同人なら言わない。

  06, 2016 10:20
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1980年代初頭以来、同人界は「絶対に本物を怒らせるな。ホモという言葉を使うな。新宿二丁目へ行くな」という約束を守っています。意外なようですが、本当です。ベテランなら知ってます。

これは、同人が自分を守るための約束なので、同人やめた(コミケ出展を断念した)人は、もう守らなくていいということではありません。

もともと、ゲイに対してたいへん失礼であり、彼らの心を傷つけることなので、同人ではない人もやってはいけないことなのです。

それを、1970年代末から1980年代初頭にかけて、まだ世間慣れしていなかった若い同人の一部がやっちまったので、ゲイ側から直接的なクレームがあったのです。当時の同人たちは即応しました。二度と繰り返すなと後輩たちに通達したのです。これが同人の処世術です。

絶対にフェミニストみたいな全面対決姿勢を取りません。著作権問題を抱えているところへ、人権問題として訴えられたら、明日がないことを知っているからです。

1990年代のクレームというのは、ゲイコミュニティが、常日頃から「男が女を搾取してはいけません」と主張しているフェミニストに向かって「女が俺たちを搾取するのはいいのかよ」と皮肉を言ってやりたかったので、わざとフェミニスト団体へ向けて文書を発送したものです。

背景にあったのは、既述の通り、テレビなどを通じて情報を得た女性がゲイバーを訪れる例が増えていたこと、1980年代のエイズ騒動を通じてゲイ側が人権運動に自信をつけたこと、そもそも経済学の用語を流用して男性社会を批判する女権運動の分派が生じていたことですね。

そのマルクス主義的フェミニストたちは、もともと「女が二丁目まで来て騒ぐな。女が描いた漫画で頭が一杯になった女が、俺たちから体験談を聞かせてもらおうとするな。女が描いたものと俺らは関係ねェ」という話であることを理解できず、「男が女の描いたものを読んではいけません!」という話にすり替えてしまいました。

1994年です。ベルリンの壁が落ちた後です。日本の学者は何やってんだというのが本音です。

でも、同人なら即応したでしょう。新宿二丁目へ行かなくてもBLを描くことは可能なのです。もともと戦前のストレート男性の創作物を発想元として、登場人物としてもストレート男性(≒アニメキャラクター)をイメージモデルにしているからです。

それをゲイも読んだ上で「男同士は異常だ」という台詞についてだけ怒ったというなら、同人は「二度と書きません」というだけです。そして、ゲイが読んでも楽しめるBLを書いて、彼らに通販してあげれば売上2倍。これが同人の処世術です。

男女の対立の構図、男性中心主義社会から女性中心主義社会への「移行」というイデオロギーのために、ストレート男性中心主義社会のなかで割をくっている弱者同士が内ゲバを演じる必要はないのです。だからフェミとは別なのです。

当方が「男同士は異常だという台詞はプロの作品にはありません」と指摘した時も、同人やっていた(つもりの)人が「編集がチェックしてるんだから当たり前じゃん」というのでは、意味がないのです。そんな話をしてるんじゃないのです。

「プロの作品にはない以上、同人が書いたものなのだから、ゲイはクレームがあるなら同人のところへ持ってこい」という話です。同人なら即応するのです。もともと「本物を怒らせない」という対応をしていたからです。忘れてしまったか、知らなかったという若い人がいるなら、注意を更新すればいいだけです。

なのに、ゲイ側が話をややこしくしたのです。彼らがフェミを巻き込んだのです。

だから、そのフェミの言いぐさを真に受けて「私は母親がトラウマで結婚できない永遠の少女だから、ゲイに質問してもいいでしょ? どおしてホモって言っちゃいけないんですか~~? どおして私が同人の先輩から叱られなきゃいけないんですか~~?」という「もと同人」には困るのです。

「同人やっていた」といいながら、フェミの言うことに従って、同人の先輩の言うことには従わない人です。

まァ稀にそういう人もいるという話です。私のことじゃないわと思う人は、今後やっちまわないように気をつけてください。

たとえゲイ自身が「俺はゲイボーイじゃねェ。ホモだ」と言っていたとしても、女性に向かって「お前も言っていいよ」と許可をくれることはありません。

基本的に「名指した時点で差別」です。女性が男性とお話させて頂くにあたって「あんたホモでしょ」とか「あんた達ホモの場合は~~」という言い方をする必要はありません。相手を個人として尊重し、きちんとお名前をお呼びすればよいだけです。

また自分がトラウマ抱えていようが、永遠の少女だろうが、他人に無礼を働いてよい理由にはなりません。同人たちは、クレームに対して「女の子だから別にいいじゃん」などと申したことはありません。

即座に「二度と本物を怒らせるな」と言っただけです。




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