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【フェミ的BL論批判】意外にもBL論は女性意識の受身性を示している。

男性から「なぜ男同士なの?」と訊かれて「女性キャラクターに感情移入できないから」と答える。

男性から「なぜ女性上位ではないの?」と訊かれて「男性読者が喜ぶものになってしまうから」と答える。

けれども「だからといって女性読者が男性キャラクターに感情移入できるとは限らない」という肝心の点が閑却されている。

議論の進行が受身なわけです。ああ言われればこう言うという「受け答え」しかできない。根本的な問題を自覚することができない。少なくとも実際にそういう議論をしていた1990年代には、学者・評論家などといえども、女性が「おとなしく」していたことの証拠と言えるでしょう。

「わざとはぐらかしていた」というなら尚更です。女性らしい卑屈な処世術で自己満足していたということだからです。

当方は「それでも学者か?」と言っているのです。学校から給料もらってるならちゃんとやれと言っているのです。大学には国から補助金が出ているのです。他人の同人活動に便乗して「あたしも女の子だから~~」とかいって甘ったれていてはいけないのです。

同人自身がブラックジョークで話をはぐらかそうとするのは構わないのです。むしろ同人はジョークを続けるべきなのです。原作者さまや編集者さまにご迷惑がかからないように、腹をくくって、はぐらかし続けるべきなのです。その根性ないなら最初からやらなきゃいいのです。

「同人やっていた私が本当のことを言ってあげますよ!」というのは、ただの「かまってちゃん」です。同人全体のためを思っているのではなく、自分が目立ちたいだけです。

話を戻すと、BL(と呼ばれるようになった表現分野)は男性中心社会への皮肉を示していると言った人もいたようですが、BL論そのものが女性の自意識の従属性を示す皮肉になっていたわけです。

ここを乗り越えるつもりで、一部の人は「少女が(男性中心社会における女性の役割分担に飽き足らずに)男性化したがっている」と唱える。だから男性キャラクターに感情移入できるというわけで、これの行き着いた先がトランスゲイ説ですが、これが本物さんにとって重大な迷惑になることは既述の通りです。

第一、自分を男だと思っている人々が、ピンクハウスの袖には手を通しませんわな。

すでに1960年代の時点でブルージーンズが流行しており、ノーブラ、ノーメイクといった風潮もあったのですから、さっさと男装して、もっと男らしいキャラクターが大勢登場する漫画を描いて、男の名前でゲイ雑誌に投稿すりゃいいだけです。少年漫画キャラクターを女性的に描きなおす必要はありません。

もし、女性自認者が「少年漫画に登場する女性キャラクターは可愛くないので感情移入できない」と思うなら、可愛く描きなおせばいいだけです。男性キャラクターは描き変えてるんですから。

って言うと「だって可愛い女性キャラクターにも感情移入できないから」という地点へ戻ってしまうわけで、「やっぱりトランスゲイなの」という結論へ向けて、ループしちゃうのです。

でも、トランスゲイだって生まれながらに男色の実態を知ってるわけじゃありません。しかるべき年齢に達してから、写真入り雑誌などを見て「こんなことするの!?」と気づいて、ビックリしゃっくりしながら、だんだん慣れていくわけです。トランスではないゲイも同様です。ストレートも同様です。

人間の性に関する本能は、とうの昔に壊れていると思えばいいでしょう。だからこそ両親のことを「不潔だ」と思い込む少年少女がいたり、目撃してショックを受けたとか言うのです。犬猫はトラウマとか言いませんな。

ところで、あなたは1961年に、どこにいましたか?

