Misha's Casket

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1966年9月、マキノ雅弘『日本侠客伝 雷門の決斗』東映京都

あいにく俺ァ素人なんでね。損得の勘定はこれから勉強するとこだ。

脚本:野上龍雄・笠原和夫 撮影:山岸長樹 照明:北口光三郎 美術:川島泰三 音楽:斉藤一郎 助監督:清水彰

シリーズ屈指の名作。 って毎回云ってますが、演出力がぐんぐん上がって行くのです。今回は本当にすごいです。なお、主題歌がリニューアルしました。

大正15年、夏。古き良き浅草、六区芸能界。マキノ的俯瞰の構図から始まって、世界観と対立の構図を示す「プロローグ」にあたる開始20分間の見せ方が良く、内田朝雄と島田正吾のツーショットの渋みにのけぞりつつ、待田京介の赤い蹴出しが目に沁みる。(器用な役者です)

芝居小屋の話なので女優の登場も多く、雰囲気が明るく、当時の往来の賑わいや、リハーサル風景まで再現する風俗描写が貴重です。

主人公は例によって海へ出ていたらしいです。立派な体格とともに藤純子(今日は可愛い子ぶりっこ演技)とのラブラブっぷりを惜しみなく披露しております。

悪役は水島道太郎が天津敏を連れて。喪服の中に二人だけ白いものを着た演出がにくいです。

藤山寛美はコメディ属性ではなく、いいこと云う役です。今回は鶴田がいなくて、長門裕之が色男属性。村田英雄が泣かせます。オールスター状態、しかも無駄なく引き締まって心地よい。女たちが気風を見せるところも嬉しい。エキストラ大量動員は監督の得意技で、今回も冴えておりました。

最終殴りこみに至る情感の深まり具合は(今んとこ)他の追随を許しません。物語の良さは野上龍雄に帰して良いでしょうか。

明らかに『人生劇場』の要素を取り入れておりますが、これは「リスペクト」と云うのです。同路線の中では最も美しく決まった一本ではないかと思われます。健&純子のロマンスの幕切れも美しいものです。

花のほかには、待つばかり。


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