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プロは自虐しておりません。

榊原史保美の奇妙な解説書に漂う悲しさは、自分たちが1978年以来心血を注いで書き上げてきたものが、後から発生した稚拙で粗雑なパロディ作品と混同され、無礼なレッテルを貼られて、自虐したことにされてしまったことによります。

実際には自虐していない人々に対して、あたかも自分から言い出したかのように責任転嫁しつつ、無用なレッテルを貼ることは、差別行為に当たります。

1980年代の吉田秋生も、秋里和国も、彼女たちを売り出した出版社も、自虐語は用いておりません。また『JUNE』は、ジュネです。

榊原の本のタイトルを見たときには「眼を疑った」というのが本音です。1998年なら、すでに「ボーイズラブ」という呼称が使われていたはずですから、せめて『BL幻論』とか『ボーイズラブの系譜』とかにしときゃ良かったのです。

長い文学的伝統を誇る日本は、さまざまな時代・さまざまな地域文化の言葉を混ぜこぜにして用いることに慣れてしまっているので、本来の語義を確認することを怠りがちです。それによって無駄に議論が紛糾したり、ジョークが外人記者には通じなくて大騒ぎになったりするのです。

この「リテラシー」の時代には、旧態依然とした偏見にとらわれず、自分の眼で確かめ、自分の頭で考えることが何にも増して重要です。

説明を聞いたうえで「なるほど……」と考え直すきっかけにするのか、「でも! っていうか私の時代には! みんなゆってたし!」と叫び出してしまうのかによって、自分自身の人間性の評価が変わるのです。

周囲の人々にとっては、「みんな」を言い訳にしてしまう人物と、この先もお付き合いを続けて行くべきかどうか、考え直すきっかけになるのです。



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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験・就活を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

映画評は、アップロードする以上は「下げる」ようなことは言わないことにしております。あらすじもあまり申し上げませんので、楽しみに御覧になってください。記事冒頭の色つき文字は映画中の台詞・挿入歌の歌詞からの引用です。

なお、取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・分割・削除しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。