あなた自身が1961年よりも後に生まれた人であれば「誰の影響も受けていない」と言うことはできません。言うだけ言ったっていいですが、説得力はありません。

森茉莉が「昔の希臘の貴族の男」の行状を参考にした物語を書いて、月刊『新潮』掲載作品として発表したのは1961年の夏です。翌月には単行本が刊行されました。1974年までに12刷を数えています。

あくまで日本人離れした美男同士による「メロドラマ」の一種で、文章力があろうが、三島由紀夫がほめようがなんだろうが、一般男性が読んで気分のいいような話ではありません。けれども女性は「また貸し」なども考慮に入れれば、十数万人が読んだことになるでしょう。ついでに同様の要素を含む映画を観た人もあったかもしれません。

その中から一人でも次世代のプロが誕生すれば、次の展開が始まります。

ただし、1960年代の段階では、小説のみならず、映画においても、描写がマイルドだったので、若い鑑賞者にも男色の実態が分かるということはありません。茉莉自身が「男色」という言葉を嫌い、ポルノグラフィだと思われることを拒否しました。また、この当時はアニパロ同人活動が成立していません。コミケもありません。『薔薇族』もありません。

ストーンウォールからゲイリヴ運動が開始されたのは1969年。洋画で男性同士の描写が急に増えたのは1971年以降。萩尾望都『ポーの一族』は1972年なかばの発表で、吸血鬼の物語ですから、血を吸うために顔を寄せる描写はあっても、若い男性キャラクター同士の性愛が明示されているわけではありません。

その程度のものを読んで刺激的と思った女性読者がいたのであれば、この人自身の中で始まっちゃったのですが、ここから後に「エロ」などと称される描写に至るには、まだ飛躍があります。

その飛躍は、さまざまな創作物や、いわゆる当事者からの情報公開を取り入れて、少しずつ進化してきた表現上の定型でしかありません。そもそも茉莉自身が古代の男性の行状を参考にしているのです。少なくとも「そういうこともあった(らしい)」と書かれた書籍を参考にしているのです。他の女性も同様です。もともと男性が書いたり読んだりしていた本の中から拾ってきたのです。

女は勉強が足りないといって男がバカにするから、男が書いたものをぜんぶ読んでやったという人の中から「こういうことが書いてあった」という暴露がなされただけです。

そこで男性があわててやめさせようとすれば「女性の表現の自由の侵害」というわけで、この一点において、確かにBLはフェミなのです。

あえて例えれば、本家本元の女権運動の横っちょに咲いた側芽みたいなものです。副産物です。

ある一人のトランスゲイが、突然詳細な自伝を発表したわけではありません。数十万人の女性が、ある日とつぜんトランスに転向したわけでもありません。

数十万人のトランス男性が一箇所に集まって、社会による人権蹂躙を嘆いているというなら、ゆゆしき事態です。国連に訴えるべきです。日本政府は人権保護の観点から即応を要求されるはずです。ただちにコミケに医師と弁護士を派遣しましょうってな話になってしまいます。

またBLを読むと、シス女性に「トランスが伝染る」ということであれば、BL作品の公開を見直さなければならないことになります。トランスであること自体は悪いことではありませんが、創作物によって子宮または卵巣の切除を望む女性が飛躍的に増えるようであれば、少子化対策として見過ごしにはできないからです。

摂食障害についても同様で、女性がBLを読むと摂食障害を回避できるなら、保健体育の教科書としてBLを取り入れたほうが良いことになってしまいます。未成年者を摂食障害から守るためには、絶対にBLを成人指定させてはいけないことになります。

誰も、ことの重大さに気づかないのはなぜか? 一部の評論家の口から出まかせのような解説を、調査分析のプロであるはずの学者たちが手をたたいて歓迎してしまうのはなぜか?

女性の言うことなんて、誰も本気にしてくれないと思っているからです。自分の言葉が社会に伝わったとき、重大な影響力を持つとは思っていないから、その場で面白がって終わりにしてしまうのです。

つまり、女性自身が「しょせん女のたわ言」と思っているのです。女性が自分で自分を差別してしまっているのです。

だから、後になって言動の不一致が起こり、フェミニズムそのものが信用できないと思われるようになってしまうのです。



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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。