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2008年、榊英雄『ぼくのおばあちゃん』

優しい嘘って、いうこともあるんだね。

製作総指揮:木下直哉 原作:なかむらみつる(「ぼくのおばあちゃん」ぴあ刊)脚本:龜石太夏匡・榊英雄 撮影:宮川幸三 照明:鈴木康介 美術:井上心平 音楽:榊いずみ 
特別協力:愛媛県・大洲市 東京ロケ協力:木下工務店

柿の実、鶏頭、物干し台。ひっさつ・せーばい剣ッ。おとながまじめに子どもと遊んでくれた頃。大事にしたい作品。

第21回東京国際映画祭、日本映画「ある視点」部門正式出品作品。菅井きん、2008年8月29日、ギネス認定。世界最高齢(出演時82歳)主演女優。

予想通りの涙腺刺激剤ですが、見せ方がものすごく上手いです。照明、構図、カメラワーク、編集など、映画作りがPCに頼っていなかった頃の緊張感と実直さにあふれております……って、2008年!?

まだ若い俳優出身の監督以下、スタッフがアナログ時代の実写映画をなめるように見た人々なのだろうと思う他ありません。とはいえ、スローやストップモーションなどもたいへん効果的です。

特筆すべきは時代劇パートがあることで、この出来栄えが!(嬉) まさかのワンシーン・ワンカット。拍手。

そして何よりも、2008年の時点でこの風景を維持している大洲市に感謝と尊敬の念をお伝え申します。

俳優たちはたいへん楽しそうに演じており、なごやかな撮影現場だったように思われます。中学生以下の子役たちは、いずれもたいへんおりこうさんです。

おばあちゃん自身の半生の苦労は語られませんで、まさにタイトル通り、孫の目から見た、孫の胸に残る懐旧の日々。

今なお二十四時間戦い続ける男たちの悲哀の向こうから、劇中劇の楽しさと、回想シーンがさざなみのように打ち寄せる複層構造になっており、おばあちゃんがいた頃を描くカメラには、すべてのカットに美しい陽射しの色と情緒がまつわっております。

その手前で、若い母親たちは、どこの家庭でも自分自身の責任感を背負いかねているようでございます。

脚本には無駄がなく、終盤は回想の中の回想という入れ子状の構成と編集の技に泣かされます。

監督も原作もまだ若い男性ですから、小さな男の子への共感があるようで、彼らの姿を通じて、おばあちゃんと、お母さんと、お母さんだった人がおばあちゃんになった人への慕情を称揚する、今どきまっすぐな自己愛作品でもあります。

監督の名言:人がいなければ、映画はできない。

人とは、生まれて、迎えられて、見守られて育つものであり、時間が過ぎ去るということは、とても幸せなことなのです。


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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。