2016/11/15

自称「ノンセク」の「アニパロ」同人というのは、矛盾しているのです。

まず、ノンセクとBLは別です。自分自身が誰とも性交したくないことと、男同士の性交に興味があることは、イコールではありません。

それがイコールなのは、同人誌即売会の中だけです。それは同人流のジョークにすぎません。パロディ同人が使う言葉を真に受けてはいけません。

会場の外で「ノンセク」同士の連帯を呼びかければ、かならず「エロ」という言葉を見るのも聞くのもいやだ・BLも読めないという人々が集まってきます。男性が含まれている可能性も高いです。

ゲイの世界にも、残念ながらDVがあります。性病の不安も大きいです。だから自宅でひそかに漫画・動画を鑑賞するだけで、実際の男性とは交際しないし、公共の場で性的な話をする気もないし、女性に失礼な質問をしたり、厭味を言ったりするつもりもないという人がいるのです。むしろ普通の男性です。

彼らは女性が「ノンセク」を口実にして、面白半分に男同士の性を話題にしたり、男性に質問したりすることを、ものすごくいやがっていることでしょう。

もし、そういう人々とお茶したり、球技大会を開いたりしても楽しくないなら、あなたはBLファンなだけです。「ストレート男性同士が吊橋理論でホモになる」という話をしたいだけです。コミケへ戻りましょう。

「ノンセク」として傷ついたという人々のお茶会は、最初のうちは「家族に厭味を言われた、同級生に揶揄された、職場では周囲が子どもの話ばかりしているので居づらい」といった愚痴の言い合いになって、グループ療法みたいになることでしょう。

でも、そういうのは「一度いったらスッキリした」となるもので、次からは「せっかくこうして集まったみんなで何かしよう」という話になるのです。それでスポーツをしたり、料理をしたり、社交ダンスを覚えたりということになるのですが、それでは物足りないのであれば、あなたはBLの話がしたいのです。

それも、他人が書いた市販BL文庫を購読して、その感想文をブログ仲間と共有するといったことで満足できないのであれば、どうしても自分で「アニパロ」を書きたいのです。売ったり買ったりする楽しみを取り戻したいのです。

だから、また晴海方面で会場を借りて、出品物を旧作アニメ関連に限定した「中高年向けアニパロマーケット」を組織してもいいです。1980年代にアニパロ同人誌を盛んにした世代は第二次ベビーブーム周辺の多子世代です。

けっこうな数の人が「最近のコミケにはついて行けない」と感じて寂しい思いをしているかもしれません。おおげさにやって、いきなり叩かれる必要もないので、クチコミで静かにやればいいです。駅頭で騒いではいけません。原作者様とは穏便に話し合いましょう。

なお、「ノンセク=ホモが好き」という偏見が生じると、他のノンセクシュアルの皆様のご迷惑になるので、他の皆様とは距離を置くことにしたほうが、お互いのためです。

【BLの本質は噂話】

多くの場合、二次創作BLというのは、原作でゲイカップルとして登場した人々のその後の様子を描いてみるというものではありませんね。

原作ではストレートとして登場した男性キャラクターを任意に2名以上選び出し「この人たち、仲良すぎて怪しい。本当は恋人同士なんじゃないの? 女に隠れて、こんなことばかりしてるんじゃないの?」という憶測を描くものです。

それは女性社会の真実を描かずに、男性社会に関する空想を描くものです。そして、それを同級生に読んでもらって、一緒に「やばい、やばい」と盛り上がる。

それはちょうど、実在の男女について「あの子たち、放課後に2人だけで会ってました。怪しいです。学校の名誉のためになりません」なんて手紙を書いて教師に讒言したり、噂を広めて仲間はずれにしたりする現象に、よく似ているといえるでしょう。

だから「長電話」なのです。二次創作BL同人誌の制作に先立って、同級生と長電話していたという同人が存在するのです。

もともと空想好き・噂好きな女性が「男の世界には『上級生が下級生を女に見立てる』ということもある」と知ると「じゃあ、あの男たちも怪しい」という噂を始めるわけです。

これを初期の時点で、意図的に創作物として描いたのが森茉莉や竹宮恵子。彼女たちの情報源は、古くはギリシャ神話。比較的新しいところで森鴎外。

じつはちょっと違うのが三島由紀夫で、彼の作品の場合は「もともと同性志向の男性が自分の本質に気づいた」という、自我の目覚めの物語なのです。だから「見る」ことによって主体性を取り戻したなんて描写が出てくる。

でも、二次創作BLというのは、そういうものではありませんね。もともと原作者によってストレートとして設定され、全国の読者へ紹介された男性キャラクターたちが素材です。それは「ストレートの男たちを一箇所に閉じ込めておくと、いたずらを始める」という知識に基づいている。

