2017/01/12

1978年9月、横溝正史シリーズⅡ『黒猫亭事件』TBS系

こんな女に、誰がした。

脚本:安倍徹郎 撮影:渡辺貢 照明:山下礼次郎 美術:西岡義信 音楽:真鍋理一郎 監督:渡辺祐介

我が輩はクロである。かたきは必ず取る。昭和二十二年、晩秋。

1978年4月から10月に放映された、角川春樹事務所と毎日放送と大映京都によるテレビドラマシリーズの第7話。今回唐突に第7話なのは、タイトルに惹かれたからですニャン。

1時間番組2本による前・後篇。テレビサイズを活かした接写が印象的な序盤から、ロケハンを活かした遠望へ展開し、緻密な作りで映画一本分の見応えがあります。スタジオセットによる昭和二十二年らしさの表現は巧妙に最小限ですが、たいへん効果的です。

石坂金田一は知的な印象が強く、ややドライな、なんというか男としての現実味の薄い味わいで、それが市川流ミステリの漫画的荒唐無稽さによく合っていたわけですが、こちらは古谷一行の濃度の高さというか、セクシーな雰囲気が役作りにも活かされており、深夜放送ということもあって、少々おとなの味わいを加えているようです。

脚本は犯人の動機を序盤で暗示したり、世間話のような情報提供者の供述に重要なヒントを含ませたりと、たいへんナチュラルに手際よく。

古谷演じる金田一が視聴者に向かって直接語りかける演出がある通り、探偵の推理と視聴者の推理が完全にシンクロして、なめらかに解決へ向かうエラリー・クイーン式フェアプレー。長門勇ひきいる警察陣の活躍が印象的な刑事ドラマでもあります。

太地喜和子は加藤泰『花と龍』の頃から、華やかな印象と純情さを両立させた女優さんで、リリィ・カルメンさんの後継者のような気もします。

池田秀一さんが顔出しで、独特の味わいを見せております。

終戦直後の世相を背景にしておりますが、職人役などの若手エキストラの髪形は、1978年を反映しちゃっておりまして、1960年代以前に撮影された映画とは違うところなのはご愛敬です。

事件解決をもってクライマックスではなく、エピローグ部分が重要。この時期の作品の主題はどうしても「女は怖い」と「女は哀れ」なので、若い人向けではないかもしれませんが、実在の流行歌を利用したテーマ性の表現技法を含めて、総合的に味わい深い、面白い作品です。なお、予告篇はちょっと見せすぎ。



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