『清盛』第26回「平治の乱」

  03, 2012 22:30
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チャンネル権も録画権もないのでやっとオンデマンドで観た。

信西入道お疲れさまでした。お蔭様でここ何回か面白かったです。あなたは男でした。

そして主役はもうミュージカルにしちゃえばいいと思います。
「なぜ♪ 俺を待てなかった義朝♪ 二人の約束をーー忘れてーーしまったーーのかーー♪♪」
早まるでないぞおォ! と叫びつつ上手より退場。

……それより密偵を放て。死ぬ気で信西どのを発見させろ。早馬を飛ばせ。盛国に連絡をとれ。信西どのの家族の安否を確かめろ。播磨守の権威と平家の財力をフル稼働させろ。近在で支配下にある荘園すべてに替え馬と食料と武具の用意をさせろ。熊野詣は途中でやめていいのか。代理を立てる必要はないのか。棟梁として一瞬で判断して支持を出すべき事柄が一杯あるはずなんだ。家人たちから目をそむけてスポットライト浴びてる場合か。

映画『青春の殺人者』のDVD特典で、長谷川監督が「市川悦子さんは舞台の人なので、カメラ(≒客席)へ向かって見得を切ってしまう癖があり、何度か撮影をとめた」と言っていたのが面白かった。

それを聞いて、『清盛』に感じていた違和感の正体が分かった気がした。

必ずしも言葉で表現しなくてもよいキャラクターの内面を、大げさかつ抽象的な言葉で語らせてしまい、斜め上を向いてスポットライトを浴びたような演出で大見得を切る的な演技が多かったのだ。
時代劇だからそれでもいいと思ったんだろう……

そして武士が革命を起こすぜロマン&男の友情ロマンありきなもんだから、まず最初に義朝の心配をしている。上皇をたすけ参らせる!ってまず思えよ…… 明らかに自分の留守をついて、ついこないだ一緒に戦った後白河派の全員に内乱を起こされたんだから、「なめやがって~~」と思えよ……

やることやった後で一人になってから月でも見て「……義朝……」って言ってりゃ充分よ。

ご一同も「でもーー源氏のきもちもーー分かる気がするーー」とか言ってる場合じゃないって……。「また戦が? 平氏の立場は? 都に残してきた妻子は?」とかいろいろ心配することあるってば。あそこでビリっと緊張感が走らないのは武士・戦士を描いた歴史ドラマじゃないよ……ふつうに平治物語など読んでいれば面白いのにねェ。

ばち当たり上等で神域へ武具を運び込んだ家貞はグッジョブでした。

そしてあの主役のニヤニヤ笑いはなんとかならないものか。「こんな月の夜」に出会った生涯最高の友人である者が、自分の読みと備えの甘さから窮地におちいって生死も知れないんだ……結婚記念日に「お父さんと出会ったのはね、うふ♪」みたいな雰囲気で昔話してる場合じゃないってば。メロウな回想で緊張感を削ぐところじゃないってば。そりゃ待ってるだけの大将って実はヒマだろうけどさ、確かに。

歴史解釈とキャラクター設定と役づくりと演出の四拍子そろってズレてる感を味わいつつ、やっと出てきた信西は、すでに山科の国にいるって( ゚д゚) 徒立ちで( ゚д゚) 三条からずーーっと走ってきたんかい。

全てが「イメージです」で、都から山科までの距離感が徒歩の場合の日数で示される等ということがないのも、馬や車を使って避難の様子を表現できるはずのドラマであるよりは、とつぜん場面転換する舞台の発想でしょうか。

真言をすごい勢いで唱える信西はカッコ良かったです。素手でタコつぼを掘れはあまりなおっしゃりようと思いましたが。座布団もなく座る土中は寒かったでしょうね。

発見シーンは……感動的かつ納得いかない感満載でしたが、もういい。耳に残る名曲ぞろいのサントラのためのPVだと思って観る。

お最期は、天晴でございました。

そんでまた義朝ちゃんは男のロマンごっこしてるし。待つなよ。戦火ふたたびで京が燃えるだろ。門外で討ち取れよ。

そしてなぜ平家の面々は夜が明けてからチンタラ座り込んで会議しとるのか。殿のお留守に抜け駆けされたんだよッ 「やばくない?」って話なら、夜のうちに集まってしとけよッ 戦装束すでに固めとけよッ 信西と清盛の仲がよく、信西の嫁が駆け込んできてる以上「かくまってるだろう」と言われていきなり火矢を射掛けられる恐れもあるって状況だろッ 信西の館では女子供までやられたって噂は伝わってるだろッ 軍事組織なのに情報収集と状況判断があまりに甘い。「殿のお帰りには何日も」じゃなくて「熊野からなら早くて◯日」って言ってくれェ。その前に信西嫁を差し出すかどうかで大喧嘩するべきところだろッ 

史実はどうあれ作中の状況がそう描かれているのに作中人物が反応していないっていう……

この脚本で唯一評価できる点は早い時点で信西(通憲)を紹介しておいたところだろう。
あれっきり長いこと彼を放っておいて宮廷ロマンに突入することさえなかったならばねェ。

大騒ぎしたくせに西行、影うすいもんねェ。
白洲正子ふう解釈に従えば出家後も待賢門院関係者の間をウロウロしながら乱世のすみっこで歌ってた奴なんで、武家同士の争いとはまた別の視点で当時を描くことができて面白いかもしれないけど、これ以上複眼的になるとまた辛くなるからもういいや。やっと人数減ったのに。

ダークファンタジーふうの暗い画面と霧にまかれたような白っぽい粉っぽい画面が交互に出てくるのは目に優しくないけど、それももういいや。散々言われて直らないんだから、あと半年これで行くんだろう。確かに途中で画調を替えても変だし。

肩で息継ぎしながら語る古今未曾有の下手っぴぃナレーションも、もはや交代することはないだろう。残念だが頼朝自身が登場しちゃってるし仕方がない。

お気の済むようになされませ。

この先、初回シーンに戻るところまでやるとすると、平家が我が世の春を謳歌→源氏が伊豆で挙兵→木曽から乱入→平家都落ち→義経大活躍あたりまで一気に駆け抜けることになる悪寒。
けっきょく清盛は親父の財産を受け継いだボンボンだったという以外の人間性を印象づけることはできるのか。
せめて信西の下で勉強するべきだった。史実でなくても。すでに史実なんて場外ホームラン的な脚本だし。
「お忙しい方じゃ」じゃないだろ。手伝え。
主人公が一般視聴者の代表として感想を述べる立場になっちゃってちゃダメだろ。「もっとお手伝いできることはありませんか」「大学ができると何がいいのですか」「平家の財産から寄付しましょうか」などと興味を示せ。一緒に新しい面白い世の中を作るんだろ……?

不安を含みつつ来週こそ息の長い戦闘シーンを見られることを望みます。
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