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1960年1月、岡本喜八『暗黒街の対決』東宝

なんだか面白そうな話だが、さっぱり分からねェ。

製作:田中友幸 原作:大薮春彦『血の罠』 脚本:関沢新一 撮影:山田一夫 美術:阿久根巌 照明:西川鶴三 音楽:佐藤勝 監督助手:竹林進 

ビッグバンドと洋酒と煙草が男を飾っていた頃。東宝のホープ(『暗黒街の対決』予告編より)は、だいぶ吹っ切れました。「三船・鶴田の男性活劇巨編」(予告篇より)

いや、ギャグ映画ではないです。ギャング映画です。エイゼンシュテインふうにクローズアップした面白い絵が続き、音と画の編集技が冴え渡っておりますが、話は本当にさっぱり分からない状態がしばらく続くので、だいたい38分くらいまで、大らかな気持ちで見守りましょう。

メンバーは、渋みが増してトレンチコート着用で寝そべる姿がたまらなくセクシーな三船さん40歳と、チャキリス張りで喧嘩っぱやい鶴田さん37歳と、まだ若くてふっくらしてる河津さん52歳。(※公開年の満年齢)

河津さん配下の悪役たちが印象的で、吹っ切れた岡本喜八のセンスはちょっと日本人離れしているらしく、全体にフランスのコメディ映画に近いのかな……という乗りのようです。

拳銃をなくした刑事や野戦病院の軍医の高潔さはどこへやら、すっかりやさぐれちまった三船さんのアクションが東映ふうの大振りではなく、小刻みなリアル路線であることだけは確実に分かります。

女性キャラクターも個性的で魅力的。思うに「ギャングになっても、ヤクザになっても浩ちゃん素敵」という女性観客がいたはずで、鶴田出演作は女性好みの一途な悲恋要素と、女性から見て「失礼だわ、いやらしくて観ていられないわ」という要素がないように思われます。だから本人は甘い顔してるのに、お話はハードなのです。逆に考えると、高倉は男の稚気を象徴していたのでしょうが、それはまたの機会に。

なお、大岡さん(=河津さん)の屋敷と「大京ホテル」の風情がよくて、ロケ場所が気になります。クライマックスは照明の技が冴えます。サスペンス要素があるので、あらすじは申し上げません。三船の表情の変化を楽しみましょう。

清濁あわせ飲んだ三船の男の色気。熱いのに寂しげな影を背負った鶴田。組み立てのむずかしいダブルヒーローものですが、それぞれの個性を十二分に活かしきっており、こののち1960年代を通じて洋の東西で流行した要素を先取りしつつ、撮影と編集に技術と遊び心の粋を凝らした傑作です。

ところで警視庁、提灯使ってたんですね。




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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

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Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。