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ゲイバーで、くだらない質問をしたのは誰ですか? ~偏見を解消するための、分離の試み

副題をつけてみました。

もともと当方の同人論・BL論の目的は、二十四年組などのプロ創作家・パロディ同人・新宿二丁目という行政区の名称に象徴されるゲイコミュニティを分離し、それぞれが偏見による(これ以上の)被害を受けることを防ぐことにあります。

だから全ての記事は、結論が「新宿二丁目へ行くな」になります。正確にいうと、先方も客商売ですから、行ったっていいんですけれども、「余計な質問をするな」になります。

でも頭ごなしに「行くな。質問するな」と言われると、ムッとしますね? わざとやりたくなったりもする。反射的に「なんで?」とも思いますね。だから、細かく例を挙げて「質問できると思うのは女性の勘違いですよ。自分が恥をかきますよ」とご説明申し上げるものです。

そのために、まずは1970年代にさかのぼる必要がある。旧制男子校における逸脱行為を主題に選んだのはプロ漫画家かもしれませんが、それをアニメキャラクター(の集団)に適用したのは、同人です。

【アニパロ依存と実在依存の分離】

「男性向けに描かれた男子の共同生活でも、誰かが女役に選ばれるはずじゃない?」と連想を働かせたのは、少年漫画の読者・SFアニメの視聴者であって、『少女コミック』しか読まない人ではあり得ません。

それは、漫画サークルの一員だった子が、創作修行の一環として、男性が称賛する名作少年漫画を読んでいる間に思いついた。

あるいは、もっと単純に(親が自分のために買ってくれた少女漫画雑誌と並行して)お兄ちゃんの持っていた漫画を読んでいるうちに思いついたというのが自然です。ともかく、アマチュアです。

逆にいえば、誰にも女役になってほしくないわと思えば、アニパロは好きだがBL化は困るという人もいる道理です。自分自身が「エロ」を目的にしていたというポストひのえうま世代の中には、これをイメージすることさえ出来ない人もいますが、世界とあなたはイコールではないので、気をつけましょう。

なお、ポストひのえうま世代とは、1967年生まれ(1980年に13歳)から、1974年生まれ(ゲイコミュニティからクレームついたという1994年に20歳)までを呼ぶために、便宜的にここだけで使う造語です。

この年間出生数180万人超えは当たり前という驚異的な世代(の一部)が、1980年代に実際の少女として、アニメとアニパロと、その一種である二次創作BLと、それを売る場である(と本人が勘違いした)コミケを急成長させたのです。そのプライドが、いまなお暴言を生みやすいので、自分で気をつけてください。お母様のトラウマは無関係です。

話を戻すと、「旧制男子校において逸脱行為があった」という知識は、もともと創作物であり、誰かの実体験に基づいているとしても、100年も前の話なのですから、現代の現実のゲイの日常生活とは何の関係もない。

彼らは、百歩譲って「あの漫画・小説を読んだことがあるなら、ファン同士として評論ごっこしよう」という会話には応じる気持ちになっても、本人のプライベートについて、恋人いるのとか、どこで出会ったのとか質問される筋合いはなく、答える義務もない。

もちろん「見てるだけでいい」などという窃視趣味者からジロジロ見られることを我慢する筋合いもないのです。彼らはストレート女性の奴隷ではなく、安上がりなホストでもありません。

これを改めて言わなければならないのは何故か? もちろん、アニパロ同人誌を読んで、男同士に詳しくなったから、本物の話を聞かせてほしいというふうに混同する人が実際にいるからです。そして、「そういう趣味はプロ漫画家から始まった」と説明する人がいるからです。

違います。プロはアニパロを描きなさいなんて言っていません。アニメキャラに適用したのは同人です。それを「どのアニメキャラが登場しているか」を基準に選んだのは購読者自身です。

アニパロで頭がいっぱいなだけなのに実在者のところにまで質問に来てしまったのも、その人自身の判断です。

プロ漫画家の責任ではありません。

すでに同人作品の多くが年齢指定を自己申告するようになっています。それはもう「女の子」の読むものではありません。必要なのは、成人女性の自覚とマナー。比較的最近の流行語でいえば「品格」です。

BLは、女性がわざと品格をかなぐり捨てて、ふざけることのできる「場」として利用されているという側面があります。でも、同人の先輩たちは、それを「コミケの中だけ」という約束にしていたのです。新宿二丁目はコミケではありません。

【同人用語を真に受けてはいけません】

そもそも、1980年代の同人が使った隠語は作品そのものを分類するための「タグ」であって、その作者である人間を示す単語ではありません。それを流用して「なんとか少女」という造語を考え出し、レッテルを貼ったのは評論家・メディアです。それは1980年代後半以降のことです。

