1968年10月、マキノ雅弘『ごろつき』東映東京

  14, 2016 10:22
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俺が、女中になるとか!?

脚本:石松愛弘 撮影:飯村雅彦 録音:広上益弘 照明:大野忠三郎 美術:中村修一郎 助監督:伊藤俊也 音楽:渡辺岳夫

マキノさんお久しぶり。まさかの傑作。円熟味にあふれております。代表作の一つに数えてもいいかもしれません。キックボクシングの流行に乗っかった安直な娯楽色の強い作品だと思っていたのですがごめんなさいごめんなさいごめんなさい。

沢村忠・西川純・斉藤天心・藤本勲がご本人出演して話題性を高めているわけですが、その使い方が素っ気ないのがマキノ流。高倉37歳は入門まもない青年らしさを演じきり、本職顔負けの肉体美も披露しております。

東名高速道路と有線放送が開通して、炭鉱と流しの歌手が不景気になりつつあった頃。ヤクザが暴力団といわれて解散することになった頃。プレハブ工法が普及しつつあった頃。ほろび行くもの、流行るもの、のさばるもの。大東京は地図で見るとせまいけど、「稼業仁義」の切り方も知らない素人の若者たちには広いのです。

『日本侠客伝』にも、一貫して「堅気として生きていこうとする青年が義理に駆られて白刃の出入り」という主題が見られたわけですけれども、これは元々ヤクザと付き合いがあった家の後継者ではなく、まったくの素かたぎの若者がキックボクサーとして成長して行くサクセスストーリーに置き換えたことで、落差が大きくなり、緊張感が生まれたのでした。

新宿の街並みが根本的には変わっていない(というかこの頃できた)ことと、黒澤『野良犬』の頃と変わらない(またはさらに退廃した)都会の若者たちの様子も見られます。

女子がブルージーンズを着用しているのも印象的で、男女逆転の面白さを取り入れております。扁額の言葉は任侠じゃなくて根性。マキノ雅弘、60歳。

戦前にジャズ調ミュージカル時代劇を撮っちゃった人は、音楽の使い方も相変わらず柔軟だったようです。終幕にも珍しい要素を加味して情緒を深めました。

アクション場面がマキノ作品には珍しいほどの迫力に満ちているようで、撮影の飯村雅彦の名前を覚えておくといいのかもしれません。(『昭和残侠伝 破れ傘』の人でした)


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