2016/12/15

編集者に責任転嫁する自称「性的マイノリティ」には困る。

1990年代半ばから2000年にかけて、ゲイコミュニティからは「女流作品には『男同士は異常だ』という台詞が含まれているが、我々に対して失礼である」という苦情が挙がりました。

けれども、管見の範囲では、二十四年組を始め、プロ創作家の作品には、そのような台詞は含まれておりません。

って言うと「同人やっていた」という人が「そんなの編集がチェックしてるんだから当たり前じゃん」と言って来る。だからなんでしょうか? もう一回、考えてみましょう。

【仲間に配慮できますか】

そもそも、なぜ編集さんはプロの原稿をチェックするのでしょうか? 不適切な台詞が一般公開されてしまわないようにですね。出版社が謝罪会見を開いたりしなくていいようにですね。

では、編集さんのチェックを受けた結果、一般公開された作品には「男同士は異常だ」という台詞が載っていないのであれば、「男同士は異常だ」という台詞は不適切だということです。

編集さんは、その台詞が不適切であることを、よく分かっているということです。

編集さんが不適切な台詞を削除するということを知っているクレーマーさんも、男同士は異常だという台詞が不適切であることを分かっているということです。

でも、ゲイコミュニティは「我々が読んだ作品には不適切な台詞が含まれていた」と言っている。じゃあ、誰が不適切な台詞を含む作品を書いて、そのまま発行してしまったのでしょうか? 同人ですね。

とすると、クレーマーさんは同人やっていたそうですから、次の問題は「クレーマーさん自身は、同人が不適切な台詞を書いて、そのまま自費出版してしまったことについて、どう考えていますか?」というものになります。

「いいじゃん別に。関係ないじゃん」というわけには行きません。

なぜなら、このクレーマーさんは「性的マイノリティ」を自称しているからです。ゲイとの「弱者同士の連帯」を掲げ、SNSを通じて、周囲の発言に対して積極的に「もっと前もって想像力を発揮して、傷つきやすい弱者の権利に配慮してほしい。まちがった先入観を広めないでほしい」とクレームする活動を展開しているからです。

では、ゲイコミュニティが発したクレームについては、同人代表として、どう答えますか?

あなたが連帯したがっているゲイコミュニティからの「誰にも異常だなどと言われる筋合いはない。まちがった先入観を広めないでほしい」という切実な訴えについて、どのように配慮しますか?

【話をそらしたフェミニスト】

この話、本来は、ゲイ側が最初から「同人誌」を好むアマチュア女性を念頭に置いていた可能性があるのに、クレーム文書を受け取った側であるフェミニストとメディアがプロ創作家の責任を追及し始めてしまったので、話がおかしくなってしまった。

本来なら、ゲイが誰の書いた何を読んだのか、事情を詳しく聞いた上で、同人の書いたものなら同人自身に弁明させればいいのに、学者たちがゲイ・同人を蚊帳の外に置いて、調査・議論のプロのくせに、議題をずらしてしまった。

という経緯に対して、当方自身がクレームしているものです。相手は学者・評論家・メディアです。同人のものは同人に返しなさいという話です。学者たちがゲイに対して抗弁しようとせず、同人自身がクレーム文書を自分たちに向けられたものとして真摯に受け留めていれば、問題解決が早まった可能性があるからです。

なぜなら、もともと著作権問題を抱えており、「事を荒立てる」ということを嫌う同人たちは、他コミュニティからの苦情に即応し、再発防止を約束する可能性が高いからです。

けれども、フェミな人々が、同人が自虐する理由を勘違いしたのです。「女流による男同士」という特殊な表現の自由を侵害されやすい女流が(プロまで一緒になって)自虐していると思ってしまったので「私たちが守ってやらなくては」と思っちゃったのです。

で「少女が書いたものを男性が検閲してはいけません!」という話にすり替えてしまった。

結果的に、ゲイバーにおける(お酒を飲める年齢に達した)女性による人権侵害という社会問題が隠蔽されてしまったのです。ゲイの勇気ある訴えは、フェミニストによって黙殺されたのです。

【課題を分離しましょう】

当方は、わざと古い話をあげつらっているのであって、目的は同じ過ちが繰り返されないことです。今後の正しい対応について、ゲイ側・同人側・フェミニスト側・メディアが認識を共有してほしいからです。

1990年代のメディアは、プロ創作家に対して「なぜ男同士を描くのか」という疑問をぶつけました。これに応える形で専門誌『JUNE』を拠点にしていたプロ作家が「摂食障害と関連がある」と解説したり、「自分はトランスゲイである」と告白したりしました。