たとえ二十四年組がいなかったとしても、アマチュアの誰かが「昔の学校や軍隊では、そういうことがあったらしい」という話を聞いてきた(読んできた)時点で、「じゃあアニメキャラの集団の中でも誰かが女役に選ばれるはずじゃないの?」という憶測・噂話の一種が始まる可能性はあるのです。むしろ自然な連想といえるでしょう。

二十四年組自身は「アニメの著作権を侵害させてもらいなさい」なんて言ってませんから、アニメキャラクターを利用することは、アマチュアの誰かが自分で思いついたことなのです。

描写が過激化していくのは、噂に尾ひれがついて話がふくらんでいくことによく似ているといえるでしょう。

つまり他人同士の人間関係・性的関係について、想像をふくらませ、噂することの楽しみをバーチャル体験できるのが、二次創作BLの重要機能なのです。だから、それが好きな人は他人が書いたオリジナルBLを読ませて頂くだけではつまらないのです。噂話がしたいのです。自分勝手に想像をふくらませ、尾ひれをつけたいのです。

だから、いまでは二次創作BL同人とは交流していないという人が、怒りっぽくなって、SNSで迷惑行為を繰り返しているようなら、二次創作BLが足りていないわけですから、コミケへ戻るか、自分で新規イベントを立ち上げるのがいいのです。

そしてそれは「彼氏を作ればいいじゃん」ということではないのです。現実の代用品ではない・代わりはきかないという、この感覚は、おそらく「ロリ」な人々がいちばん共感できることだろうと思われます。

どちら様も、それはそれでいいのです。特殊な嗜好の表現の自由でいいです。ただし、注意事項があります。

【実在被害と「ノンセク」の独善】

空想好き・噂好きな性質を新宿二丁目に持ち込んでしまうと、実在男性に向かって「あんた達できてるんでしょ!? もうやったの!? 男同士でどこをさわるの!?」と質問する女性になってしまうわけです。

で、この女性自身が「私はノンセクよ。私が男と一緒に歩いていたからって、恋人同士だとか、夫婦だとか、決めつけないでほしいわ。先入観を持たないでほしいわ。どこまで進んだのとか、いやらしい質問をしないでほしいわ!」とか言っていたら?

……あ、あなた自分が何を言ってるのか分かってるんですか? って逆に質問したくなりますわね。

そうです。自称ノンセクのアニパロ同人というのは、ものすごく自分勝手なのです。

「自称ノンセクのアニパロ同人」という状態が許せるのは、創作技法として自覚的にアニメキャラクターを利用しているが、実在の男女・男男については噂話なんてしたことがないし、下品な質問もしませんという約束を守り通せる時だけです。

そういう自分に対して、本当に異性と交際するつもりがないのに「こんな漫画ばかり読んでるくらいだから、よっぽど男に飢えてるんだろうから、俺とホテル行こうぜ」なんて、先入観でいやらしいことを言わないでくださいということが可能です。それだけです。

ノンセクを口実に「新宿二丁目で特別に質問できる」と思ってしまってはいけません。たんなる勘違いでは済みません。自分自身がゲイから見切りをつけられるからです。

【ゲイはストレート女性がきらいです】

これはもう、ハッキリさせておきましょう。好きになってもらえるかもしれないという甘ったれた期待を持つ女性を防ぐためです。

ゲイはストレート女性がきらいです。とくに、彼らは何十年も前から「自称人権運動家」という女性に付きまとわれて苦労させられて来ておりますから、彼らと連帯したがるストレート女性の偽善を簡単に見破るのです。

ゲイに向かって「いやらしい話を聞かせなさいよ! 隠すとためにならないわよ!」という人は、彼らをガールズトークの仲間と勘違いしているわけです。でも実年齢で40歳を過ぎていれば、ガールではなく、ただの中年の噂好きです。あなたも井戸端会議の好きな母親たちみたいになってしまっただけです。

いっぽうゲイは、何十年も前から、一部の「私は主婦ではないからオバサンではない(永遠の少女である)」という自認を持った中年女性によって、「女性は男性中心社会の中で出世できずに苦労ばかりしているのに、あなた達は男同士でいやらしいことばかりしていてはダメでしょう! もっと女性の人権運動に協力しなさい!」と説教されるという被害を受けてきているのです。

もし彼らが「いや、ぼくらはそういう関係じゃないですよ」って言ったら?

「嘘おっしゃい! 私はちゃんと女性が描いた漫画で読んだんですからね! あなた達のポルノ雑誌も見てきたんですからね!」ってね。

この、女性における空想と現実の混同、女性の権利とゲイの権利の混同には、女性が自分で気をつけましょう。母親のトラウマは、存在しません。



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