『清盛』第23回「叔父を斬る」

  01, 2012 09:55
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念のためNHKオンデマンドはこちらです。

やっとハラオチするものが観られるように(ノД`)
やっと伏線が残酷なかたちで回収された(ノД`)
やっと清盛くんが状況を理解した(ノД`)

清盛・信西対決が終わった瞬間には心中で「ブラヴォ」を叫んだ。

長うございましたな……

いや確かに話は暗いよ。皮肉に満ちているよ。ってことは、先立って提示された話題を覚えておいて、解釈し直すという、ミステリを読むような息の長さと知性を要求されるよ。ってことは「先週どうだっけ?」と思うようではいけないので、復習を厭わないというマニア性が要求されるよ。そして挙句に、重いよ。

『グラディエーター』みたいに重いものを背負った話でもエンタメになってりゃいいんだけど、これは「身内を斬る」重さを時代劇調のカッコ良さ、泣ける芝居としてではなく生々しい市民感覚で見せるので、なんというか純文学的に重い。A級ドキュメンタリー映画的に重い。

これを日曜8時から観て、そのあと9時からバラエティに切り替えたり、ハリウッド製の娯楽映画に切り替えたり、サイクルロードレースのまったり感に切り替えたりするのは、ギャップがすごすぎる。

観終わった後は、抹香漂うお堂に籠もって手を合わせなければ済まないような、リアルな罪業感がある。
言うよ。日曜8時に家族で観るもんじゃない。(子供にはトラウマ感だけを残す可能性もある)

でもモニターの数字を気にする必要はないと思う。マニアは録画してる。

最初から、セットの本格ぶりと、それが可能にした大胆な構図、装束の気合いの入り方と、それに見合った役者たちの、眉を落とし、鉄漿を塗ってまでの体当たり演技には、歴史マニアは泣いて喜んでいた。
全話録画、永久保存版な勢いだ。
熱心な人はモバイルで本放送を観ているはずだし、PCで観ることもできる。

NHKだから打ち切りの心配はないと思うけどね。

今回に限った話をすれば、師光、解説ありがとう。分かりやすかったよ。ついて行くがいいさ地獄まで。
ひら謝りな成親が起き直った後の顔の演技、また塚地のぶよりのいやらしさが非常にいい。
白河院の血も怖いが、松田優作の血も怖ェ

謝るといえば、忠正にバタバタと近づく頼盛を枠から外れるのも構わずカットなしで追ったのは良かった。

そして明らかに役者として力量の優る玉木宏に大事なパートをまかせて、芝居と声がちょっと浅い主人公はイメージショットで ごまかした 美しく見せた、河原の場面。

行く川の流れは絶えずして、鳴り続けるせせらぎ。それがふと消えたと思ったら、飄々と風が鳴っているのね。討たれた忠正を包む流れ続けるせせらぎ、生きている為義を吹きすぎる虚しい風。

これだけ「音」を意識したドラマも少ないんじゃないかと思われます。それだけ技術が上がった(再現するテレビ側の性能が良くなった)のだろうなァ、など。

逆光にしずむ盛国、愕然とする目元だけ光のあたる清盛、いっぱいに陽を受けて輝く死出の忠正。そのほかの場面・人物も、立場の違いによって光の当たり方が違い、それぞれの表情の画面への収め方をちょっとずつ変え、それを短く連続させるのは、緊張感が高く素晴らしかった。まァ確かに人数は多いけどさ。

宴で皮肉をいわれ、ひざまづくべく袖を広げる清盛と、迎えるように袖を広げる帝の姿を重ねて撮る構図、またその清盛のひざまづいた姿で場面転換をつなぐのは素敵でした。

渡辺演出は安心して観られるなどと敢えて言う。

正義の名のもとの暴力を、お茶の間向けにおもしろ楽しく描ける時代ではない。描きたいなら映画・衛星放送・会員制動画・それらのソフト化など有償提供が望ましい。

またこのドラマ、女性と子供の登場する割合が非常に大きい。大河であるからどちらかの陣営を一方的な悪役として描かないことに加えて、各陣営に属する女子供がそれぞれに描かれていることが、話をさらにややこしくしている。
また親子の情を非常に強調する。「武士の誇り」「男の誇り」を自画自賛しない。むしろそんなものに意味は無いと言い放ち、情に負け、実の父親をたずね続け、それに見捨てられたことが人生を変え(清盛)、自死を決意させる(頼長)

しかしこの複数目線・女性目線が、現代のドラマには必須である。もはや1970年代ではないので男性だけの娯楽として暴力とエロスをテーマにした物語を書き、テレビで垂れ流すわけにいかない。

で……権力争いや戦闘を、女の目線から書くので、皮肉っぽくなる。女性キャラクターの立場から物申すことになって、水をさす。場面が分割される。男が泣いてばっかいる。

画面そのもの、音の使い方の凝りようと合わせて、「現代に撮る時代劇」「男の仕事に女性が参加した時代劇」として、評価されるかどうか、受け入れられるかどうかの瀬戸際にいる……という気がするが、たぶん、実は評価されていると信じる。

たぶんね、モニター家庭の趣味に合わないのだ。
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