Misha's Casket

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1968年2月、マキノ雅弘『日本侠客伝 絶縁状』東映京都

組が解散して、散らばったゴミは誰が拾ってくれるんですかい。

脚本:棚田吾郎 撮影:わし尾元也 照明:北口光三郎 美術:井川徳道 音楽:木下忠司 編集:宮本信太郎 助監督:原田隆司

シリーズ8本目。斬新なハードバップ調の音楽は、まさかの木下忠司。そしてまさかの現代劇。

戦後の法律によって侠客が資金源(賭場)を断たれ、かえって悪どい「暴力団」に変化していく皮肉がよく描かれています。棚田の脚本は男と男の言葉による対決をひじょうによく描き出しており、マキノ監督らしい社会派ですが、いつもとは一味違った緊張感に溢れております。

今まで、わりと簡単に新しい時代に合わせて足を洗う話が多かったのですが、今回は逆手に取ってみたといったところのようです。高倉がすごくいい芝居っけを見せるようになっており、心理描写もいつもより格段に深いです。

わし尾の構図は洗練されて、「ここ一番」でローアングルを効かせるものに変わっております。色合いが美しく、男盛りの高倉の肌の質感の魅力を余すところなく捉えております。

1968年当時の風俗がそのまま生かされており、若い組員たちが当然のように洋装な中で、一人実直に和服姿と任侠道を守る高倉は、あざやかな居合も披露してくれます。

善玉の相方は菅原健二。やっぱり高倉とはいいコンビです。悪役は渡辺文雄。だいぶ渋い顔合わせ。題材が題材だけに、リアリズム重視路線のようです。藤山寛美と待田京介も未曾有の名コンビっぷりですが……だからそれやっちゃいけませんってば。

松尾嘉代がすっごくいい嫁さんぶりで、男女の会話もいいセンス。桑原幸子ちゃんも可愛いです。

暴力シーンをギリギリまで押さえた非娯楽的つくりながら、高い緊張感が持続し、殴り込みに至る話の流れが良く、殴り込みの瞬間もいつにも増して印象的で、わし尾の移動撮影も見事。その後が描かれているのも珍しいパターンで、たいへん味わい深い一本です。必見。



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