2016/10/05

1962年10月、井上梅次『暗黒街最後の日』東映東京

よってたかって、俺の気持ちを細切れにしやァがる。

脚本:井上梅次 撮影:西川庄衛 美術:進藤誠吾 音楽:鏑木創 助監督:加島昭

これがギャング映画だ!!(予告篇より)

善魔 vs. 侠客。鬼検事が追いつめるのは、株式会社の皮を着た戦後暴力団の内部抗争。一代を築いた男が見てしまった仲間の姿とは。

『日本侠客伝 絶縁状』は、新しい時代に合わせて渡世人が姿を変えて行く過渡期のお話でしたが、こちらは、その行き着いた先。ニュース映画ふうの硬いナレーションを効かせた実録調で、コメディリリーフの登場はなく、暗い緊張感が持続します。

もちろん暴力映画ですが、納得のうえで観ることができれば、すっっっごい面白いです。日本の男もピカピカのキザでいられた時代。俳優たちにとっても楽しい仕事だったかもしれません。

東映を象徴するザッパーンから一転、タイトルバックで物語がどんどん進みまして斬新です。新旧対立の物語ですが、いつもの殴り込みへ収斂していく式ではないうえに、先行きの見えない社会派サスペンス要素があって、手に汗握る100分間。そうです、2時間に足りないのです。なのに、ものすごく密度が高いです。

ボルサリーノと銃器装備のギャングというバタくさいキャラクターの大盤振る舞いですが、海外に憧れて表面的に真似するのではなく、日本の文芸と映画術の蓄積のほうへ海外っぽさを一つの要素として取り込み、完全に消化していると思います。

消化のしかたがまた日本らしいわけで、外国かぶれっぽいほうが悪玉で、「俺は日本の侠客だ。嘘は言わん」っていう例の人のほうが善玉。

暑苦しいギャング俳優どもの中で、相対的に最も女性的な風貌を持った人なんですが、今回も熱いです。そこへ「善魔」が絡むので、対立の構図はかなり複雑で、場面切り替えも多いんですけれども、編集がたいへんドライかつ滑らかで、テンポは速いです。

三国連太郎は恐ろしいように立派な鬼検事ですが、ほんとうに芝居の質と口調に「善魔」の頃の面影を残しており、鶴田のこなれた(またはやさぐれた)演技との対比も見どころです。丹波哲郎は、これが一番面白いかもしれません。

開いた口がふさがらないクライマックスは、見てのお楽しみ。




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