1965年1月、石井輝男『顔役』東映東京

  16, 2016 10:20
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どうせ二人はこの世では、友呼ぶ千鳥と同じこと。

企画:俊藤浩滋・吉田達 脚本:笠原和夫・深作欣二・石井輝男 撮影:星島一郎 録音:元持秀雄 美術:中村修一郎 音楽:八木正生 編集:田中修 助監督:小山幹夫

東映東京がお送りする東西対決現代劇(1965年当時)は、全面的に西が悪。粋なジャズが流れる空撮タイトルバック上に並ぶスタッフも男優も女優もオールスターで、オープニングからホクホクします。

コンバーチブルにボルサリーノ。60年代の日本映画はフランス映画の真似がしたいお年頃。まだ若い高倉さんは、根が良家の子息なので、チンピラを「型」で演じるところがあって、だいぶ頑張ってます。子どもは好きみたいです。火薬の匂いが好きな大幹部・鶴田さんは、じつは切ない中間管理職。安部徹と内田朝雄の密室会談は、もうどっちがどう悪いんだか(嬉)

なお、東映は予告篇に本編の編集が完成する前の別アングルを使っちゃうことがあって「そういう話じゃねェだろ!」ってなってることがあるので、まずは本篇をご覧ください。

で、本篇は石井輝男的美学が横溢してるわけでございまして、よくも悪くも男の稚気にあふれてるんですけれども、鶴田が(ほぼ)一人で画面を引き締めております。

藤純子は小娘ぶりっこしてます。すごーーく面白そうなマンガの映画が観たいんだそうですが、そこはそれでいいんですか!? 東○動画じゃないんですか!? 若いものの中では待田京介がいちばん頼りになりそうなんだけど、この人は緋牡丹お龍さん以外のシリーズではなァ……。

という人物紹介が終わった頃には、だいぶ複雑な対立の構図と、かなりハードなテーマが見えて参ります。だいぶ笠原節です。

鶴田と高倉の質の違いを存分に活かした現代版兄弟仁義であり、娯楽にゃ違いないんですが、他の作品を知っていれば知っているほど皮肉な意味で面白いという要素があって、「頭」で観るという作品かと思われます。

いっぽう、よくもこれだけ大人数のキャストを満遍なく動かしたという意味での大作ではあり、なるほど一人じゃ無理だといいたいほど、多彩なエピソードと演出アイディアが盛り込まれております。『網走番外地』一本めの、濃密かつ、突き放したような、ドライな目線が感じられ、石井の代表作として挙げていいのだろうと思います。

それにつけても、安部徹はどっか憎めない。



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