医師免許のない人に、心の治療師の称号を授与する意味。

  13, 2016 10:22
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ミステリーに登場する名探偵というのは、正しい推理に基づいて、証拠を見つけちゃった素人です。

創作上の警察は、間違った推理に基づいて、ありもしない証拠や、いもしない証人を探しているから捜査が行き詰まる。

名探偵は警察手帳もなにも持っていないけれども、正しい推理に基づいて、まっすぐに犯人ゆかりの寺社を訪ね、ピンポイントで「昭和何年の台帳を見せてください」と指定することができる。それに基づいて犯人が自白するから警察が逮捕せざるを得なくなる。

逆にいえば、探偵は推理を述べるだけです。もし探偵が警察に通報しなければ、犯人は無罪放免もあり得る。ベーカー街221Bの部屋では、時々やってましたね。

医術というのも、もともとは誰かが(何千年も前に)勝手に始めちゃったことで、それで確かに「治った」と思った人が大勢いたから、その技術は正しい・すごいということになって勉強したいという人が増え、途中でめんどくさくなって逃げた奴ではなく、正しく覚えた人に免状を渡すことになったわけです。

各種学会とか、芸事の家元とか、武道の段位認定とかも、バッサリ言ってしまえば、それぞれ勝手に組織を作って、勝手に「これができると何段」とか決めてるだけです。

それによって、上の人が下の人をイジメることを目標にしているのではありません。下の人が自分自身の怠け心に打ち克ち、上の段位や免許皆伝をめざして修練に励むことを目的としているのです。

競争相手は自分自身であることを悟るためにこそ、自他を比較しやすくするのです。ここ間違えてはいけません。

推理作家協会とか、ペンクラブとか、ああいうのも要するに「同人」です。もとは同人会です。ミステリーの好きな人同士が集まって「お前の書いたものはすごいよ」って言い合うのです。で、賞状を与えたりする。

文筆に興味ない人が「そんな賞状、意味ないじゃん」と思えば、意味ないのです。

小学校では「なわとび百回飛べると先生から『なわとび名人』の賞状をもらえる」とか「声が大きい生徒を『朝のあいさつ委員長』に任命する」とか、やってたはずです。

それによって本人が「天狗」になってしまい、賞状を持ってない子をイジメることを先生たちが期待しているのではなく、本人に自信をつけてやり、よりいっそう体力作りや朝の挨拶をきちんとできる子に育てることが狙いです。

自己啓発術の場合、まず誰よりも本人が自分自身の心の面倒を見られるようになるのが狙いです。他人にお節介やかせることを目的としているのではないのです。まして他人に向かって自分の過去を自慢したり、愚痴を聞かせたり、他人の話を途中で勘違いしたりするためではないのです。

「あなたは何々メソッドを習得することができたのだから、決してダメな人間ではない。自信を持って生きてください。また迷いが生じたら、いつでもこのテキストを開いて、自問自答してください」ってことなのです。



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