1939年12月、マキノ正博『鴛鴦歌合戦』日活

  28, 2016 10:20
  •  -
  •  -
とかく浮世はままならぬ。日傘さす人、作る人。恋のそよ風よそへ吹きゃ、好きなお人もままならぬ。

脚本:江戸川浩二 撮影:宮川一夫 剣導:足立伶二郎 助監督:羽田守久 オペレッタ構成・作詞:島田磬也(テイチク専属) 音楽指揮・作編曲:大久保徳二郎(テイチク専属)

片岡さんの出演作品はパブリックドメイン過ぎて、かえってレンタル店で見つけるのが難しいんですけれども、これは日活100周年記念事業でDVD化されたらしく、HDリマスターにしても、……いや、よくこれだけの質で残っていたなァと。

フィルムセンター所蔵作品。約68分、ひと息に見せます。『会議は踊る』もコスチュームプレイですから、同じ時代の日本を舞台にしたっていいわけですけれども、これはもう発想の勝利。やんや、やんやと囃しましょう。

ビッグバンドの演奏の質が高いのはもちろん、男優たちのコメディ演技もハイレベルですが、美人ぞろいの女優たちがすごく元気がよくて可愛くて、ニヨニヨが止まりません。ヒステリーとか言っちゃってるし。

青葉の笛を知るや、きみ。須磨の嵐に散り逝きし。花もつぼみの美少年。嗚呼、無官の太夫敦盛が哀れゆかしき夢形見。

敗れし平家のローマンス。ディック・ミネ若すぎ。さすがの美声。

千恵蔵も誰だか分からんくらい若いですが、女形とはまた違った粋な格好よさを持っています。歌唱も情緒深く、お見事です。志村喬の存在感は桁違い。コメディやってます。どうやら吹替えなしで唄ってます。いい声です。

お話のほうは、めっぽう明るい導入部によって要素が出そろった途端に急展開する見事な構成で、よく考えると『会議は踊る』のパロディになっており、同時に伝統的な勧善懲悪ものでもあって、千恵蔵のアクションはさすがの切れ味。映像的にもハイレベルで、全篇を通じて構図が斬新。カメラワークも編集も大胆です。

正博=雅弘です。キャラクター名は役者の名前をそのまま活かしており、楽~~な感じで構想されたことが伺えます。

それにつけても、花の心は花が知る。『イントレランス』にも印象的な山ガールが登場しましたが、戦前の女優さんたちは本当に生き生きしていましたね。そしてやっぱりマキノさんは女好きでコメディ好き、と。

なんでこの人が任侠映画を撮ることになったんだろう……と考えてみると、むしろ任侠映画の枠を使って自分好みのコメディ女性映画を撮り続けた度胸の良さこそ、映画渡世人の金看板を背負っていたかもしれないと思うなど。


Related Entries