2017/03/10

1954年、エリア・カザン『波止場』(ON THE WATERFRONT)

Boys, this is my church!

原案:マルコーム・ジョンソン 原作・脚本:バド・シュルバーグ 撮影:ボリス・カウフマン 美術:リチャード・デイ 音楽:レナード・バーンスタイン

第27回アカデミー賞8部門受賞。仁義なき港町リアリズム。荷揚げが人力だった頃。フォークリフトさえ無かったようです。ギンバイ禁止。

義理と人情秤にかけりゃ、どっちも重くて身の危険。ドン・コルレオーネも昔は若造でした。

港湾労働者の生活ぶりを明るいコメディタッチで描くのはマキノさんが得意でしたが、こちらはシビアな社会派自然主義路線のようです。

「合法的な組合」の実態は……。いずこも同じですが、解決方法がアメリカ的なのが興味深いところ。日本では悪い暴力団に対決するのは昔ながらの旦那衆ですが、かの国では墨染めの衣の人のようです。

これが『空海』とか『日蓮』などの宗教者を中心に描いた作品では「ない」ところが日本人としては特筆すべきことのように感じられるわけで、今なおこれがアメリカの本質なんだろうと思います。

また「警察を入れるんじゃねェぞ」という日本に対して、最初から「公聴会」が関わっているのもアメリカ的。

内部告発の波紋ということで、今なお新鮮なテーマだと思います。

なお、向こうの若い男は不器用な日本男児とちがって、女の前でよく喋ることです。女のほうもよく自己主張することで、ここはやっぱり戦後の女権意識の伸張を反映しているのかもしれません。

女のヒステリーが、かえって男を冷静にして、腹をくくらせるのも洋の東西を問わないようです。

というわけで、途中に嫋々たるバーンスタイン的ストリングを効かせたロマンス展開があって、先が思いやられることですが、じわじわと面白くなるので頑張りましょう。

こういう話のラストは、日本的娯楽作品では殴り込みによる敵の壊滅、社会派路線だと主人公側の敗北が定番ですが……。アメリカの良心とは? 観てのお楽しみ。終盤にかけて印象的な画が続きます。

DVDは、2003年のデジタル・ニューマスター版で、画像がたいへんきれいです。


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