まさに上記のポストひのえうま世代によってコミケが急成長し、行列が伸びて、人目を引くようになったことそのものによって、論じようという気運が起きたのです。当時の評論家・メディアは「若い成人女性」を表現する単語を共有しておらず、現象を部分的に観察して「少女が自虐している」と判断しました。

が、1980年代後半以降です。すなわち、1970年代以来のベテランが成人しています。成人が著作権侵害で訴えられたら情状酌量はありません。オリジナル作品なら出版社へ投稿してプロデビューすればいいだけです。当時の一般社会は竹宮や栗本を「石もて追う」ということをしていない。オリジナルを発表するプロである以上、自虐する必要はないのです。

が、同人は目立てば目立つほど逃げ隠れする必要がある。成人であることを自覚しているからこそ、哀れな少女を自称する必要がある。ありもしない弱者特権を、あるもののように言う必要があったのです。

したがいまして、これを真に受けて、ほかの町へ行って「わたし女の子だから大目に見てよ」という人には、困るのです。同人の使う言葉を真に受けてはいけません。本当に少女だから少女を自称したのではないのです。それは同人お得意の婉曲表現であり、隠語です。

「山も落ちもないが、刺激性はある」「萌えるといえば、燃えるという意味である」「自虐する少女とは、実態を隠蔽したい成人である」

「、」から後が重要です。理解したうえで当事者どうしで言い合うから、ジョークになるのです。外の世界で主張したら、アウトです。

女性が男性を描くこと自体は「女性の表現の自由」でいいです。でも著作権問題は、女の子だからといって大目に見てもらえることはありません。まして実在者に対する人権侵害となれば、言い逃れできる道はありません。

【成人してから何をしたかが問題です】

1980年代の少女時代に何を読んで「目覚めた」かが問題なのではありません。1990年代に成人してから何をしたかが問題なのです。

創作と現実を混同し、ゲイバーへ押しかけて、くだらない質問をしたのは誰ですか? あなたですか? 同人ですか? パロディ同人誌をコミケに出展していた人ですか? だったら他の同人に謝ってください。あなたのせいで「みんな」迷惑したのです。こういう話です。

責任を取りたくないなら黙っていましょう。母親に責任転嫁するようなら自分が赤ッ恥をかくだけです。とくに、ゲイはトラウマに責任転嫁する人が大きらいです。

彼らは親のせいにできないことで差別を受け、偏見と闘っているからです。とくに「人生の途中で性的な悪戯の度が過ぎたことによって、または危険をともにした友人との間に愛が芽生えたことによって、ホモになった(すなわち自己責任だから社会が配慮してやる必要はない)」という偏見に、たいへん苦しめられています。

その彼らが「まさにその偏見を利用してカネもうけしていいつもりか。俺たちの目の前でふざけていいつもりか」と言って来た時に、あなた自身がなんと答える用意があるかという問題です。お母様は関係ありません。成人として答えましょう。

この程度のことを、1990年代にゲイコミュニティからクレームついた瞬間に、フェミニストが言えば良かったのです。女性側の偏見・勘違いだけでも指摘して、自粛を呼びかければ良かったのです。

【成人と少女を混同する研究者に問う】

ゲイコミュニティからクレームついたのは1994年です。1974年までの出生者が全員成人しています。成人の行動についてクレームがついた時、「少女は母親がトラウマだから」という論法で弁護することはできないのです。無意味です。

研究者たちが少女を論じるなら、その少女が夜遊びして、おそらくは酒に酔って、おとなに迷惑をかけている可能性を現場から示唆されたのに、なぜ本当に少女の仕業かどうか確認しなかったんですか?

漫画を読むことと、現実に他人の居場所に押しかけて無礼を働くことでは、罪の重さがぜんぜん違います。いや漫画を読むことは罪ではありませんが、現実の他人をからかうことは言葉の暴力です。しかもそこは、もともと差別されて苦しんでいる人々のアジールです。

あえて例えれば、DV被害女性の避難所へ一般男性が押しかけてきて「何をされたか教えて。萌えるから」と言ったのと同じです。フェミニストは女性にそういう行為を奨励するんですか?

少女の健全育成はフェミニストの仕事じゃないんですか? 警察やPTAと連携して補導に向かうべきじゃなかったんですか?

反論があるなら学者らしく論文を挙げてみろという話です。まさか今さら「プロとパロは同じだから未成年者が夜の町へ行って他人に性的な意味で質問する権利があるんです」なんていう先生はいませんね?



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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。