考えられないような技術的な(微細な)ミスも時々見られますが、それもまた手作り時代の味わいとしましょう。

リアルタッチのSFアニメという話法自体が、まだステレオタイプ化、ルーティーン化していないわけで、現場のアイディアが隅々まで横溢しているように思われます。

テレビ放映時には波動砲発射の爽快感が楽しみだったものでした。いま見ると、これは与えられた困難を、知恵と勇気と技術とチームプレーで切り抜ける物語。

文句なしに面白い。初回放映時のファンが抱いたというこの感慨こそ、スタッフ達の苦闘への最大の賛辞であると思われます。

宇宙の続く限り、命の芽生えはある。あと308日。

Related Entries