1968年、降旗康男『獄中の顔役』東映東京

  18, 2016 10:21
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自分を大切にするんだぜ、自分を。

企画:俊藤浩滋・吉田達 脚本:笠原和夫・高田宏治・鳥居元宏 撮影:星島一郎 音楽:伊部晴美 助監督:野田幸男

1960年代娯楽映画の軽快な面白さがよく伝わる作品。1968年に10本の高倉出演作品が公開されたうちの、10本目(!)

公開年よりちょっと昔を舞台に、素人さんを大量動員した降旗流リアリズムによる仁義なき現代劇。網走で鍛えた兄さんは、内地の獄中でも貫禄でした。

タイトル通り、『番外地』シリーズの好評に乗った「塀の中の懲りない面々」というお話であると同時に、この当時『乾いた花』はお蔵入りを喰らっているので、一般客は知るよしもなく、単純にそこを突いて「池部を使って『残侠伝』と同じ構図で現代劇をやってみよう」ということだったに違いなく、つまり寄せ集め感があって、一級品とは言いがたいですが、選曲センスを含めて細部に降旗らしい上手さがあり、意外に心に残ってしまう一本です。

池部と高倉は奇しくも同じ2月生まれ。実年齢でまるまる13歳離れており、池部が若く見えるタイプでもなかったので、幼馴染設定は無理あるかなと思いつつ、二枚目らしい気障な目線芝居と、三白眼リアリズムの盛り合わせで、まァこっちの眼の保養。

どこにでも草鞋を脱いだ先で義理を立てるよりほかに生きようのない一匹狼どうしのくせに、非情になりきれない義兄弟。

「並んで草鞋履け!」と言ってやりたくならないこともない二人を中心に、それぞれの渡世の親となる人々として、昔気質のばくち打ちと新興暴力団を配し、商売の縄張りをめぐって対立が激化する、おなじみの構図。

コメディリリーフ的な同房者たちの描写は、中だるみ感ないこともないですが、音楽を上手に使って観客の共感を着地させたところで、サッと話を切り替えるのは見事なもので、ここで脚本家が交替しているのかもしれません。

藤純子の珍しい洋装も拝見できます。彼女がヤクザの世界をハッキリ批判するのが印象的で、たぶん脚本家はすでに任侠路線に飽きている。でも降旗監督は本当に「映画を撮る」という作業を楽しむ人なのだろうと思います。構図や照明の工夫がいっぱいです。クライマックスも既視感ありありですが、これはもう、分かった上で楽しく付き合ってあげる作品だろうと思います。

老いた新国劇は意地を見せました。お若いの、五分でやろうか。



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