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「母親のトラウマ」は、中年の言い訳です。~自分の姿に気づきましょう

いまどきの若い人々は「おかんメール」を流行らせるくらいで、基本的に実家のママが好きです。

親自身が漫画・アニメ世代ですし、親子で美少女戦士や麦わら海賊団の話題を共有する人もあるでしょう。

サブカルの話が通じない田舎者の親を振り捨てて、自分だけ都会人になる(社会階層を上昇する)というイメージを持つことができたのは1980年代の話です。

現代の現実は「1DK」といえば聞こえがいいだけの六畳一間のアパートを維持するのが精一杯。固定電話を引けないから信販系カードも作れないという生活の中で実家からの支援物資到着を待つ日々。

「Windows98」によって世界的にインターネットが普及し始めた年に生まれた人は、今年18歳です。当時10歳だった人は、もちろん28歳。20歳だった人は、38歳。

生まれた時から、あるいは物心つくと同時に、あるいは社会人になると同時にネット社会にいたという彼らは、自分自身を広い世界の眼で見ることを知っています。

よくも悪くも「空気読む」わけですが、彼らは「親のせいでなんとか」という言説が言い訳にすぎないことを見抜きます。

世界にさまざまな民族や宗教があるように、親と自分も違う人間であり、成育した社会が違うから価値観が違うのは当たり前であり、親の価値観にしたがう必要はないことを知っています。そのうえで、頼れる部分を頼るために、良好な関係を保つ努力を続けているのです。泣き笑いしながらメールをやりとりするのは、その一環です。

「お母さんは頭が固い・古い・私のことはほっといて」と言って喧嘩できたのも、1980年代までです。1970年代にウーマンリブ運動が急成長した後、好景気による女性の「社会進出」(実際には安価な労働力確保のための深夜残業解禁やパート労働整備)を支えとして、新旧の対立が先鋭化したのが1980年代だからです。

1993年頃からバブル崩壊の影響が濃くなってからは、上京してしまった組は、実家だけが頼りです。母親の悪口を言ってる場合ではないのです。

ちょうど狭間にいたのが1992年頃までに就職活動した人々で、世界経済におけるバブル崩壊自体は1990年に起きておりますから、少し年上の先輩から「楽勝」と聞かされていたほどには楽ではなかった。

出生数の少なかった「ひのえうま」(1966年生まれ)は、就職活動したのが1988年頃のバブル絶頂期に当たっていたので「面接で寿司をご馳走になった」とか「一発芸で合格できた」とかいう武勇伝を持っていたのです。

が、それより年下で、先輩に較べて自分の同級生が桁違いといえるほど多いことを忘れて高校・大学在学中に遊んでしまった人は「だまされた」という被害妄想を持ちやすいのです。

その責任転嫁が行き着く先は「親の育て方が悪かった」なわけです。

これは少年犯罪が問題視された1970年代から1980年代前半くらいに「家庭の問題」に原因を求める言説が流行したので、それを子ども自身が取り入れて、自分から言い訳として利用してしまったものです。

フロイトが「強迫神経症はトラウマによって起こる」と言ったのを本末転倒させて、「私もトラウマがあるから言動がおかしいの」と自分から言っちゃうのと同じ理屈です。

実際には(前にも申しましたが)あれがトラウマになっていると自分で意識できた時点で、トラウマというものは終わるのです。あとは、それにとらわれない新しい人生を確立するという課題に移っていくのです。

トラウマ原因論は、インターネットの影響力が低かった1998年までに流行した古い言説です。若い人には、もう通用しないと思いましょう。

とくに同人系は、黒バス犯が母親から顔のことを言われたのがどうとか言っても、許しませんでしたね?

中年が若いふりをするつもりで「母親がトラウマになっているから、心が成長できないアダルトチルドレンなの」などと言えば、本当に若い人が鼻で笑うだけです。

「アダルトチルドレン」というのは、中年の愚痴です。自分を変えることができないと決めている時点で、頭が固いからです。

とくに、ゲイ・レズビアン・トランスといった人々に対しては「親がトラウマ」と言った瞬間にアウトです。彼らこそ、親に何を言われたからって生まれつきが変わるわけではないことを骨身に沁みて知っているからです。

また、彼らは自分のせいで親も社会から差別されると思うことに心を痛めつつ、自分自身が親からも差別されるという葛藤の中で、親御さんとの良好な関係を回復しよう・いままさに構築しようと努力しています。

彼らよりも基本的人権が憲法・民法によって保障されているストレートが「母親のせいで」なんて言ったって、本物の性的マイノリティは、そんな愚痴につきあう余裕も、義理も、ありません。

せめて自分より若いゲイの前で、中年の中学生ぶりっこになってしまわないように、女性は厳重に自戒しましょう。なお、ゲイに向かって説教するタイプも、彼らに甘えている点では同じです。自分の姿に気づきましょう。



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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。