それをフェミニストが歓迎して、若い女性に抑圧を加える男性中心社会がいかに横暴であり、残酷であるかという社会批判につなげて行きました。

が、ゲイが聞きたいのはそんな話じゃないのです。アラウンド・フォーティに達したJUNE作家が男だろうが、女だろうが、20代のアマチュア女性たちがゲイバーでマナー違反していい理由にはならないのです。

また、摂食障害があろうがなかろうが、アニメキャラクターの著作権を無視していい理由にもならないのです。

プロとパロを混同した1990年代の言説は、無駄に流行しただけで、誰のためにも、なんの解説にもなっていないのです。

フェミニストとメディアが、それでお茶を濁したのであれば、ゲイ達は無視されたのです。

あえて例えれば、ゲイ側が言ったことは「未成年者が飲酒喫煙して騒いでいるが、警察沙汰にする前に保護者が引き取りに来てくれ」ということです。

それに対して、なぜか子どものいない成人女性たちが「私が男に負けじと飲酒喫煙するのは、出世できないからです」という身の上話を始めてしまったのです。

関係ないですよね? 重要なのは、すぐに不適切な未成年者たちの身柄を確保し、再教育を与えることですよね?

冒頭の話題に即して言うと、フェミニスト自ら、アマチュア女性創作家たちに対して「性的マイノリティを異常だと書いてはいけません。プロの先生たちと編集さんたちの気配りを見習いましょう」と教え諭すべきですよね?

だって、フェミの先生たちは、アマチュア女性創作家が未成年者(少女)であることを前提に議論していたからです。未成年者の不適切な言動には、罰を与えなくてもいいですが、再教育が必要ですよね?

この不適切対応の一因は、フェミニスト自身が「未婚だから少女」という自認に浸っており、おとなとして子どもを教え導くという立脚点を持つことができなかったことによります。

つまり、自分自身がおとなであるかどうかの判断基準を自分で持つことができず、男性に「丸投げ」していたということです。

【自慢したいクレーマー】

いっぽう、話の途中で「編集が~~」と言い出す人は何を言いたいのか?

じつは「私のほうが出版業界の裏事情に詳しいわ。だって同人やっていたんですもの。そこらの素人とは違うのよ」って自慢したかったのです。

けれども自分が「性的マイノリティ」を名乗っていることを忘れてしまったもんだから、辻褄が合わなくなってしまったのです。

インターネット上の発言には注意しましょう。それは固定電話回線ではありません。他にも聞いている(読んでいる)人がいます。ゲイのフォロワーが「うわ、こいつ同人だったの!?」と思っています。

しかもプロの作品に「異常だ」という台詞が含まれていなかったことを編集者の責任にするなら、同人の作品に「異常だ」という台詞が含まれていたことについては「編集がチェックしてないんだから当たり前じゃん」と開き直ったという意味です。

そして同人誌即売会は、同人誌を即売する会ですから、利潤動機で当たり前です。

とすると、少なくともクレームがあった当時の同人というのは、編集者のチェックが無いのをよいことに、不適切だと分かっている台詞をわざと書いて売り買いし、差別意識を共有して「もうけ、もうけ」と言って面白がっていた連中だということになります。それがトランスゲイなわけはありませんね? 性的マイノリティの仲間とも言えないはずです。

ここで、現代の同人は「それもまた表現の自由です」と主張する権利を有します。各人の信じるところに従って、ごめんなさいと言ってもいいし、言わなくてもいいです。「私自身は一回も書いていません」と言ってもいいし、「いまでは気をつけています」と言ってもいいです。

「異常だと言われたことにもめげず、主人公たちが愛を貫く感動の物語を書こうとしているので、ご理解ください」と言ってもいいです。なにも言い訳しなくてもいいです。

そもそも自分に不利な証言をする必要はありません。炎上が起きようが起きまいが、黙秘する権利があります。

当方は「20年前の『文化人』たちの議論の筋道がおかしい」と言っているだけです。編集のチェックは最初から関係ないのです。

関係ないことを自分から言ってくる人は、自慢したい人ですが、自慢したい人には、劣等感があるのです。劣等感があるから、ゲイと「弱者同士の連帯」したがるのですが、その連帯仲間の気持ちに配慮できない程度だということなのです。

この思考のお粗末ぶりは何によるのか? なんでいちばん大事な「自分が性的マイノリティである」ということを忘れてしまうのか?

当方には腕組みして考える材料が増えてしまったのでした。



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