2011年、ポール・W.S.アンダーソン『三銃士』

  23, 2016 10:20
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船のボーイにしてください!

脚本:アレックス・リトヴァク、アンドリュー・デイヴィス 撮影:グレン・マクファーソン 美術:ポール・デナム・オースタベリー 衣装:ピエール・イヴ=ゲロー 視覚効果監修:デニス・ベラルディ 音楽:ポール・ハスリンジャー

独・仏・英合作。日本的副題「王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」

『ダ・ヴィンチ・コード』の記憶がまだ新しかった頃に、『トゥームレイダー』じゃなくて『バイオハザード』な人々が描く、3D時代のルパン三世じゃなくて、三銃士。

蒸気機関ではないのでスチームパンクではなく、いわんや波動エンジンでもなく、だからこそ「この発想はなかった」と云うべき分類不能の痛快アクション時代劇。レオナルド自身に見せてやりたかったです。

アイディアが良いだけではなく、無駄なキャラクター・無駄な台詞がなく、展開が早く、お衣装と背景美術の時代考証にはえらく気合いが入っており、たいへん良作です。明るい気分になります。

冒頭はお人形を並べた地図が可愛いです。引き続き、祝祭のヴェネチア空撮、シテ島遠景、ルーブル全景。大ロケーション敢行……もしてるんでしょうけれども、合成がいかにも見事です。

物語とキャスティングは、びっくりするほど基本プロット・基本キャラクターイメージに忠実で、ここまでやっても原作愛が感じられ、演出も原作を肌で知っているというべきか、フランス製コメディの微笑ましさと上品さを持っております。

なお、唐突な洋画選択は、レンタル屋に行ったらDVDパッケージに美男が一杯いたからです。ハリウッドな人々ではないので見慣れないですが、たいへん良い顔ぞろいです。アラミスがお気に入りですが、レイ・スティーヴンソンが出てました。わーーい。

可愛い顔したダルタニアンはパーシー・ジャクソン。金髪のコンスタンスも、めっさ可愛いです。一瞬の男装姿も魅力的。

「女スパイ」や「船の旅」という要素のコペルニクス的転回的とらえ方だけではなく、史実では不遇な王妃だったアンヌ・ドートリッシュの愛らしさ、初恋という同じ要素を持ったルイとダルタニアンの友情、当時の旅は紳士だけでは成り立たなかったなど、今まで盲点だった部分に着目したセンスが抜群。

基本ラインを崩さず、原作ファンを困らせずに新要素を付加しているわけで、「正統派二次創作はこう作れ」というお手本のようです。

スローを利かせた殺陣は、どっかで見たような感じですけれども、ちゃんと自然光下で撮ってるので立派なものです。バルコニーから観戦する庶民の喝采するタイミングなど、場面構成がよく、たぶん映像処理なしの撮りっぱなしで見ても面白いです。

枢機卿は再現度高く、バッキンガム公も誇張の利いた悪役で、狐と(お洒落な)タヌキの化かしあいになっており、楽しいです。公はミレディとの男女の関係を暗示しつつも洒脱な味わい。

アクションパートの豪快さは桁違いですから、手ばなしで楽しみましょう。大砲発射の際の反動の再現も嬉しいところ。グスタフ・アドルフの時代と違って、砲弾は火薬入りになっていたようです。にげろーー。

ロシュフォールはもう少し活躍してほしいなと思っていたら、ちゃんと見せ場がありました。ミレディ退場して「こっから男のドラマ」という切り替えが良いです。同じ台詞、似たような場面の繰りかえしも効果的。アクション映画をアクションだけで見せない工夫に満ち満ちております。

目に残るラストシーンは、観てのお楽しみ。



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