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1965年1月、石井輝男『顔役』東映東京

どうせ二人はこの世では、友呼ぶ千鳥と同じこと。

企画:俊藤浩滋・吉田達 脚本:笠原和夫・深作欣二・石井輝男 撮影:星島一郎 録音:元持秀雄 美術:中村修一郎 音楽:八木正生 編集:田中修 助監督:小山幹夫

東映東京がお送りする東西対決現代劇(1965年当時)は、全面的に西が悪。粋なジャズが流れる空撮タイトルバック上に並ぶスタッフも男優も女優もオールスターで、オープニングからホクホクします。

コンバーチブルにボルサリーノ。60年代の日本映画はフランス映画の真似がしたいお年頃。まだ若い高倉さんは、根が良家の子息なので、チンピラを「型」で演じるところがあって、だいぶ頑張ってます。子どもは好きみたいです。火薬の匂いが好きな大幹部・鶴田さんは、じつは切ない中間管理職。安部徹と内田朝雄の密室会談は、もうどっちがどう悪いんだか(嬉)

なお、東映は予告篇に本編の編集が完成する前の別アングルを使っちゃうことがあって「そういう話じゃねェだろ!」ってなってることがあるので、まずは本篇をご覧ください。

で、本篇は石井輝男的美学が横溢してるわけでございまして、よくも悪くも男の稚気にあふれてるんですけれども、鶴田が(ほぼ)一人で画面を引き締めております。

藤純子は小娘ぶりっこしてます。すごーーく面白そうなマンガの映画が観たいんだそうですが、そこはそれでいいんですか!? 東○動画じゃないんですか!? 若いものの中では待田京介がいちばん頼りになりそうなんだけど、この人は緋牡丹お龍さん以外のシリーズではなァ……。

という人物紹介が終わった頃には、だいぶ複雑な対立の構図と、かなりハードなテーマが見えて参ります。だいぶ笠原節です。

鶴田と高倉の質の違いを存分に活かした現代版兄弟仁義であり、娯楽にゃ違いないんですが、他の作品を知っていれば知っているほど皮肉な意味で面白いという要素があって、「頭」で観るという作品かと思われます。

いっぽう、よくもこれだけ大人数のキャストを満遍なく動かしたという意味での大作ではあり、なるほど一人じゃ無理だといいたいほど、多彩なエピソードと演出アイディアが盛り込まれております。『網走番外地』一本めの、濃密かつ、突き放したような、ドライな目線が感じられ、石井の代表作として挙げていいのだろうと思います。

それにつけても、安部徹はどっか憎めない。



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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。