女性のビジネスを危険にさらしているのは誰ですか?

  09, 2017 11:03
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「BLはビジネスだからジェンダー論とか関係ないのよ」などとわざわざ言って来る人もあることですが、そのビジネスに女性が参加できることがすごいのです。

女性の「ビジネス」が自らの肉体を売ることではないことがすごいのです。

進駐軍の肝煎りで参政権を保障されても自分の名前も書けない女性がいた時代があったのです。十歳から子守りの「ねえや」として働き、十五で嫁に行き、十六で産後の肥立ちが悪くて亡くなってしまったという時代があったのです。会社の定年が30歳で、それまでに結婚しないと生きていけないという時代があったのです。女の一人暮らしは売春していると思われた時代があったのです。

女性が大学へ通いながら同人活動できるというのは、すごいことなのです。卒業後に父親の庇護下を離れ、ほかの男の戸籍にも入らずに、原稿を売って自活できるというのは、すごいことなのです。

日本の女性は「読み書きを覚えたい」と言っただけで狙撃されるという経験をして来なかったので、自分が恵まれていることに気づかないのです。

とくにBLを読む人は、男になった気分・男よりも強い女になった気分になりがちです。なかでもアニメキャラクターを利用した二次創作は、全国的に有名な男性を自分の支配化に置いた気分になれるので、女性に強い全能感と解放感を与え、完全に平等になった(から、ジェンダーとか関係ない)と思わせてしまうことがあります。

まして、大学へ行った人というのは、中高生時代から学業成績がよかったので、もともと男に負ける気がしていない。

けれども、日本女性がそれほどの解放感を持つことができるようになったという、まさにそのことがすごいのです。

BLは、岸田俊子以来の婦人運動の成功の副産物であり、おまけみたいなもんです。すでに日本女性の自由が最大限に保障された結果であるところの多様化です。直接の関係はありませんが、与謝野晶子や津田梅子や平塚らいてふが女性の道を切り開いてくれなかったら、BLもなかったのです。

コミケ参加者20万人の内には、本物のトランスゲイが3人くらいいるかもしれません。けれども本人が「カミングアウトしにくいから」という理由で女性としてBL作品を自主制作・出展したなら、まずは女性として権利を行使できたことになります。

【ビジネスが成立する訳】

女性が遊郭などに閉じ込められているのではなく、好きな時に好きな物を買うことができるのが大前提です。

買ってくれる女たちがいるから、男たちが「よし、売ってやろう」と思うことができるのです。女性を自由にしてやれば、男性はビジネスチャンスが増える。この「ウィン・ウィンの関係」を推し進めることが、まさにフェミニズムであり、ジェンダー論です。

出版社に女性の同人が就職できたというなら、フェミニストによる「女性を何割採用しなさい」という運動が奏功した結果です。それでも事実として賃金格差に泣かされているのです。

今なお、企業にとって女性社員というのは、更衣室・トイレを増改築したり、社内セクハラが起きやすくなるのでそれに対応したり、育児のための時短・休暇の交代要員を確保するなど、コスト高な、不経済な存在であって、まったくビジネスライクではないのです。

「女性の目線で商品開発」といったことが強調されるのは、そうでもないことには女性を使うメリットがないからです。

それをなんとかビジネスライクに使おうと思うから、賃金と福利厚生を低く抑えられるように「非正規雇用の派遣切れ」という形態を合法化したのです。それが男のビジネスです。

もし「BLを支えているのは私たち産まない女です! 企業にとって育休リスクはありません!」と言うなら、尚のこと「なぜ男性と同じ賃金を受け取れないのか」という問題が発生します。

女性創作家が出版社に原稿を渡して、だまされることなく原稿料を受け取る。ただのビジネスよ、と感じられるかもしれません。

でも、その原稿を製本したものを買ってくれるのは誰ですか? どうやって買うためのおカネを手に入れているのですか? その勤務形態は男性と平等ですか? ただのビジネスといえますか? セクハラ被害に困っていませんか? 帰宅途中の夜道で不安はありませんか? 書店やアニメ関連ショップから出てきたところで見知らぬ男性に突き飛ばされたのではありませんか?

女性が社会に出て働く・給金を得る・それを誰にも取り上げられたり、怪我させられたりしないなど、女性のすべての行動は、ジェンダー論の材料になり得るのです。

「後天的な性別役割という発想が男性の理解を得て、これだけの自由を実現できたが、ここはまだまだだ」というふうに評価することができるのです。

また、する必要があります。昔に戻ったり、停滞させたりしないためです。

【トカゲの尻尾切り】

日本の女性は、自分でBL専門の出版社を立ち上げるということをしていません。

もし、SNS炎上などをきっかけに、出版社を経営する男性が「やばい」と思えば、彼らは容赦なくBLを切り捨てるでしょう。彼らにとって、まさにそれは単なるビジネスであって、リスクが利益を上回れば、守ってやる義理などないのです。

プロ創作家が雑誌連載を中止され、単行本を発行できなくなれば、同人のなかには「いい気味だ」と笑う人もあるのかもしれません。けれども、彼女たちは続篇を「同人誌」として発行することになります。イベント来場者のお小遣いには限りがあります。来場者が増えて、イベント規模は拡大しても、あなたの同人誌は売れなくなります。それだけです。

著作権問題、青少年健全育成問題に加えて、ナントカ論争が起きるたびに「ゲイに失礼だ」という声も挙がるようになりました。

同性パートナー制を導入する自治体、市長みずから陣頭指揮に立つ自治体も現れました。日本政府は五輪の無事開催を最優先し、国際世論を意識して、人権問題の発生には迅速に対応することになるでしょう。

当方の目的は最初から「女性は自分一人で社会進出できたのではないのですから、弱者特権ごっこの度が過ぎると、規制されるか、切り捨てられますよ」と申し上げることにあります。

すると、まさに一人で大きくなったような顔した人が「ただのビジネスよ」とか言いに来るわけなのです。

(一人で大きくなったような顔をする人ほど、人前で恥ずかしげもなく母親の悪口を言うものです)

思うに「女性はもっと頑張って起業しなければいけません」というフェミニストの掛け声だと思い込んで「べつに自分で起業しなくたって、男の会社とうまくやってるんだからいいじゃん」と口答えしたかったらしいんですが、その男の会社から煙たがられ、切り捨てられるような危険な賭けに出ているのは誰ですか? 新宿二丁目で無駄に騒いでいるのは誰ですか? って話なのです。


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