記事一覧

2001年1月、井坂聡『人間の証明 2001』テレビ東京・BSジャパン

いっそのこと忘れてしまえるなら、いちばん楽なんです。

原作:森村誠一(角川文庫刊) 脚本:清水有生 音楽:和田薫 撮影:佐野哲郎 照明:渡部嘉 美術:太田喜久男 録音:鈴木肇

ビデオ画質。(まずそこ)

テレビ東京「愛と女とミステリー」第1回作品につき、高島礼子演じる女性刑事を投入したホームドラマ仕立て。子役たちがすこぶるいい演技します。

物語を1970年代から2001年現在までに移したので、沖縄ロケを敢行いたしました。主演クレジットは渡辺謙(1959年10月生まれ、撮影時41歳)。まだ若さを残しておりますが、底力を見せてくれます。冒頭はミレニアム熱も過ぎた日本の首都の気だるい爛熟ぶりをホームビデオ的な低い視点でとらえた構図が印象的です。

男性向けアクション映画の一種だった1977年版のスピード感・スケール感とは較べるべくもありませんが、ちょうどその行間を埋めたというべき共感度の高い心理劇となっております。

刑事部屋における会話、証人との会話など、刑事の職にある人々の日常的生活感を重視した演出で、画的には面白いことありませんし、会話で説明しちゃってるわけですが、逆に「これが女性向けテレビドラマ話法なんだな」と思うと興味深いです。(良いところを見つけましょう)

いわゆるトラウマに突き動かされるという表現がやや気になりますが、日本人の好きな要素ではあります。田中邦衛はさすがの名演。

四人の息子、四人の母親。真の強さを知る男たち。

脚本はじゃっかんなんというかこのアニメレベルですが、「新世紀に向かう」という台詞がある通り、戦後日本の成り立ちの根幹を問い直す問題意識の質は高く、タイトルが示す主題をも尊重した、見事な翻案だと思います。

女性視聴者を意識した(と思われる)テレビ番組らしく、いしだあゆみの服装も魅力的。印象的なスーツは、たぶん森英恵。劇中劇がやや長いので、1950・60年代のミュージカル映画トリビュートなのかもしれません。



Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。