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1960年10月、三隅研次『大菩薩峠』大映

剣を学ばん者は、まず心を学べ。

製作:永田雅一 原作:中里介山 脚本:衣笠貞之助 撮影:今井ひろし 録音:大谷巌 照明:岡本健一 美術:内藤昭 音楽:鈴木静一 色彩技術:木浦義明 剣道指導:森田鹿造 衣装考証:上野芳生 助監督:井上昭 

映画は大映。甲源一刀流、音無の構え。酷薄な美剣士の増長した顔つきと、華麗にして力強い魔剣をとくと拝見いたしましょう。開始30分以内に見せ場が連続する大娯楽活劇。

カラー撮影、ワイドスクリーン。耽美的なまでのキャラクターのフィクション性と、雄大な野外ロケ、豪壮な大映セット、絢爛たる衣装と、小道具の様式的美意識の共存。

登場人物も多い長編ですが、主人公の心理描写を重視したうえで、台詞を最低限に抑えて画で見せる、監督&脚本の見事な連携プレーです。

主人公は竜之助ですが、この裏では内田吐夢が錦之助の『宮本武蔵』(1961年5月公開)に取り掛かっていたですね。(戦わせてみたかった)

雷さま(1931年生まれ)は『破戒』よりも前なんですが、時代劇らしい重々しいお芝居を心がけておいでのようです。笠智衆は風格が増しました。島田正吾がまだ若いです。待ってました新国劇。ロングな構図で堪能できます。剣筋もいいけど体術もね。

ミス日本(山本富士子。1950年度)は1931年生まれなので、役柄を考えるとだいぶサバ読んでますが無理なく可愛いらしく、眼に優しいです。

中村玉緒はまなじりが吊り上がって、肌がきれいで、武家の子女らしい気の強さと清潔感を備えていて、いいんですが、気の強いだけの女はじゃっかんめんどくさいです。

女形出身の衣笠(1896年生まれ)の脚本は、さすが女心のダメなところもよく御存知というべきか。言葉使いは古風な品格と切れ味の良さが同居して味わい深く。

三隅(1921年生まれ)は衣笠の弟子で、監督デビューは1953年『丹下作膳・こけ猿の壷』。ここで会ったが7年目の39歳ですが、すでに大ベテランの風格。

人物の周囲に余白を大きく撮った美しい構図、絶妙のカメラワーク、多彩な場面を細かく刻んだ編集。アクションは役者を信じて遠間に腰を据えて。ホラー調の演出は繊細に。

ちょっと珍しいほどの見応えです。



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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。