1960年1月、岡本喜八『暗黒街の対決』東宝

  31, 2016 10:22
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なんだか面白そうな話だが、さっぱり分からねェ。

製作:田中友幸 原作:大薮春彦『血の罠』 脚本:関沢新一 撮影:山田一夫 美術:阿久根巌 照明:西川鶴三 音楽:佐藤勝 監督助手:竹林進 

ビッグバンドと洋酒と煙草が男を飾っていた頃。東宝のホープ(『暗黒街の対決』予告編より)は、だいぶ吹っ切れました。「三船・鶴田の男性活劇巨編」(予告篇より)

いや、ギャグ映画ではないです。ギャング映画です。エイゼンシュテインふうにクローズアップした面白い絵が続き、音と画の編集技が冴え渡っておりますが、話は本当にさっぱり分からない状態がしばらく続くので、だいたい38分くらいまで、大らかな気持ちで見守りましょう。

メンバーは、渋みが増してトレンチコート着用で寝そべる姿がたまらなくセクシーな三船さん40歳と、チャキリス張りで喧嘩っぱやい鶴田さん37歳と、まだ若くてふっくらしてる河津さん52歳。(※公開年の満年齢)

河津さん配下の悪役たちが印象的で、吹っ切れた岡本喜八のセンスはちょっと日本人離れしているらしく、全体にフランスのコメディ映画に近いのかな……という乗りのようです。

拳銃をなくした刑事や野戦病院の軍医の高潔さはどこへやら、すっかりやさぐれちまった三船さんのアクションが東映ふうの大振りではなく、小刻みなリアル路線であることだけは確実に分かります。

女性キャラクターも個性的で魅力的。思うに「ギャングになっても、ヤクザになっても浩ちゃん素敵」という女性観客がいたはずで、鶴田出演作は女性好みの一途な悲恋要素と、女性から見て「失礼だわ、いやらしくて観ていられないわ」という要素がないように思われます。だから本人は甘い顔してるのに、お話はハードなのです。逆に考えると、高倉は男の稚気を象徴していたのでしょうが、それはまたの機会に。

なお、大岡さん(=河津さん)の屋敷と「大京ホテル」の風情がよくて、ロケ場所が気になります。クライマックスは照明の技が冴えます。サスペンス要素があるので、あらすじは申し上げません。三船の表情の変化を楽しみましょう。

清濁あわせ飲んだ三船の男の色気。熱いのに寂しげな影を背負った鶴田。組み立てのむずかしいダブルヒーローものですが、それぞれの個性を十二分に活かしきっており、こののち1960年代を通じて洋の東西で流行した要素を先取りしつつ、撮影と編集に技術と遊び心の粋を凝らした傑作です。

ところで警視庁、提灯使ってたんですね。




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