記事一覧

1957年4月、渡邊邦男『明治天皇と日露大戦争』新東宝

われわれ遺族の願いで、旅順は落としてみせます。

新東宝シネスコ。イーストマンカラー。渡邊邦男ここにあり。

ものすごい人海戦術と躍動的なクレーン撮影。映画の醍醐味あふれる得意の話法で、一部始終を質実剛健に描いて参ります。

演出の基本が舞台劇をそのまま撮ることであって、後の東宝8.15シリーズのような編集技で見せるタイプとは違うわけですが、かえって臨場感が高いです。

銃後の描写は戦争映画の中だるみ要素になってしまうことが多いですけれども、これはお上と文官と国民の姿をくり返し映し出し、最前線からの報告を待つ身のつらさを描くことによって緊張感を高めるという離れ業をやってのけたと思います。

なぜか男優がヅラを着用しており、演技力にもやや難があって、新東宝という会社自体の若さを露呈しちゃってるようですが、監督の技量と大和魂は確かなもので、実際の(大東亜の)戦時中を知っている人ならではの熱誠に満ちあふれております。

いざ抜錨・出撃となって軍艦行進曲が鳴り響く映画は多いですが、そのタイミングの良さはこの作品がピカ一だと思います。

アラカンの演技力はずば抜けており、映画であることは分かってるんですけれども、おおみ心の深ければ、編集や小道具のクローズアップという映画的効果の巧みさとあいまって、時おり涙を禁じ得ませんのです。

Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験・就活を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

映画評は、アップロードする以上は「下げる」ようなことは言わないことにしております。あらすじもあまり申し上げませんので、楽しみに御覧になってください。記事冒頭の色つき文字は映画中の台詞・挿入歌の歌詞からの引用です。

なお、取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・分割・削除しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。