1962年4月、三隅研次『座頭市物語』大映

  20, 2017 11:05
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あなどった言い方されると、文句があるんだよ。

企画:久保寺生郎 原作:子母沢寛 脚本:犬塚稔 撮影:牧浦地志 録音:大谷巌 照明:加藤博也 美術:内藤昭 音楽:伊福部昭 助監督:国原俊明

映画は大映。時代劇の壁に挑む不気味な迫力。(予告篇より)

カメラワークが! なんだこれ!? 宮川一夫のお弟子さんのお名前は「ちかし」と読むそうです。

大映セットは今日も豪華です。あまりにも見事な貧乏長屋という逆説ですが、美術さんは水谷浩のお弟子さんです。そして主人公にはマッサージを頼みたいです。

黒澤はヤクザ嫌いだったので、『用心棒』でも博徒に誇張した悪役メイクをさせておりましたが、こちらは実在感あります。マキノさんもそうですが、京都の人は一種の照れというか、やり過ぎを野暮と心得るところがあるのだろうと思われます。

粋を凝らしつつも、どこかで醒めているというのか。重からず、軽からず。

オープニングから伊福部音楽の雰囲気作りの威力がものすごいです。主人公の仕草からすると、コメディタッチで描くこともできるはずですが、ハードボイルドな展開になりそうだぞという期待度満点。

強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がないと言ったのは誰だったか。

勝(1931年11月生まれ)の盲人演技の突き抜けっぷりはもちろん、天池茂(1931年3月生まれ)も素晴らしいです。30歳でこれだけの演技をしたい人は本気で演技の勉強をしましょう。

太平洋戦争に出征した人の言に「相手が鬼畜米英じゃいやだ」というのがあるんだそうです。信義と情けを知る最高の男にだったら殺されてもいい。

これは「だって俺の人生にはそれだけの価値があるんだもの」という自己愛です。だからこそ尊いのです。

なお、ヒロインは情愛と気風の良さと娘らしい愛嬌を共存させており、魅力的な女優さんです。

じつは『大菩薩峠』では女に人生を左右される主人公にじゃっかんイラッとさせられたので、この主人公のハードボイルドらしい優しさゆえの禁欲性は、やっぱり清々しいです。

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